魔法力を発揮する装置
1960年代の作品ながら、21世紀になっても劇場作品が制作されている、藤子・F・不二雄さんの「パーマン」という漫画・アニメがある。
ご存知の方も多いと思うが、パーマンというのは、「パーマンセット」と呼ばれる、マスク、マント、バッジなどのアイテムを装着した者のことである。
そのアイテムの1つであるパーマンのマスクは、それを装着した人間の筋力を6600倍化するという夢のアイテムである。
こういった、装着することで人間の体力を補助して強化するものを一般的にパワードスーツと言い、昔からSF作品などでよく登場するが、現実にも、医療分野や軍事分野などで研究が進み、何らかの形で実用化されているものもあると思う。
ところで、パワードスーツのように主に筋力を補助するのではなく、精神の力を強化して発揮させるというアイディアも、やはりSFの世界などにある。
単に記憶力や計算力を高めるということであれば想像もしやすいのであるが、考えたことを現実化する装置というものも考えられてきた。
1960年代の平井和正さん原作の桑田次郎(現在は桑田二郎)さんの漫画・アニメ「8マン」には、イメージコピーと呼ばれる、思考内容を現実世界に出現させる装置が登場する。ただ、この作品では、現実に出現させる物の分子結合力の問題で、せいぜい見えるだけであるというのがどこかリアルで面白い。2004 年の正当な続編漫画「8マン インフィニティ」では、物理的にも強化された現実を出現させる装置が登場する。
考えたことを出現させるというのは魔法と考える場合が多いと思う。
ところが、そういった魔法が科学の力で実現したらどうなるかを真面目に考えたSF映画の傑作が、今も人気の高い、1956年の米国映画「禁断の惑星(Forbidden Planet)」だ。半世紀も前のこの作品は今でも見応え十分で、私もDVDを所有している。
この映画では、地球よりはるかに進化したある星の人類は、その装置の発明により滅亡してしまう。ところが、装置は残されており、それを発見した地球の人間達も一人を除いて全て死ぬ。残った一人は、自分を救助に来た地球の宇宙船に来るなと警告する。
ところが、古来からも、人間には元々、考えを現実化する力があることが言われてきたし、今でも潜在意識の法則などでよく知られていることである。特に近年では、量子物理学の考え方が導入される等で現実味が強くなってきた感じもある。
その中で、なかなか願望を実現させることができない者が多いし、実際には、あるレベル以上の想いを現実化できる者はほとんどいないと言って良いくらいである。
しかし、もし、科学の力で、考えを現実化する装置ができたら、「禁断の惑星」の映画のように大惨事となることは容易に予想できると思う。
人間にとって、神のように、思うがままに全て実現することがいかに恐ろしいものであるかは子供でもない限り想像できるはずだ。
そして、神にそれが出来るのは、人間とは比較にならない、精神を制御する能力を有しているからに違いない。
実のところ、神とは、心を支配する強力な能力を有する存在のことを言うのかもしれないのである。現実を支配する能力という点から言うなら、人間は本来、神である。しかし、世界の秩序を維持する法則により、心の未熟な人間が発揮できる力は大きくない。言い換えれば、心の支配力に伴って発揮できる力が大きくなるのである。これは絶対に間違いのないことだ。
ならば、自由自在の存在になりたければ、心を支配する能力を得れば良いという結論に簡単に至るはずだ。まず、ここをはっきりと認識すべきなのである。これが、人が本来の姿である神になるための必須にして最短の道とは言えまいか。
【禁断の惑星(DVD)】 やや当時のアメリカの流行が入っているが、「父親以外の男を見たことがない」という無垢で妖精的な美女アルティラが美しい。フロイト心理学のまっとうな部分を導入した雰囲気もあり、壮大なSFでありながらリアルなところもかなりあると思う。歴史的傑作と言って良いと思う。ストーリーはもちろん、映像も今見ても非常に素晴らしい。 | |
【信念の魔術】 1948年に出版され、いまだ読み続けられる、思考の現実化を説く心の科学の書。著者は、疑うことが仕事とも言える事件記者で鍛えられ、その後、実業界でも大成功を収めた経験からも確信を持って主張することで、人々に現実味と好感を持って受け入れられるのだろうと感じる。 |
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