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2010.02.21

宇宙からの侵略者に立ち向かう

宇宙からの侵略者と戦うSFには、どこか異様な興奮を感じる。
その理由は、単なる表面的な面白さだけではない。
1953年と2005年に映画化された、H.G.ウェルズの歴史的小説「宇宙戦争」(1898年)を典型とするように、敵があまりに強大で、我々に勝ち目は無いのだが、それでも戦わねばならない宿命に、何かを感じるのだ。
しかし、「宇宙戦争」は、今でも、ウェルズらしい思想の深さで、後の作品をも圧倒するが、人類の勝利は偶然だった。

あきらかに「宇宙戦争」を元にしたと思われる映画「インデペンデンス・デイ」(1996年)は、「宇宙戦争」とは似て非なるものだ。そのタイトルから予想されるように、人類の勇気と英知で勝利したと言っているようだが、あまりにアメリカ的な大雑把なお話だった。
新興宗教であるサイエントロジーの教祖として知られる天才作家L.ロン.ハバートの小説で、アメリカでは、ある調査で、20世紀文学のSF部門1位、全ジャンルでもヘミングウェイやスタインベックの作品を抑え3位とされる長編SF大作「バトル・フィールド・アース」も宇宙人の侵略ものだ。この小説は、熱心なサイエントロジーの信者であるジョン・トラボルタにより、2000年に映画化されている。なんと、30世紀の人類の軍隊が9分も持たずに敗れ去った宇宙人を相手に、既に旧石器時代並に退化した人類が地球奪還を試みるという壮大なものであり、それなりに面白かったが、これも、「人類は劣るが、勇気や心意気で勝利した」という感がぬぐえない。

力の差のある相手との戦いということでは、石ノ森章太郎の「サイボーグ009」で、2222年の未来からタイムトラベルしてきた未来人と戦うものがあった。簡単に拉致された009に、敵の指揮官は「力の差と思って諦めてくれ」と言うが、009も読者も納得せざるを得なかった。
また、「サイボーグ009」の映画で、サイボーグ戦士達が、はるか銀河を離れ、強大な宇宙人と戦うものもあり、非常にわくわくしたものだ。
しかし、「サイボーグ009」は、元々が、自分達より優る相手に挑むところが見所だった。009達は試作品サイボーグである。そして、彼らが戦う相手は、彼らの後で作られた完成品や、さらに発展した強力なサイボーグ達だった。
その中で、009の歴史的なセリフ「後は、勇気だけだ」が生まれ、心の力が主張されたことは良いことであったと思う。

しかし、全てに物足りない。
心の本当の力は勇気だけだろうか?
数千年、数万年長い歴史を持つ相手には絶対的に劣るのであろうか?
それこそ、我々の、枠をはめられた思い込みであるかもしれない。

SFという、一見娯楽であるものを利用し、我々は超人になることもできるのである。
宇宙からの侵略者を相手に実力で対抗できるなら、日常の敵など、もはや取るに足りないのだ。

そんなことを長い間考えていたが、最近、衝撃的なものを見つけた。
それは、1970年頃にイギリスで制作されたSFテレビドラマ「謎の円盤UFO」(原題は“UFO”)の1つのお話だ。
この作品は、「サンダーバード」「キャプテン・スカーレット」などで知られるジェリー・アンダーソンが初めて人間の俳優を使って制作したものだ。
優れた思想家とも言えるアンダーソンの制作だけあり、宇宙人の侵略の意図も画期的で、彼らに悪意はないとされる。彼らにとって、我々人類は家畜みたいなもので、単に彼らの生存の必要から地球を入手しようとしていたのだ。ここらは、2005年のスピルバーグによる映画「宇宙戦争」も同じであった。
そこまで力の差のある相手に挑む人類の指揮官は、ストレイカーという若き最高司令官(40代)だが、いかに彼が優秀でも、宇宙人から見ればサル以下のはずだ。しかし、ストレイカーは常に勝利する。
ストレイカーの勝利は、それはドラマだからと言えばそれまでである。しかし、どれだけの人が気付いたか分からないが、その第21話に驚くべき秘密が描かれている。
21話は日本でのタイトルは「ムーンベース応答なし!」で、原題は“THE DALOTEK AFTER”(ダロテック事件のその後)である。
宇宙人の高度なテクノロジを駆使した作戦に、手も足も出ない地球防衛軍シャドーであったが、ストレイカーは実に不思議な方法で宇宙人の作戦を打ち破る解決策を得る。
ストレイカーは、約10年前(1969年)に撮影されたビデオが、なぜだか分からないがどうしても気になり、それを再生したが、その中のたった一言に、宇宙人の作戦を見破る鍵があったのだ。

精神分析学的に言うと、ストレイカーの無意識は、既に宇宙人の作品を見破っていたのだ。しかし、焦りや緊張もあったのだろう。ストレイカーの意識にはなかなか上ってこない。
しかし、沈着冷静が売り物のストレイカーは、一瞬でも心を静めることができたのだろう。その時、無意識からのメッセージを受け取ったのだ。
ただし、このお話では、ストレイカーの作戦は伝えらないまま、フォスターという若き指揮官が同じ作戦を偶然に発見し、それを遂行するという展開となっている。
それもまた意味深い。

さて、私は、このようなことを、最近の精神医学の研究の中で見出し、超人への完全な道を知ることとなった。
重要な参考文献をご紹介しておく。


エスの本
「心身医学の父」と呼ばれるドイツ人医師ゲオルク・グロデックが、若い女友達への手紙という形で、エスという、我々の無意識の中の驚異的な存在について実に興味深く語った極めて貴重な書だ。
我々はエスによって生かされており、エスによらずには何も起こらない。
フロイトのエスは、グロデックの概念を借りたものであるが、グロデックのエスはそれとは全く異なる。はるかにすごい。
本書はセクハラまがいの内容と取れる向きもあるかと思うが、そうではなく、グロデックに意図があったのだと思う。そして、本書は大変な手間と情熱をかけて翻訳されている。

私の声はあなたとともに
精神科医としてはフロイトが最も有名であるが、フロイトは現実には治療に成功したことはほぼなかった。しかし、フロイトが残した膨大な症例文書にある患者も、エリクソンならかなりを治療できたのではないかと私は考えている。実際、エリクソンは魔法を使って治しているのではないかと言われるほどの天才治療家だった。
難しい本ではない。エリクソンがセミナーで語った、短く面白いお話を収録してあるが、これらのお話には、受講者の無意識に優れた影響を及ぼす力がある。それを、エリクソンの信頼厚い精神科医のシドニー・ローゼンが、その効果を減じないよう大変な工夫をして文章にしたのが本書だ。日本語を習い、日本で働き、講道館で柔道を学んだローゼンは、この日本語版への序文を寄せている。

ウは宇宙船のウ
世界的に有名な、レイ・ブラッド・ベリのSF短編小説集を、萩尾望都さんが素晴らしい漫画にしたものだ。ここには、奇想天外な侵略を進行する宇宙人のお話も収録されている。
とてもロマンチックなお話もある。私は、12歳の少女タリーと、彼女を愛する男の顛末を描いた「みずうみ」が子供の頃から好きだった。
小説ももちろん良いが、萩尾さんの鮮やかな感性が息づく本書も実に素晴らしく、30年を超えて読み継がれており、今でも新品で入手できる。

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