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2010.07.05

肚(はら)

本物の賢者達の教えを顧みると、神というのは、外のどこかにいるのではなく、我々の内にあることは間違いないように思う。
そして、肉体ということで考えれば、神は頭にいるのではないと思われる。
神が胸にいると思えることもあるが、むしろ、胸は中継点であるように感じる。人間的な思考である頭と神は胸で交わるような気がする。
大自然を司る神は、人体でいうなら腹部にいるのだ。それが、丹田なのか、臍なのか、仙骨なのか、胃の裏側の太陽神経叢なのかは分からないが、むしろ腹部全体が光の球ででもあるようであり、あまり細部にこだわることもないのではと思う。
それよりも、各自で腹の感覚を掴む方が良いと思う。

私は、1年ほど前から、毎日腕立て伏せをやることを日課とし、ほとんど1日も欠かさずに続けている。
あくまで気楽に、軽くできる範囲でやっているが、最初は10回から始め、月に10回ずつ回数を増やしていき、今は110回になった。
70回くらいになった頃は、人の頭が重いことを実感しはじめ、首の疲れを感じた。90回に達するあたりでは、血が首から上に行きにくいためか、頭がぼうっとするし、しんどさも感じてきた。
しかし、数日前から、腹に意識をおいてやってみると、身体が軽く、楽にやれることを発見した。
私の場合、体力強化の意味もあるが、腕立て伏せは、腹感覚の把握のためにやっていたのではないかと思われ、1年近くやってようやく少し分かったようだ。
別に腕立て伏せに限らず、立って両腕を前後に振るスワイソウという軽い運動でも、意識は丹田(臍下10センチくらいの腹の内側)に置くらしい。私も、毎日合計で千回くらいやっているが、腹を意識すると、脚が温かいし、淡々とやるよう心掛けると無心になる。

日本人は、昔から腹というものの重要性をよく理解していた。
ところが、現在、電車の中で座っている人を見ると、大半が尻を前に突き出し、腹がふんぞり返り、背中が曲がっている。これは、腹を捨てているような姿勢であると感じる。
かつて、日本人は、椅子に座っていても、背もたれにもたれず、背筋が伸びていることで世界的に有名だった。
正座ではもちろんだが、たとえ胡坐をかいていても、何かにもたれず、やや前かがみで背筋が伸びているものだった。それだけで自動的に身体が鍛えられていたものである。
現代の日本人は、どうも飽食、美食で腹が出ているので、前かがみになりにくいのも、ふんぞり返りたがる原因であるように思う。
しかし、神である自然と結びついているのは肉体的には腹であり、腹が出来ていないと元気も出ないし、勇気も沸かない。
腹が出来ていないと、頭で考えてばかりであるが、その内容は空虚なもので、結果、不安や不満で一杯になる。姿勢の悪い人の表情を見ると、それがあまりに露骨に表れている。

その気があれば方法は無限にあるので、日本の腹文化を見直し、腹を鍛えることで力をつけ、人生を楽しいものにできると思う。
推薦書を以下にご紹介する。


【肚(はら)】
英文学者、詩人、画家でタオイストである加島祥造さんが、病気をきっかけに腹意識を考えるようになった。広大な彼のバックグラウンドから深く洞察したものだが、分かりやすく書いてくれている。
入門用にも最適と思う。

【静坐のすすめ】
現在では忘れられているが、明治、大正の教育家で、知る人には、釈迦、キリスト以来の偉人と崇拝される岡田虎二郎の思想を、直接に指導を受けた柳田誠二郎さんが分かりやすく説く。
若い頃、ひ弱だった柳田さんは、心身とも強壮となり、日銀副総裁、日航社長などを歴任し、百歳で亡くなるまで、岡田式静坐法を熱心に続けたようである。

【肚】
ドイツの哲学者、心理学者、心理療法家であるカールフリート・デュルクハイムが、日本の腹を説いた世界的名著。デュルクハイムは、日本で禅、弓道、茶道などを学んで腹の意義を悟り、座禅と岡田式静坐法を本国での療法に活かした。
やや難しいが素晴らしい本である。

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Comments

最近は環境が違うからなのか丹田という言葉自体を久々に聞いた気がします。

小学生から高校前半までやっていた剣道では先生方かあらよく腹を意識しなさいと言われたり
稽古前の黙禱では必ず手をへそより下に組むために腹のあたりに意識をもっていっていた記憶があります。

そうでなくとも学生時代の音楽の先生は発生の時には丹田を意識して声を出しなさいと言われていました。

今思えばかなり有難い教えかもしれません。

確かに腹を常に意識することによって体の軸がしっかりとし余計な所に負荷がかからないので体が
安定して体の懲りの発生も防げるし余計な体力を使わなくて良くなるのかもしれません
(そんな話もどこかで聞いた記憶があります。)

そればかりか、この安定感は精神的な基軸になり芯のあるしなやかな心を形成する大きなカギになる気もします。

そうなれば、現代の精神病の回復に大きく貢献できるものかもしれないですね。と個人的な感覚で感じます。

食べ物といい椅子文化といい戦後西洋文化が定着してから日本人はうつ病が流行りだしている気もします。

西洋文化もいいところがありますが、日本人は取り入れ方に失敗したのか、大切な部分から失っているのかもしれませんね。

久々にとても大切なことを思い出させてもらいました。

Posted by: ゆり | 2010.07.06 at 05:40 PM

★ゆりさん
武道、音楽(特に発生)は、まさに腹が大切なもので、そういったことをやっておられたゆりさんがものごとをよく理解していることがよく納得できます。
日本の、弓、華道、茶道、座禅、舞踊などは全て腹中心ですし、西洋のダンスやスポーツも根本はそうで、優れた指導者が日本文化に注目する理由もそこにあると思います。
私も、ますます腹を磨き、腹の力をつけようと思います。

Posted by: Kay | 2010.07.07 at 06:05 AM

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