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2010.04.04

ルイス・キャロルの少女への手紙

「アリス・イン・ワンダーランド」という、「不思議の国のアリス」の続編とも言われる映画が、日本でももうすぐ(4月17日)公開されるようだ。

「不思議の国のアリス」は、ナンセンス文学とよく言われる。「ナンセス」とは、「意味がない」とか「ばかばかしい」といった意味だ。
意味がないからこそ、読者は自分で意味付けをすることができるので、時代を超えて愛されると言う者もいる。

しかし、定まった意味などなく、全て自分で意味付けをしないといけないというのは、いかなる本であろうと同じではないだろうか?
サルトルは「本を読むというのは、本を自分で書くことだ」と言ったが、その通りだろう。
本に限らない。絵画を見ることは自分で絵画を創作することで、音楽を聴くのは、やはり自分で音楽を作り出すことだ。熱心にシューベルトを聴いていたら、突如、自分がシューベルトになったという体験をした者の話が、コリン・ウィルソンの本にあったが、おそらく、よくあることだと思う。
この世の全てが同じことなのだろう。自分が見たいと期待するものを我々は見ることになる。
私が常々話題にする、潜在意識の法則も、原点はここにある。

ルイス・キャロルというのは、作家としてのペンネームで、本名はチャールズ・ラトウィッジ・ドジソンという、優れた数学者だ。
しかし、ルイス・キャロルという名で呼ぶ限り、童話作家とするが、同じ童話作家でも、アンデルセンの作品はよく意味付けをされてしまう。それも本当は良いことではない。
キャロルはアンデルセンより30年ほど後に生まれており、まあ、同じ時代の人と言って良いかもしれない。
共に内気な性格で、生涯独身であった。違いといえば、アンデルセンがかなりの長身であったのに対し、キャロルは中くらいの身長であったということが、キャロルのおそらく最晩年の頃の少女友達であったアイザ・ボウマンの本に書かれてある。キャロルは、白髪であることを除けば、生涯、若々しい容姿を保ったという。論理学の優秀な研究者で、言語障害があったことが、キャロルの想像性を発達させたのかもしれないと私は思う。
尚、アイザは、「不思議の国のアリス」のミュージカルでアリスを演じた、かなりの美少女だった。
ルイス・キャロルの少女好きはよく知られているが、アンデルセンも、スペインで見た11歳くらいの盲目の少女を美の化身とまで賛美し、彼女を「即興詩人」の中でララという名で登場させたくらいで、やはりどこか似たものを感じさせる。

ルイス・キャロルが亡くなったのは1898年。
私が敬愛するジョセフ・マーフィーが生まれたのがこの年だ。
マーフィーはアイルランド生まれで、キャロルは英国生まれであるが、キャロルもアイルランド系であり、生涯に何万通と書いた少女達への手紙の中にもアイルランド流のジョークが見られるようだ。
先ほども書いたが、あらゆるものの中でも、文学というものは自己を投影するのに適したものであり、特に、キャロルのナンセンス文学は、ある意味で、その目的のためにあるようなものだ。
そして、マーフィーの潜在意識の法則では、世界の意味は全て自分で決定すべきものであり、キャロルの文学は個性的な想像力を磨くための宝でもある。

ところで、「不思議の国」のアリス」も良いのであるが、本当に素晴らしいのは、先にも書いた、キャロルの少女達への個人的な手紙であるかもしれない。
キャロルの、少女への手紙の一部を収録し、1978年に出版されたものが、いまだ版を重ねているようだ。
それは、内気なキャロルにとって有り難くないことなのかもしれないが、極めて価値の高いものであることは確かだ。
マーフィーの本と合わせて読めば、世界はあなたにとって意味のあるものになるだろうと思う。

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