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2010.03.03

尊厳

「悪魔の花嫁」という、1975年に連載が開始された古い作品であるに関わらず、いまだ出版され続け、さらに、中断はあるものの、現在でも継続中である漫画作品がある。

そのお話の1つで、あるサーカス団で、同僚の空中ブランコ乗りを殺した男がいた。その事実を知っていた男がいたが、彼は黙っていた。彼は、「人を殺すにはよくよくの事情があったのだろう」と言う。
同僚を殺した男も、最後には殺されることになる。男は言う。「人を殺すには、よくよくの事情があるのさ」と。男は、自分が殺される事情が、自分には罪のない誤解であることは分かっていたが、それ以上、何も言わなかった。

1934年のアメリカ、インディアナポリスのプロレスリングの試合で、ジョージ・トラゴスという名の老レスラーが、バスター・エドワードという、全米アマレス王座を獲得してプロ転向し、1年弱でスターダムに躍り出てきた若い選手と戦った。トラゴスは、試合開始わずか2分ほどで、鍛え上げた関節技でエドワードの左肩を破壊した。エドワードは左腕を切断しなければならなかった。

「悪魔の花嫁」で、男が同僚を殺した「よくよくの事情」や、自分が殺されることになる事情も、客観的に見れば、他愛ないものと思われるかもしれないものだった。
トラゴスがエドワードの肩を破壊した事情は、バスターズや、その試合を組んだプロモーターに、プロレスリングに対するリスペクト(尊敬)がなかったからだった。
いずれの事情も、私は肯定はせぬまでも、納得してしまった。

悪意はなくても、人の心は残酷なことを本気でやってしまうものだ。
「灼眼のシャナII(セカンド)」というアニメの主題歌「BLAZE」に、「守りたいものに、今、羽を付けて、尊厳を取り返しに行く」という詩がある(作詞はKOTOKOさん)。
現代のアニメソングの詩はなんとも凄い。
トラゴスが守ろうとしたものこそ、プロレスリングの尊厳だったと思う。
人が守ろうとしているものをリスペクトし、いかなる場合も決して蹂躙してはならないことを忘れるべきではない。


悪魔の花嫁(8)
主人公の美奈子は女子中学生で、確かに女子中学生らしいのだが、この表紙の絵に違和感が無いほどの「女」でもあったと思う。
本文のお話は、この第8巻に収録。

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