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2010.04.24

母親の愛は本物か?

母の愛は海よりも深く、空よりも高いとよく言われますが、これに異議を唱える人もいます。
母親の本当の願望は、自己満足や自分の保全(安全を守ること)のために子供を支配することであることを証明しようとする心理学者もいます。
しかし、これらの考え方や説のどちらか一方だけが正しいとは思わない方が良いと思います。
どちらも正しいのですが、どちらが優性かは、母親という人間の自我の成長(洗練)度合にかかっています。
ただ、いかにひどい母親にも子供に対する愛情はありますし、逆に、いかに愛情深い母親にも打算や、さらには、子供への憎しみもあると思います。

手塚治虫さんの「アポロの歌」という作品があります。
性教育漫画と言って良いと思いますが、今でも、ある程度年配の人には性教育と言われると微妙な感情を起こす人が多いはずです。
しかし、性ほど重要なこともそうはなく、この作品も、人間を理解するためにも極めて重要な傑作です。
「アポロの歌」は、ひどく歪んだ心を持つ少年(15~16歳)が主人公です。
彼は、沢山の父親を持っていました。母親が、男を次々に変えるからです。そして、子供には愛情を全く示しません。
少年は幼い時、母親と情夫の情交現場を見てしまったことが原因で母親に虐待されて言います。
「どうして生まれたの、ぼく・・・。ママ、生まなきゃよかったのに・・・」
これに対し、母親は険しい顔で答えます。
「どうしてって、男と女がくっつくとできちまうんだよ、子どもが!」
彼はすっかり性格のひねた少年になっていきます。
ところが、ある日、少年は母親とケンカし、母親を「おばさん」と呼んで家から飛び出した直後、自動車が走ってきて、彼は間一髪で難を免れたのですが、それを見ていた母親の怯えた顔に驚きます。
少年は後に、美しいが感情のほとんどない女性に言います。「おふくろは目でものを言っていた。どんなににくみあっていても、心の底からふっと出てくるものがあるんだ」

さらに、こんな話があります。
楳図かずおさんの「おろち」という作品の中に「秀才」というお話があります。
※以下、いわゆるネタバレで、ストーリーを明かしています
母親は、子供(男の子)が幼い頃から、厳しい勉強を強要し、子供は勉強は出来るが、それ以外は何もできない少年に成長します。
実は、その子供は自分の本当の子供でありません。自分の本当の息子は強盗に殺されましたが、刑務所に入ったその強盗の息子を無理矢理引き取り、この子をいたぶることで復讐をとげようとしていたのでした。
この子の現在の父親である彼女の夫は大変に優秀で、超一流の大学を出ていました。母親の生きがいは、下らない人間の子供は、どんなに勉強させても、自分の夫である優秀な人間に敵わないことを証明することでした。しかし、この秘密を偶然に知った子供は執念で勉強し、父親と同じ大学への合格を目指します。母親は、勉強中の息子のコーヒーに毒を入れるなど、徹底した邪魔をしますが、彼は負けません。
そして、いよいよ大学受験となり、彼は絶対の自信で挑み、悪魔の母親への勝利を宣言します。
狂気にかられた母親はナイフを彼に向けますが、すでに大きくなった男の子に敵うはずがなく、ナイフを奪われます。しかし、母親はそのナイフにわざと刺されます。母親の顔は歓喜に満ちます。「お前は人殺しだ。私の勝ちね」
ところが、倒れて苦悶する母親を見て、息子の目から涙が流れ、母親を助けようとします。
おろち(永遠の時を生きる少女)は言います。「どんなに憎み合っていても、やっぱり家族なのだ」
===== ストーリー ここまで =====

母親の場合は特に顕著でありますが、どんな人間でも、悪魔にも天使にもなるということです。
それは、自我の洗練度合にかかっています。
自我が洗練されていない時代は、自我そのものが悪として扱われます。
しかし、洗練された自我は天使の心です。醜い自我を輝く光に変えることが、本当の錬金術であり、古来から、それを行う者をアルケミスト(錬金術師)と呼んだのです。


手塚治虫さんの性教育漫画の傑作と、現代の性教育漫画を以下にご紹介します。
いずれも素晴らしい作品で、私はすっかり感動し、人間への洞察を少しばかり深めることができました。
やぶうち優さんの作品は、小学生の学習雑誌に連載されたものらしいです。

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