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2010.02.28

狂気こそ宝

アメリカの偉大な精神科医ミルトン・エリクソンは、17歳の時に、ポリオというポリオウイルスによる感染症にかかりました。
これは恐ろしい病気で、彼は全身が麻痺して動かなくなり、出来ることは、目玉を動かすことだけでした。
彼はなんとか回復しましたが、脚などに障害が残りました。また、彼は色盲で、さらに、失音楽症という、音楽が理解できない障害がありました。
しかし、彼は苦学しながら医学校を卒業し、精神科医になりました。心理療法家として、エリクソンは驚くべき能力を発揮し、魔法を使って治しているのではないかと言われるほどでした。彼が亡くなって30年ほどが経ちますが、彼の功績は全く色褪せず、その治療技術は今でも重要なものとして学び続けられています。

ヘレン・ケラーは、ご存知と思いますが、幼い時の熱病で、視覚、聴覚を失いました。
しかし、彼女が大学生であった23歳の時に書いた著書である「楽天主義」を読むと、彼女がその時、既に賢者であったと感じます。
彼女は言います。感覚は幻想だと。そして、観念のみが真理であると。

神経科医のラマチャンドランの本で読んだのだと思いますが、7歳の天才的なデッサン能力を持つ少女がいました。
レオナルド・ダ・ヴィンチが、馬の骨格や筋肉の仕組みを研究し理解して初めて描けるようになった馬の絵に全くひけをとらない馬のデッサンを、絵の訓練を受けたこともない幼い女の子が描くのでした。
その頃、彼女は、脳に障害があり、話すことができませんでした。しかし、成長と共に障害が治ると、そのデッサン能力も消えました。
そういえば、アインシュタインも5歳頃まで言葉を話さなかったと聞きます。

人間は、何かの障害を持つと、それを補うための能力を発達させるもののようです。
アメリカのテレビドラマ「大草原の小さな家」で、今で言う小学生だったローラの学校に、オルガという名の両脚の長さの違う障害のある少女がいました。そのせいで友達と外で遊ぶことができないことを可哀想に思ったローラが、父親のチャールズにそのことを話すと、チャールズは「何かで欠けている人は、別の点で優れたものがあるのだ」と言います。
「荘子」の「人間世」に、誇張されていましたが、大きな障害を持つ男が登場します。しかし、彼は普通の人間より楽しく生きていました。荘子は、肉体に欠点があるだけで安らかな生涯が送れるなら、才徳において無用な人間が天寿を全うできないはずがないと述べています。
いろいろに解釈される言葉ですが、新約聖書のイエスの言葉「心の貧しい者は幸せである」という言葉を思い出します。

私の重度の引きこもり気質は、私の味方であると言えると思います。
ルイス・キャロルは、明らかなロリコンでしたが、精神を正しく導くことで、その性質が彼を賢者にしたと思います。
芸術家に典型的な例が多いのですが、偉大な人物で、心に狂気や大きな欠陥のない者は皆無であるはずです。
なぜみんなが、絵に描いたような健全で爽やかな人間でなくてはならないのでしょうか?
心に欠陥があるなら、大いに喜ぼうではありませんか?
ただ、池田満寿夫がこう言ったことも重要です。
「芸術と猥褻の差は、ソフィスティケイト(洗練)されているかどうかだ」
洗練なんて難しく考える必要もないと思います。ただ、それを宝と見なすことと思います。
性欲も食欲も、宝に相応しく扱わないといけません。
ルイス・キャロルは少女好きの性質を、そのように扱っていたと思います。
横尾忠則さんは、芸術には狂気が必要と言いますが、狂気こそ宝なのでしょう。

引用した書籍

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Comments

毎日、読ませて頂いております。
毎回、すごく、ツボです。ありがとうございます。
ITスペシャリストというと、バブルのような、格差拡大、世に自殺率の上昇をもたらすイメージがありましたが(^_^;)、ここでは、常に、無意識を含めた人間が、希望を持って、語られておりますね。
小説を書きました。誠に勝手ながら、もしお時間が許せば、ご高覧頂き、ご感想を聴かせて頂ければ、幸甚に存じます(いろはの書)。
今後とも、ご健勝をお祈りいたします。

Posted by: HIRANO | 2010.02.28 at 04:16 PM

★HIRANOさん
ITスペシャリストは時代の黒子ってところです。ひたすら社会にひれ伏さないと仕事になりません。
小説ですか?読むかどうかは、無意識に尋ねてみます。考えてみれば、古典、寓話以外の小説を読むことが滅多にありません。

Posted by: Kay | 2010.03.01 at 06:40 AM

狂気……いいですね。
 私も ほとんどボーダーですから……。
根は Kayさん同様
 引き篭もり以外のなにものでもないんですが
(現時点では) オフラインのみの画業なので
営業・社交人格を前面に押し立てて
 銀座界隈に出かけていきます。
その人格は 必要以上のお喋り者で

 《3倍返しのペダント》

  なるニックネームを持っているほどなんですよ。

ところで
 バカボンのパパは13歳まで喋れなかったらしいですから
この天才が永遠に失った才能は
 本当に計り知れないものだったのでしょうね。

Posted by: Minr Kamti | 2010.03.03 at 09:35 PM

★Minr Kamtiさん
まあ、大昔の中国あたりでは、自分の子供を塩焼きにして主君に献上することは狂気ではなく、忠義と考えられていたようですが。
私なんて、ごくごく普通ですよ(こういう人が一番危ないという説もありますが)。
お金を得るには営業は必要ですね。
見返り期待し、いつも親切・・・私の処世術かな(笑)。

Posted by: Kay | 2010.03.04 at 06:03 PM

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