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2009.11.17

現実世界は本当は無い

4歳の私は、ドアノブをじっと見つめていた。
ドアノブを見ていたのは、その透明プラスチック製のドアノブが、テレビか映画で見た、魔法使いの魔法の杖の先に付いていたものによく似ているように思えたからだ。
しかし、やがて、別の理由で、ドアノブから目が離せなくなった。
奇妙な感覚に襲われたからだった。
そのドアノブに現実味がないのだ。
そのドアノブは本当にそこにあるのだろうか?
見れば見るほど、それが疑わしく感じられる。
ただ、幸いなことに、私はその感覚を楽しめたので、精神に異常を来たさなかったのだと思う。
どんな感覚かをもう少し詳しく言うと、それを見ている瞬間に、それが消滅するように感じたのだ。しかし、消滅したように感じても、それはそこにある。だから妙なのだ。

その後も、私は、いつでもその感覚を呼び起こすことができた。私は、何でも瞬間的にではあるが消去できたのだ!
この感覚の説明らしきものは、コリン・ウィルソンの「フランケンシュタインの城」か「右脳の冒険」で見た。
日本では共に1984年に出版されているが、原書はフランケンシュタインの城(Frankenstein’s Castle)が1980年、右脳の冒険(Access to Inner Worlds)は1983年に出ている。
ウィルソンは科学者ではなく、文学への思索を基に想像と考察をした人なので、書いてあることがあまり整然としていないというか、文学的な飾り言葉が少し冗長に感じるし、この2冊は、2冊で1冊のような感じがあり、どちらに書いてあったのか憶えていない。
内容は簡単に言うと、こんな感じだったと思う。
我々の内部には魔術師がいて、目が何かを捉えると、その魔術師が我々が見ているような姿に構築してしまうというのだ。つまり、実際の世界は、我々が見ているものとは全く異なるのである。
このこと自体は、現在の脳機能科学や神経科学で十分に立証されていると思う。
しかし、本当の問題は、単に、世界は目で見て脳が認識しているものと形や色が異なるというのではなく、全く違うということで、もしかしたら、現実世界なんて本当は無いのかもしれないということである。
物理学の分野である量子力学では、その可能性を認めている。
江戸川乱歩は、「夜見る夢が本当で、現実世界が夢なのだ」と常に言っていたが、夜見る夢は夢との認識があるからという意味で、それは正しいのかもしれない。つまり、夢も現実も幻であるが、現実世界は本当を装った厄介なまやかしである。
インドの聖者ラマナ・マハルシは「夢は短く、目覚めは長い。その他に両者に何ら違いはない」と確信を持って教えた。

どの分野でも、高度なところに行くと、こういった結論に行き着くのではないかと思う。

私が幼い頃から感じていた奇妙な感覚を説明するとこうなる。
世界という実体は本当はなく、私の意識が瞬間瞬間に作り出しているのである。それは非常に巧妙に行われるので、ほとんど誰もそれに気付かない。
しかし、私が、「あのドアノブは、魔法使いの杖の先と似ている」と思った時、私の想像力が、意識による現実の構築原理に干渉したのだ。その時に生じた歪みのようなものを私は感じてしまったのだ。
意識が世界を創り出すのは極めて短時間に行うが、それは連続作業なのだ。常に創り続けないと世界は維持できないし、時空の動きというものが表現できない。丁度、世界はアニメーションみたいなものなのだ。

谷川流さんの大ヒット小説「涼宮ハルヒ」シリーズで、未来から来た美少女、朝比奈みくるは、「時間平面は連続したものではなく断続的なもので、アニメーションのようなもの」と言ったが、まさにその通りである。
時空を連続的と考えたのがアリストテレスで、ニュートンも疑わなかった。しかし、マックス・プランクはそれは断続的であるという仮説を作った。プランク自身がそれを信じたくなかったが、それが正しいことが分ることになる。

さて、私は幼い頃から、奇跡としか思えない、環境や状況の支配を行なってしまうことがあった。
世界を作り出すのが意識であるなら、意識のコントロールでそれができたとしても不思議はない。
念力や、潜在意識の法則による成功理論も、源はそこから来ているのだと思うが、私ほど幼い頃に、直接にそれを感じた例は稀と思う。


宇宙をつくりだすのは人間の心だ
世界的ベストセラーで、現代のバイブルと言われる「他人をほめる人、けなす人」のイタリアの天才作家フランチェスコ・アルベローニによる至高のエッセイ。

フランケンシュタインの城
ウィルソン自身が認めているが、この本は彼の著作の中でも非常に重要なものだと思う。
彼のライフワークは「超意識の獲得」であり、それにより高次の生に人々を目覚めさせることであるが、本書はそのための意識のメカニズムやそれを制御する方法に関する貴重な示唆に満ちている。


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