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2010.04.19

内宇宙への旅

民間人の大富豪が巨額を投じて宇宙飛行を行ったニュースを聞いたことがあるが、宇宙旅行ビジネスというものが注目されているという話を聞いたこともあると思う。
桁外れの金額ではなくなるとはいえ、わずかな時間の大気圏外飛行への予約申し込みは、多くの予想をはるかに上回るほどにあるらしい。
理由は様々であろうが、宇宙に飛び立ちたい人々が多くいるのは確かかもしれないと思う。
では、なぜ、かなりの費用を払ってまで、ほんのわずかな宇宙飛行をしたがるのであろうか?初期のうちは、絶対安全という確証は必ずしもないにも関わらずである。
立花隆さんが1981年に「宇宙からの帰還」という本を出し、現在もロングセラーを続けている。私も昔、ページをめくった憶えはあるが、むしろ、他の本での引用の方が印象的だった。私が見た引用されていた内容とは、いったん宇宙に出た人間は意識の変革を起こし、決して以前と同じ人間ではいられなくなるというものだ。宇宙飛行士の中には確かに、地球帰還後、仕事を変わり、芸術家に転進したり、宗教家になる者や、神秘学や超心理学の研究を始める者もいるらしいが、それがどれほどの割合で、実際にはどんな理由からであるかはよく分からない。
ただ、異常体験、非常体験といったものが意識の変革をもたらすということは十分に考えられることだし、宇宙飛行ともなると、精神的にも肉体的にも多くの点で特異な体験であるので、相当なショックを受けることは、まず間違いないと思う。
若い時であれば、海外に行き、異国情緒溢れる風景を見るだけでも精神に与える影響は大きい。邱永漢さんが著書で、「エッフェル塔は若いうちに見ておけ。年を取ってからだと、初めて見ても、当たり前に受け取ってしまう」と書かれていたのが心に残っている。年を取ってから同じ効果を出すには、宇宙飛行くらいでないといけないということだろうか?

ところで、宇宙旅行が、アウタースペース(外宇宙)を体験することであるなら、インナースペース(内宇宙)である、我々の精神の内側を深く体験することも、もっと重要視して良い。それは、いつでもやれる可能性があり、お金もかからず、得られるものははるかに大きいかもしれない。私はそうであると確信している。
私は、月にまで行った宇宙飛行士が体験したという神秘体験は、本当は、外宇宙旅行をすることで内宇宙を体験したのだと思っている。
内宇宙体験の代表的なものが、作家のロマン・ロランの言う「大洋感情」や、心理学者のアブラハム・マスローが唱えた「至高体験」であると思う。岡本太郎の「爆発」も同じものだと私は思っている。そして、これらは、決して特別なものではなく、実際にはありふれたことであると思う。


【宇宙からの帰還】
宇宙飛行士とはどういったものかとか、宇宙飛行の歴史、それに、映画にもなった「アポロ13」の事故の冷静な顛末も見れて、なかなか興味深いと思う。
私は、相当若い頃に読んだこともあり、人類初の月面着陸に関する裏話など、おかしな部分ばかりが記憶に残っている。いずれ読み返そうと思っている。

【至高体験】
著名な心理学者アブラハム・マスローと深い親交のあったコリン・ウィルソンが、天才的洞察力で、ウィルソン自身のライフワークでもある至高体験を実に興味深く語っている。必ずしも読みやすい本ではないかもしれないが、驚くべき重要な書と思う。

【右脳の冒険】
原題は「内世界への訪問(Access to Inner Worlds)」である。現代人はなぜ不幸なのか?世界をリアルに体験する能力を取り戻し、真の平安、幸福に至ることを阻害しているものは何か?人類が緊急に取り組まねばならない課題と、その解決策の鍵を集め、天才コリン・ウィルソンが洞察した貴重な書である。

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