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2009.10.24

風歩

森山風歩さんをご存知だろうか?
肩書は作家であり、自伝も出版している。私は出版後、すぐに読んだ。
その自伝の中に、「1人殺して良いなら母親を。もう1人良ければ父親を」といった衝撃的な内容がある。
しかし、悲しいながら、読めば無理もないと思ってしまう。
小学生の時に、進行性筋ジストロフィー(PMD)という不治の難病となり、運動能力を失っていく恐怖に怯えるが、最も頼るべき母親も父親も、彼女の病気を決して認めない。そのためもあり、小さな少女は動けなくて辛いのに、学校では教師は彼女を無視し、クラスメイトは総動員で彼女をいじめる。歩き方がおかしいとからかわれ、力の入らない足もとにホウキを突き出されて転がされるのが日常になる。教師の信認厚い優等生も、教師がいなくなればいじめに参加する。いつしか、教室には、彼女をいじめる方法を選択するためのルーレットが用意されていた!
家では、自分で動けないので、喉が渇い時に水を汲んできてくれるよう頼むと、甘えるなと殴られる。
抵抗できない彼女の髪を掴み、顔を床に何度も叩き付ける母親。舌を噛まないよう、必死で歯を食いしばる少女。それを無表情に眺める父親。地獄とはこのことかもしれない。

風歩さんは28歳になるはずだが、美少女という言い方がぴったりとしか言いようがない。公式ブログでは、お茶目な彼女はセーラー服を着た写真などを載せているが、似合い過ぎている。彼女の母親はフランス人とのハーフで、町を歩けば、画家は必ず呼び止めてモデルを頼むほどの美女だったようだ。風歩さんは容姿に自信がないと本に書いているが、血は争えないというところか。

彼女の病気は今も進行している。余命がどのくらいかは分らない。
仕事はしているようだが、体調が悪いことも多いようだ。
しかし、明るく前向きに生きて見せている。

ただ、それでもこれは考えておきたい。
可愛い女の子が、過酷で非情な運命にあると、我々は無条件で彼女の言うことやることの全てを肯定してしまう。
私は彼女の全てを受け入れはするが肯定はしない。当然、学ぶべき貴重なことも多いが、批判的に学ぶこともある。
だが、風歩という名前は何とも彼女に相応しい。彼女が殺したかった母親が付けた名前だが、彼女はこの名前は気に入っていると言う(もともとは大嫌いだったようだ)。
信じなくても良いが、名前というのは、自分で決めるものなのである。

森山風歩オフィシャルブログ


風歩
表題と表紙の写真は、天才アラーキーこと、写真家の荒木経維さんによるもの。
私は、荒木さんのことは昔からよく知っているだけに複雑な気分である(笑)。


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