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2009.11.20

精神分析 VS 自己暗示

ジクムント・フロイトは精神分析医でした。
彼は、本当は医者ではなく研究者になりたかったようですし、実際にもその方が向いていたのかもしれませんが、経済的な事情から医者になりました。もっとも、当時は、医者は必ずしも高収入ではなかったですし、特に、精神分析医はそうではなかったかと思います。

そして、本質的に医者に向いていないフロイトは、意図的ではなくても、患者を研究対象としていたかもしれません。ただ、その分、一人一人の患者に長時間をかけ、可能な限り無休で熱心に対応しましたが、面白いことに、それが患者の親しみや信頼を受けることになりました。
フロイトは、現実的には、治癒に成功した患者はほぼ皆無でしたのに、多くの患者が彼に強い感謝の気持ちを持っていたようです。
患者としては、フロイト先生の熱心さに感謝したのでしょうが、自分が研究材料として興味を持たれていたとは知るよしもありませんでした。

そして、フロイトは医者としては無能と言わざるを得ないかもしれませんが、彼の治療の名のもとに行われた「実戦」研究は非常に貴重なデータを残しました。
彼は本当に天才でしたし、病的なまでに几帳面で、特に文章に関しては美文家で知られており、多くの文書を残したことも幸いしました。
ユングやマスローは、いったんはフロイトと親密でしたが、やがて決別しました。それでも、ユングは、フロイトの巨大さは認めざるをえませんでしたし、マスローは、自分の仕事はフロイトの深い意味の追求だと著書にも書いたほどです。

また、こんな面白いこともあります。
現在、我国で人気のある精神分析学者の岸田秀氏は、幼い頃から、母親の影響による強い精神疾患で悩んでいましたが、フロイト理論を独学し、工夫して自分自身の治療を試みたところ、見事に治ってしまったと著書に書かれています。
精神的な問題は、自分で何とかしようとする自発的な心構えが必要なのかもしれません。

フロイトと同時代に、彼より10歳年下のゲオルク・グロデックという精神分析医がいました。 どこに濁点をつければ良いのかなかなか覚えられない嫌な名前です(笑)。
フロイト理論には、エスというものがあり、これがまた曖昧で分りにくいものです。敢えて簡単に言えば、無意識の中に潜む生命エネルギーといったところでしょうか。しかし、無意識とは何かとか、精神の中のエネルギーとは何を意味するかとなると、なんとも言えませんので、やっぱり曖昧としか言えませんし、科学的ではないでしょう。それでも、エスはやはり重要な何かであるとは言えると思います。
(上述の岸田秀氏は、「簡単に言えば、無意識は全部エスだ」と著書に書いていますが、その方がすっきりしていると思います)
このエスのアイディアをフロイトはグロデックから得たことを、フロイトも認めています。さらに、グロデックもまた、その発想をニーチェの著作から得たと言われます(ニーチェとグロデックは親戚でした)。そして、グロデックのエスと、フロイトのエスはかなり異なるものです。
グロデックのエスは、フロイトのエスよりさらに驚異的なものです。それは、身体の中に潜む神秘的な力ある精神です。いかなる病気も、アレルギーも、その他、肉体や精神に現れる一切も、そしてさらに、転んで脚を折ったり、偶然に飛んで来た弾丸が身体のどこに命中するかといったことまで、エスによらずに起こることはありません。全てはエスの意思の通りに実現します。

ところで、グロデックが精神分析医であることは述べました。他の医者が見離した患者を専門に、マッサージ、食事療法を含めた精神分析療法で治療を行いました。しかし、成果の方はと言いますと、フロイトほどひどくはなかったかもしれませんが、絶賛でききるようなものではなかったと思います。
重病患者を「散歩に行こう」と無理矢理連れ出そうとし、患者は玄関で絶命したなんて話もあるくらいです。

ところが、フロイトより1つ年下のフランスの薬剤師で、後に心理学者になったエミール・クーエとなると、数多くの難病に対し、奇跡的とも言える治療成果を上げています。しかも、クーエは無報酬で治療しました。
クーエが使ったのは暗示療法でした。
そして、クーエの方法は1冊の本で楽々まとめられるシンプルなもので、実際に書籍にして販売され、誰もが、病気治療に限らず、性格や習慣の改善、能力の発揮や向上のために存分に利用することができます。
実際には、クーエの手法の重要な部分は数分で伝授できるようなものです。そして、それがクーエの方法の全てと言っても差し支えないことをクーエも認めています。

ただ、クーエの方法は長く優れた効果を発揮し続けましたが、近年では成果が得られにくくなっているように思います。それは、文明のもたらした多くの弊害のためと私は考えています。
環境が快適になり、人間の動物的能力が損なわれてきました。特に、生体を調整する脳の機能、中でも脳幹が弱くなり、人間は肉体的、精神的に弱くなってしまいました。肉体の強さは、スポーツの記録とは別のものです。スポーツの一流アスリートも、健康面では普通の人と変わらないか、引退後はむしろ弱いことも珍しくありません。
そして、美食・飽食が我々を破滅させつつあることは、ほぼ間違いないと私は思います。空腹を感じることもなく、ぶよぶよの脂肪が付き、血糖値が異常に高まるといった状況では、いかなる方法を持ってしても、肉体、精神の向上を計ることは不可能です。そして、この状況を改善することは、特に日本やアメリカ、あるいは、中国の富裕層において難しいことであると思います。
スポーツ選手は、現役時代に大食する場合も多く、特に一流選手の場合は美食であるのが大半かもしれません。それで、過去には輝くばかりの栄光にあった人達が、後に重病になったり、糖尿病はじめ、深刻な疾患を抱えていることもよくあります。
スポーツ選手であっても、そうでなくても、冷暖房の使用はほどほどにし、食を慎むことが必要であると思います。


自己暗示
前半は、C.H.ブルックスによる、稀代の暗示療法家エミール・クーエの驚くべき治療風景や、クーエによる自己暗示の実践編を読むための効果的な解説がある。
後半は、クーエ自身が自己暗示のやり方を簡潔に教えてくれる。それはとても簡単なので、この本だけで全く十分であり、その効果はクーエの直接の指導の場合と変わらないはずだ。
さらに、クーエの素晴らしい論文「教育はいかにあるべきか」も収録されている。
入手し難くなりつつあるのかもしれない。手に入るうちに入手されることをお薦めする。

暗示で心と体を癒しなさい
上記の本の、エミール・クーエによる自己暗示の実践部分と、それに独自の解説を加えた新訳。
新しい本だけあり、見易く、読みやすい。
こちらも十分にクーエの手法をマスターできると思うが、クーエの温かい診療所の情景が浮かぶC.H.ブルックスの優れた解説や、クーエの論文「教育はいかにあるべきか」は、上の本で是非読みたいものと思う。

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Comments

毎日Kayさんの記事を読んで、クリックするのが日課です。
ランキング一位ですね。
うれしいです。

Posted by: しゅう | 2009.11.20 11:51 AM

食の慎みがすべての基本であると思います。実感しつつあります。
私自身、TM・ヨガ・MRT・空手をやってきて(MRT以外はすべて現在もやっている)、どうしても突破できない部分があり、近年何かともがいていました。
その昔ある方に、精神力を上げるには食欲・所有欲・睡眠を規制すれば良いと教えられ、10年経ったこの春から少食を実施し始めました。
実生活では、状況のコントロール力が高まり、物事の起こるタイミングが合うことが多くなってきました。
不思議なもので、所有欲や睡眠が影響を受け、少なくなってきたようです。
もう戻ることはありません。心と身体が、どっちがおいしいか分かり始めたからです。

Posted by: ふくちゃん | 2009.11.20 06:31 PM

★しゅうさん
ありがとうございます。
私は、ランキングにはあまり執着していません。
順位とブログの良さって、全く関係ないように思います。
私は興味がないですが、おそらく、自分でポイントを入れる方法があるんじゃないですか。
くっだらないブログが1位とかなってますし・・・って、自分を省みろですね。

★ふくちゃんさん
私は、TM、MRT、SMI、MT法、その他、短期間ならもっといろいろやりました(笑)。
で、今は、毎日必ずは、大祓詞を唱えるだけかなあ。
1日1食、菜食、間食無しは、もう普通ですしね。
私も、食の慎みが基本であるというのに同意です。
皆も、これをやるといいのにと思いますが、食べないことが悪いことであるという偏見が強すぎるようです。

Posted by: Kay | 2009.11.20 10:04 PM

kay様

毎朝、楽しみに拝読させて頂いております。
食を慎むことを実践し始めてから数カ月経ち、その計り知れない影響、気配のようなものを心身で感ずるようになりました。

心を開いて語り合う(そこに必ずしも言葉はいりませんし、相手がいるとも限りません)という喜びを、素直に受け入れることが出来るようになったことは、まさにその一つだと思います。
心を開いて相手と対話をすること、自問自答をすることから逃げないと言ったらよいのでしょうか。


これからも楽しみにしております。

Posted by: tomo | 2009.11.20 11:09 PM

★tomoさん
正直、よく理解できませんが、良くなってきていると思われますので、喜ばしいですね。
私の場合は、食の慎みから、何らかの成果を得るのに1年以上かかったように思いますので、素晴らしいことと思います。

Posted by: Kay | 2009.11.21 07:37 AM

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