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2010.04.28

偉大な嘘

ジョセフ・マーフィーの潜在意識の法則という、それにより、あらゆることを達成することができるのだが、平易で誰にでも理解できる成功原理がある。
ところで、マーフィーの本を読んで、すぐに、あるいは、いったんは受け入れてから疑いを持つ人は少なくないかもしれない。
ある著名なシステムエンジニアが、著書に一度は、マーフィーの法則を、一読の価値ありと書きながら、次の本では、否定的な見解を述べておられたことがある。

マーフィーの本を読んでいると、「かつがれているんじゃないだろうか?」「信用詐欺みたいに感じる」と思うことがあるかもしれない。
実は、私もそうだった。
ところで、マーフィーよりもはるかに強くそれを私に感じさせたのが、ルドルフ・シュタイナー(1861~1925)だ。シュタイナーは教育分野で特に有名で、現在も世界各地にシュタイナー学校がある。ゲーテに関する研究では世界的権威だが、それだけではなく、医療、農業、建築の分野でも優れた業績を残した。しかし、彼の本質は神秘学者(神智学者)である。
シュタイナーは多くの著作を残したが、それらを読むと、おそろしく抽象的で、なおかつ、その内容は奇妙奇天烈に感じる。とても読めたものではなく、私は1冊としてシュタイナーの本を読み通せなかった。ただ、不思議なことに、読めないことが分かっていても、知らないうちにシュタイナーの本を数多く購入したばかりか、私も本の所有数は決して少ない方ではないが、シュタイナーの本だけは、どこに保管してあるのか分かるのである。
そして、私が最もよく読む著者の一人である英国の作家コリン・ウィルソンが、シュタイナーに関して、私と同じであったことに驚いたことがある。あのウィルソンが、シュタイナーの本に関しては、「古くなったトーストのように食えたものではない」と言って投げ出し、出版社に依頼されたシュタイナーの評伝の仕事を断わったことがあったらしい。ところが、ウィルソンも、シュタイナーを興味深く思っていたようである。だから、いったんは評伝執筆の仕事を受けたのだ。
だが、ウィルソンは自分の代わりにシュタイナーの評伝を請け負うことになった、知らぬ仲でもなかった著作家が自殺したことをきっかけに、再度その仕事を受け、覚悟を決めてシュタイナーの著作に取り組み、その偉大さが理解できたようである。
そして、私は、ウィルソンの著作でもって、シュタイナーの理解のきっかけを掴んだ。ウィルソンにはくれぐれも感謝したい。

私は、マーフィーに関しては、自分であらゆる研究をした結果、割と最近であるが、深く信用するに至った。
マーフィーの本は、一般大衆向けに非常に平易に書いてあるが、もし、その中味の深いところまで書けば、シュタイナーの本のようになると思う。実際、シュタイナーの本は、マーフィーの潜在意識の法則の隠れた部分を理解するのに役に立つ。そもそも、シュタイナーが生涯取り組んだ神秘学とは、隠れた真理を知るためのものである。
とはいえ、マーフィーの本も真摯に読めば、自然とこの世の真理が理解できるようになると思う。

しかし、それでもマーフィーが騙していると思うのであれば、騙されればいいではないかと思う。
タオイストである英文学者、作家、詩人、画家の加島祥造氏は、嘘のない真理は無いと著書に書かれていたが、全く同感だ。彼は、老子は嘘つきだし、荘子は大嘘つきだとする。
江戸末期の偉大な神道家、黒住宗忠(1780~1850)が好んでよくする話に、民話かもしれないが梯子仙人という話がある。無垢な男が、仙人になるでたらめの方法を真に受けて言われた通りにやったところ、本当に仙人になり、騙した相手に感謝しながら空に飛んでいったという話だ。
あえて言えば、マーフィーに騙される場合も、マーフィーだけに騙されるべきと思う。つまり、マーフィー自身の著作だけを読むべきで、二次的なものは読まないことをお薦めする。たとえ嘘でも、一貫した嘘なら深い意味があるのである。
ご存知かもしれないが、嘘とは偉大なものであり、まさに、嘘のない真理はないのである。この世の偉大な業績には、嘘から始まったものも少なくはない。

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Comments

こんにちは、じゅんです。
かつてシュタイナーで挫折した一人です;
今でも実家の本棚に数冊眠ってます・・・。

最近ヨーゼフ・ボイスという芸術家について
調べていたのですが、彼の思想の根幹も
シュタイナーのようでした。

シュタイナーさん、方々でひっぱりだこです。

そんないきさつで、近々、シュタイナーに
再挑戦するつもりでいたので、Kayさんが
シュタイナーをとりあげられたタイミングに
ちょっと驚いています。

タイミングと言えば、正法眼蔵も
そうなのですが・・・。


目指す境地は、まだまだ遠い道のりですが
頑張ります!

Posted by: じゅん | 2010.04.28 at 12:02 PM

★じゅんさん
こんばんは!
そうです!私達の間には愛があるのです!
ずっと前に、どこかのBBSで、じゅんさんとシュタイナーの「神智学の門前にて」についてお話をしたことがあるように憶えています。
最近、少しシュタイナーが分かるようになりましたら、本当にいろいろなことが見えてきました。霊が語りかけてもくるようになりました。でも、恐ろしくないですよ(笑)。
高校1年の頃、一日中、テレパシー交信していたのですが、そのやり方も、おそらく霊か天使が私の内面に語りかけて教えてくれたと思います。そのやり方が正しかったことが、今になってやっと分かりました。
「神秘学概論」のみを読んでいますが、1/4読んだとことで、初めから読み返し、「宇宙の進化と人間」という章では、本当に、何度も何度も元に戻って読んでいます。
こんな読み方が楽しいという体験は、本当に初めてのような気がします。
正法眼蔵は美しいです。私も、あまりよく理解できる方ではありませんが、とにかく美しいです。
親鸞も法然も好きで、浄土三部経にまで手を出して読みましたが、あまりよく分かりませんでした。しかし、シュタイナーの神秘学を作用させると、よく理解できそうな気がします。

ヨーゼフ・ボイス良いです。まさに、シュタイナーらしい部分があります。
労働のような営為を芸術化することで、世界を変えていけるというのは本当のことだと思いますし、とても大切なことだと思います。人は皆、芸術家です。
岡本太郎やイェイツも、そういったことを感じていたのだと思います。というよりも、彼らは切ないまでに訴えていたと思います。
私も、ボイスをよく研究しようと思います。

Posted by: Kay | 2010.04.28 at 11:11 PM

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