至高の存在はあなたの中に
インドに、ニサルガダッタ・マハラジと呼ばれた聖者がいた。
1897年の生まれというから、同じく私が敬愛するジョセフ・マーフィー(1898年生)とほぼ同じ年である。
マハラジは37歳で悟りを開いたというが、その経過が興味深い。彼は、特に努力も修行もしなかったという。
彼は妻子もある、ぱっとしない商売人として生涯を過ごした。外見上は、貧しい庶民である。
彼は、師に言われた一言を忘れなかったから、わずか4年で悟りを得た(真我を実現したと表現される場合が多い)という。
その言葉とは、「あなたは至高の実在である」だ。つまりには、「あなたは神なのだ」という意味だ。
だが、日本語に翻訳されたこの言葉や、この話そのものを注意して受け取る必要があるかもしれない。
マハラジの師が、正確には何を、どんな意味で言ったのかは分からないし、我々が思うのとは全然違う意味で言われた可能性もあると思う。
言葉や、その背景にある風習の違いというものは、我々が考えるよりも大きいのである。
マハラジは、不満は全く持っていなかったと思うが、物質的には恵まれていなかった。同時代のインドの聖者ラマナ・マハルシとなると、生涯、ふんどし1枚しか所有しなかった。
聖者の中にも、社会的に大きな実績を上げた者もいるが、この2人はそうではない。だからといって、低く評価されるわけではない。
この2人が社会的に活躍したといえないのは、おそらく、2人とも、大きな不幸に見舞われなかったからだろうと思う。マハルシにいたっては、農作業のようなことはしたと聞くが、社会的な経験は全くない。
そのようなことは、一般の人にも当てはまる。大きな富を得る者というのは、人生の初めにかなりの苦難があった場合が多い。ビル・ゲイツなどは、豊かな少年時代を送ってはいるが、仕事を始めた17歳の頃からは本人の言うとおり、休日なしにフルタイムで働いたし、精神的危機も多かった。富は誰にでも得られるが、何らかの代償は必要かもしれない。
ところで、マハラジが師に言われた「あなたは至高の実在である」であるが、あえて言えば誤解しやすい言葉と思う。
この「あなた」と言うのを、自我と勘違いする場合が多いからだ。
ジョセフ・マーフィーでは、「あなたの中に至高の実在がある」といったようなことを言うし、ほぼ全ての聖者も同じことを言う。マハラジの師も、おそらくはこのニュアンスで言ったと思う。
では、我々はやはり、「私の中に至高の実在がある」と思うのが良い。
ジョセフ・マーフィーの本の中では、「我々の中に無限の力、無限の知恵である宇宙の活力がある」といったように言われている。この無限の力が潜在意識である。
精神医学の分野でも、偉大な精神科医ミルトン・エリクソンは、「無意識(潜在意識)をもっと信頼しなさい」と常に言い、彼は超常現象は認めていなかったが、無意識の中の驚異の力に関しては自然に実証していたものだった。
ジョセフ・マーフィーやミルトン・エリクソン、そして、エミール・クーエの本を読み、潜在意識の力への信頼を持てば、強力な力を味方につけることになると思う。
昨日ご紹介したものと一部重複するが、やはり、自己の中(潜在意識)に存在する至高の存在について知るための優れた書籍をご紹介する。
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