信用できる人
007シリーズで知られる小説家イアン・フレミングは、その作品の中でジェームズ・ボンドに「私は背の低い男を信用しない。背が低いことで彼は世間に恨みを持っているからだ」と言わせているようです(私は007シリーズは1冊も読んでいませんが、無能唱元氏の古い本で知りました)。
差別発言もいいところですが、フレミングの経験がそう言わせるのだろうと思います。
男にとって、背が低いことの不利が無いとは言いませんが、私なら、むしろそれに耐えてきた男の方が信用できます。いえ、身長に限らず、あらゆることにおいて、恵まれた条件でスタートできないことでしか学べないことが沢山あります。その輝きを拾い集めた人間こそ信用できます。ただし、それはリスクのある学びであることも確かで、やはり世間を恨むこと等により本当に信用できないような人間になってしまう危険があります。
しかし、本来、信用できる人とは、約束を守る人です。
嘘をつかないということも大切ですが、もっと進歩した世界にならないと、この世では嘘も必要な場合があるかもしれません。
この暗いところもある世界では、嘘も時に、優しさや親切になり得ます。しかし、それは、やはり人類の意識がまだ低いからです。
高い意識を有する人々の中では(彼らは文明化されていないことも少なくありませんが)、嘘は存在しません。
「クリス、死ぬ前に教えてくれ、お前の本当の狙いは何だったんだ?」
「金(きん)だ」
「やっぱりそうか。分け前は?」
「1人1万7千」
映画「荒野の七人」より。クリス達が善意から、1人わずか20ドルで村を盗賊団から守って戦っていることを信用せず、クリスには別の狙いがあると思い込んでいたハリーが、銃弾を受け、絶命する刹那にクリスを問い詰めた時の2人の会話。2人は古い友人だった。尚、クリスの答えは嘘であり、満足して死んだハリーに「金の夢を見ろ」と言う。
荒野の七人(特別編) (DVD) 日本語吹替え付。黒澤明監督の「七人の侍」を西部劇化したと言われる1960年の作品です。 30代だったユル・ブリンナー、チャールズ・ブロンソンらが格好良い。たまにはこんな映画で、「本物の男」を見たいものです。 村の子供達が、盗賊団に手向かい出来ない父親達のことを「お父さん達は勇気がない」と言うと、ブロンソン演じるベルナルドは怒って、「俺には収穫を待ったり、子供を育てる勇気なんかない」と言う場面が私には忘れられません。 | |
夢(DVD) なんと、こんな名作がこの値段でと驚きです。 黒澤明監督が見た夢を映像化した珠玉の傑作短編集です。 桃畑での桃の木の精霊達の舞は、異世界を映像化したような幽玄の美と思います。 「トンネル」での幽霊の兵隊達へのやり場のない感情と寺尾聰演じる元隊長の誠意。 あの、マーティン・スコセッシがゴッホ役で登場します。 |
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Comments
『夢』 は封切られたときに1回みただけですが
4~5年前にリバイバル上映された
デジタル・リマスター版『荒野の七人』 を
初めて通して鑑賞しました
(かつてTVで観たのは2週に渡る「前・後編」)。
C.ブロンソン……
やっぱ カッコイイですよね。
スカウトに来た2人に
「報酬は20ドル」 って言われて
振り上げていた斧まるごと固まっちゃうところとか……
最期が 駆け寄ってきた男の子3人を守るため
っていうのも シビレます……。
あのまま薪割りをしていたら
彼は決してヒーローになれなかったはずです。
もうひとり忘れられないのが
お坊ちゃま風のロバート・ボーン……。
早撃ちスキルが抜群なので
一騎撃ちだったら無敵なんですけど
どこから弾が飛んでくるか判らない戦場では
臆病もの丸出しの彼が
最期に意を決して 突撃し
村人たちを救い出して死ぬ
というシチュエーションは
ああ ようやく敗者復活戦に勝てたね
って感じで すっごく感動したもんです。
そうそう
トラック B. ちゃんと表示して戴いて
どうもありがとうございました。
もしかして 別の記事から
わざわざ移動して下さったんですか?
だとしたら
本当にお手数をかけました。
ただいま
第4章分を執筆中ですが
手がかじかんでいるので
仕事が はかどりません。
一体 いつになることでありましょうか……?
Posted by: Minr Kamti | 2010.02.13 10:09 PM
でるおです。
桃畑。いいですよねぇ。
少年が少女を追いかけるシーンとか
たまりません。
他に狐の嫁入りと水車村の葬式行進も
大好きです。どの作品も神秘的な
怖さがあって大好きです。
Posted by: でるお | 2010.02.14 02:06 AM
★Minr Kamtiさん
をを、2作共に、見ておられましたか?
ブロンソン・・・いいですね。
今では、男臭い俳優の代表はジョニー・デップかなあ・・・悪くはないですが、違うなあ。
確かに、リー(ロバート・ボーン)も良かった。「七人の侍」に対応するキャラはなく、監督の思い入れがうかがえるように思います。
★でるおさん
桃の精の少女、印象深かったですね。
割と普通の感じの少女でしたが、いるはずのないもの、つかまるはずのないもの・・・それが姿を見せたわけ・・・いやあ、神秘ですね。
狐の嫁入りは、ちょっと恐ろしかったですが、黒澤さん、さすがいい夢見るなあ。
Posted by: Kay | 2010.02.14 03:38 PM