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2010.05.16

労働せずに生きる人達

童話作家のアンデルセンは、生まれは貧しく、14歳で故郷のオーデンセを出てデンマークにやって来てからも長い間苦労した。やがて才能が花開き、詩や小説が認められ、それが海外でも出版されるようになったが、当時は印税だの著作権だのがあったわけでもなく、相変わらず貧しかった。しかし、名声だけは得られたので、ある時、国家から年金の支給が認められた。大した額ではなかったが、アンデルセンは働く必要がなくなり、鉄道や船でヨーロッパ中を旅し続けた。

今の日本で、それなりの期間働いてきた者にとって、働かずに生きていくことは1つの理想であり、憧れだろう。
人間が生きていくためには、衣食住が必要である。誰かが、食べない身体になれば働かなくてよくなると本に書いていたが、日本では、食以外に、衣料はともかく、住居には相当お金がいる。その人は、田舎に家があったのである。
今をときめく脳機能学者(その他のことでも超優秀である)の苫米地英人さんは、生きていくのにお金は必要でないと著書に書かれているし、その言わんとすることも理解できるのであるが、ごく普通の人に、彼の言う通りに実践せよというのも酷であるかもしれない。

それはともかく、もののついでに、働かずに生活の糧を得られる人の話を少ししよう。特別な人間ではなくて良いものだ。
1人はイエス・キリストだ。イエス自身は特別であるが、ちょっと待って欲しい。
聖書を読んでいない人にもよく知られている話であるが、イエスは、弟子達に、数千人の群集に食事をさせなさいと言う。弟子達には、パンと魚が少しあるだけで、お金もそれだけの人を食べさせるほどなかったろうし、たとえあっても、今のようにいたるところにコンビニエンスストアがあるわけでもない。弟子達が困惑していると、イエスはそのパンと魚を手に取り、次々に弟子達に渡していった。すると、群集を満腹させた後、残ったパンを集めると、カゴがいくつも一杯になった。
別の時に、またイエスが大勢の群集に食事をさせろと言う。弟子達が以前と全く同じように困惑すると、イエスはまた、少しのパンと魚を増やした。
しかし、また別の時に、弟子達がパンが1つしかなくて困っているのを見て、イエスは嘆き、彼らを叱った。イエスは、自分のやったことは誰にでも出来ると言っており、弟子達すら自分と同じことをやろうとしなかったことに失望したのかもしれない。
イエスが海の上を歩いた時、弟子のペテロが意欲を示して、一瞬、それを行ったが、心が折れて沈みかけた時も、イエスはペテロを叱っている。この程度出来なくてどうするんだといった感じだろう。
イエスは、山を動かして海に飛び込ませることすら誰にでも出来ると言っているのであるから、およそ人間に不可能はないはずだ。
尚、イエスのような奇跡を起こした人の伝承は世界中に少なくはない。日本でも、割に近代では、江戸末期の神道家、黒住宗忠が、まじないによる病気治療や、嵐を鎮めたという話が知られている。
1900年代初頭に、アメリカの極東調査隊員であった、ベアード.T.スポールディングは、そこでイエスのような奇跡を行う人達や、イエスそのものに逢い、その時の記録を「ヒマラヤ聖者の生活探求」として出版している。
グリム童話にある「星の銀貨」は、元は民間伝承で、パン1つしか持っておらず、住むところもない少女が、餓えた人にそのパンをやり、凍えた子供に着ている服を全部与えてしまうと、神様が銀貨を沢山くれたというお話である。単なるお伽噺であるが、霊的知覚を働かせると、実に意味深い話である。
尚、先の「ヒマラヤ聖者の生活探求」では、大師(高度な境地に達した人達のこと)達は、食べ物もパンだけでなく、調理された美味しい食事を出したり、快適な住居すら「生やして」、人に与えることすらあった。

まあ、一般の人には馬鹿話か、せいぜいが面白い作り話であろう。「ヒマラヤ聖者の生活探求」を書いたスポールディングは、誓って、見た通りを調査隊の義務と流儀を護ってそのまま記載したし、自分達の見た奇跡現象が催眠術であった可能性も検討し、そうでないことを確認したのではあるが、判断は読者に任せるとしている。尚、この本に登場する大師達は、自分達のやったことは、誰でもすぐにできることであるとしている。
我々に、彼らのようなことができないのは、ひょっとしたら、ものの考え方に問題があるだけで、実はとても簡単なことかもしれない。実際、そんなことはよくあることではないだろうか。


【新約聖書 福音書】
私が知る限り、最も分かりやすい福音書です。まあ、著者は8歳の自分の娘に分かるものにしたようですから当然かもしれません。しかし、決して子供用というものではありません。

【目で見るグリム童話】
19世紀の画家によって描かれた素晴らしい1枚絵とともに語られたグリム童話を再現。美しい情感溢れる絵は見事で、私の宝物です。
「星の銀貨」も、もちろん、1枚絵(4つの部分で構成)と共に収録されています。

【ヒマラヤ聖者の生活探究 第1巻】
普通の人には、にわかには信じられない内容かもしれませんが、著者の誠実さは感じられるものだと思います。
個人的には、そう驚くほどではないと言うか、驚きたくないですね。

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