早起きは三千両の得
朝日とは良いものだ。
日の出の太陽を拝する(おがむとか、敬意を持って慎んで見るという意味)風習というのは世界中にあるようだ。
食の慎みを、幸福のための必要にして十分な絶対条件とした水野南北(江戸中期の観相家)も、朝日を拝することが健康と長寿の秘訣と言ったようだ。
江戸末期の偉大な神道家、黒住宗忠は、病床で死を覚悟した時、朝日を拝して天照大神の生命をいただき、奇跡的回復を見せたばかりか、神人というしかない者となったが、その後も朝の日拝を重要なこととしていた。
日本では、日の女神である天照大神が天界である高天原を統べる最高神であり、黒住宗忠も、天照大神を宇宙をあまねく照らす絶対神とみなして崇拝していた。
宗忠は、人は天照大神と一体であると言う。宗忠に、ただそう言われて奇跡を得た者もいた。
ところで、ギリシャ神話では、太陽神はヘリオスであるが、曙の女神としてエオスがいる。ヘリオスとエオス、そして、月の女神セレネはきょうだいである。
エオスは、地上のすべての生き物と天上の神々に光をもたらすとされ、ギリシャでは、朝日を非常に大切なものであると考えていたようだ。
日本でも、古事記には名前が出ないが、稚日女尊(わかひるめのみこと)という、天照大神の妹神と言われる、みずみずしく若い日の女神がいる。ギリシャ神話のエオスを感じさせるように思う。
朝日がどう良いかについては、諸説あるが、うなづけるものが多い。
生物学的に言っても、早起きは健康のために良いと思われ、また、あらゆる点での効能が感じられるので、優れた人間の多くは早起きを薦める。夜型人間や、起きるのが遅い人間は総じて曇りを感じる。
人生好転のためには、まず早起きではないかと思う。
日本人は昔から、早起きは三文の得とか言ったが、三文どころではない。早起きは三千両の得と言って良いと思う。
毎朝、見るかどうかはともかく、私は、稚日女尊、あるいは、エオスを感じようと思う。
【新修 南北相法・修身録】 食が全て。他はどうでも良いとまで説いた水野南北は、若い頃はチンピラやくざであったが、食を慎み、天下に鳴り響く観相家となり、天皇に貴族にまで叙せられた。また、大長者ともなり、当時では異例の78歳まで幸福に生きた。その南北の教えのエッセンスである修身録ほど重要な書は滅多にあるものではないと思う。 | |
【いのちの教え】 30代半ばで生きる気力を失くし、死の直前までいった宗忠は天照大神の生命をいただくことで、キリストにも匹敵する偉大な神道家となった。宗忠の教えは実に庶民的で、易しく、そして実際的と思う。 これほどの人物が、日本でさえあまり知られていないことが残念でならない。 | |
【神統記】 詩人ヘシオドスが詩で語るシンプルだが雄大なギリシャの神々の物語。神々の系譜の分かりやすさでも評判である。 女神ヘカテーを非常に貴く謳っていることから、ヘカテーのファンには特にお薦めできる。 |
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