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2009.10.17

劣等感がもたらすもの

最近、1999年1月31日に63歳で亡くなられたプロレスラー、ジャイアント馬場さんの本を集めて、時々読んでいます。
つくづく、馬場さんは偉大な人だなと思いました。

馬場さんのモノマネをテレビで見ることは少なくなりましたが、今でも笑いを取ることはできると思います。
猪木さんのモノマネとなれば、猪木さんは現在もご活躍中であると共に、現役時代から基本的にキャラクターは変わっておらず、長い間に広まり定着した、猪木さんのファイターとしてのモノマネはまだまだリアルでしょう。
ただ、猪木さんの目をむいた闘魂の表情のモノマネは「誇張」の面白さですが、馬場さんの、滑稽さを感じさせるモノマネは、本来なら、礼を欠く以前の人格を疑うものであるはずです。しかし、馬場さんは、生前、それを見て怒るということはなく、目の前でやられても笑っていました。私は、馬場さんが、なぜ笑っていたのかには、想像も出来ない深い訳があったのだと、今になって思い至りました。
実際には、馬場さんが不快に思わなかったはずはありません。まずは、こういった当たり前の感性を持たない人がいることが問題なのですが・・・。
(猪木さんも、若い頃はアゴの形で深刻に悩んだそうですが、私は、あのアゴのどこが悪いのか、子供の頃から今でもさっぱり分りませんが)

私が、小学生の時、クラスに、顔に大きなアザのある男の子がいました。生まれつきのものだったと思います。
ところで、小学校の美術の時間には、自画像に限らず、自分の絵を描くことになる機会はよくあります。4年生の時の美術の時間に、その子が私に聞きました。「僕のアザって、右側だよな?じゃ、この絵の僕の横顔は左側だから描かなくていいな」と。
私に聞くまでもないことでした。しかし、彼は言い訳をしたかったのではないかと思います。顔のアザを描くのがイヤで、わざと左側の顔を描くようにしたんじゃないという・・・。
彼に、顔のアザで劣等感や引け目がないはずがありません。彼は、明るく、それを感じさせませんでしたが、実際はかなり大きな苦しみを持っていたはずです。

馬場さんが、あの大きな身体のせいで悩んでいたことに気付く人は少ないかもしれません。
実際、馬場さんは、子供の時からそのことで心を苦しませ、大きいだけでなくスポーツ万能で、腕力も並外れて強かったにも関わらず、大変に大人しい内気な少年になり、ケンカをしたり、まして他の子をいじめたり、高圧的になるなど想像もできない子だったことが、元同級生の証言でありました。
写真撮影の時は膝を曲げて小さくなっていました。
プロ野球をクビになった時は、その目立つ身体のせいで、人に見られている気がして(実際に見られていたのでしょうが)ビクビクしていたようです。
そんな馬場さんは、自分の外見について他人が何か悪いことを言って、それがいかに悔しくても抵抗できないのです。だから、どれほどバカにしたようなモノマネをされても、黙って耐えていたようです。そして、それができるだけの心の広さ、強さも培った人ではありました。しかし、その時の心の重さは、到底、常人に想像できるものでは無いに違いありません。普通の人なら、生きるのが辛いほどではないかと思います。
ある旅館で、1つの部屋に大勢で寝なければならなくなった時、既に大物だったにも関わらず、馬場さんは、寒い季節ではありましたが、黙って自分の布団を廊下に出して寝たということがあったようです。馬場さんが、自分の巨体に罪悪感を感じていたエピソードであると思います。

馬場さんは、40代頃から、つとにスローモーさを笑いのネタにされることが多くなりましたが、それは誤解であるようです。
確かに、馬場さんも言うように、「大きいほど、動くのにエネルギーがいる」わけで、スローに見える部分がないでもないでしょう。飛んだり跳ねたりの軽量レスラーが人気のある中では、モノマネタレントには強調のしどころかもしれません。
しかし、馬場さんの動きは、晩年になってからすら、あの巨体からは信じられないほど、凄いものだったようです。
馬場さんとは敵対する立場のアメリカの超大物プロモーターすら、「馬場は大きいが、現在、あれだけ本格的なレスリングをやれるプロレスラーはいない」と言っていました。特に受身は抜群で、怪力レスラーに派手に投げられてもダメージは見た目ほどではなく、あの巨体で、ローリング・クラッチホールド(回転エビ固め)という軽業を見事にやれました。
ディック・マードックという、実力だけなら世界王者以上と言われた強豪レスラーの挑戦を受けたPWFヘビー級タイトルマッチでは、大変な苦戦となり、マードックが攻めまくり、馬場危うしと思われましたが、まさかのローリングクラッチホールドで大逆転勝利したこともありました。

元々が天才的な運動神経と体力のあった馬場さんが、プロ野球時代は走り込んで基礎を創り、プロレスに入門してからは、想像を絶する訓練で鍛えましたが、プロレストレーニングの凄さを表現する良い言葉として、「ぶっ倒れるまでやるのがスポーツの訓練と思っていたが、ぶっ倒れてから始まるのがプロレスの訓練だ」という馬場さんの言葉があります。そして、アメリカでは、フレッド・アトキンスという鬼コーチに、本格的なレスリングを毎晩「ボロ雑巾」になるまで叩き込まれたようです。
45歳くらいからは、当時無敵と言われたスタン・ハンセンとさかんに戦うようになりましたが、全く互角以上でした。60歳を過ぎてもかなりのファイトができたのは、レスリングを叩き込まれているので、受身が完全にできたからだそうです。
本当に強くなければ、あれだけの成功を収められたはずがありません。
また、プロモーターとしても偉大で、外国人レスラーはもちろん、海外のプロモーターからの信頼も抜群であったことはよく知られていますが、経営手腕と共に、常識を備え、決して人を裏切らない誠実な人であったようです。
最後に勝手な想像で申し訳ないですが、発表は遅かったながら、若い時に既に結婚していたに関わらず子供がなかったのは、わざと作らなかったからのようにも思えます。自分の巨体を遺伝させた子供を作りたくなかったのではと思います。実は、同じような理由で結婚しなかった、肉体的に大きな劣等感を持ったある人の話から、そう思うようになりました。


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Comments

ジャイアント馬場さん、懐かしいですね。

貴重なお話を伺ったように思えました。
ありがとうございます。

Posted by: 雅ランティエ | 2009.10.17 at 03:29 PM

★雅ランティエさん
馬場さんの偉大さを、これからも発見していきたいと思っています。

Posted by: Kay | 2009.10.17 at 11:33 PM

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