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2009.09.10

死んで生きる

航空機事故や地震、津波などの災害で人が亡くなった時、「気の毒に」と言う人は多いと思うが、被害者の中に自分の家族でも含まれていない限りは、さほど、あるいは、全く深刻でなく、心も痛くないものである。
残酷な犯罪の被害者として殺された人のニュースを見ても、せいぜいが自分や家族にそのようなことが起こった場合を想像してゾっとするだけだろう。
失業して急にホームレスになったような人の話を聞いても、少しは同情するかもしれないが、むしろ自分の身の安泰を喜ぶかもしれない。
それが現実だ。
私もまた、他人をさほど大事に扱うことができない。ならば、私は自分も大事だと思わないようにしたい。
自分を他人と同じように扱いたい。
私が餓えていようが、理不尽に扱われていようが、それが他人なら、さほどのことに思わないのと同様、別にどうということもない。
この身体と心は私ではない。
そう見なして手放していたい。それが死ぬことである。私は死んで生きたいと思う。

インドの聖者、ニサルガダッタ・マハラジは、「私は自分を地平線の彼方にあるように感じる」と言った。
誰かがマハラジに「あなたの首が鋭利な刃物で切りつけられたらどうなりますか?」と聞くと、マハラジは「胴体が首を失う。それだけのことである。私には何の関係もない」と答えた。





アイ・アム・ザット 私は在る―ニサルガダッタ・マハラジとの対話

ニサルダガッタ・マハラジとの対話集。
現代随一の聖典と言われる本書の教えは、古の聖賢の教えと根本的には同じであっても、マハラジが現代の人であることや、宗教家、あるいは、隠者ではなく、世俗に生きる者であり、対話する相手も、多くが現代文明の中に住む普通の人達であることに意味があると思う。

500ページはある分厚い本であるが、私はこれを読み、一生この1冊だけを読もうと思ったくらいだ。


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Comments

いつもおせわになってます、でるおです。
kayさんのブログを毎日読んでる
からでしょうか、最近、仕事をしていたら
仕事、社会がアホらしく思えて仕方ありません。

ほんの僅かなお金を争っての業者間の過当競争。
私の働く業界もコンビニ戦争と一緒です。

しかし生活するには最低限の稼ぎはいるし、
なんかいい方法ないですかね?

死んで仕事するしかないかな(笑)。

Posted by: でるお | 2009.09.11 02:47 AM

★でるおさん
ご無沙汰です。
仕事、社会・・・アホらしいです(笑)。

働いているのは私ではない。そんな感じになれば良いのでしょうね。

私が最近書いているのは、まさに、身体や心は私ではない・・・です。
身体と心を解放し、他人のように見ています。
自分は地平線の彼方の出来事で、好きにさせています。
これが、死んで仕事するということでしょうね。

まあ、インドの聖者のように、そんなふうにできれば良いのですが^^;
ただ、インドの聖者は、心が静かでさえあれば、全ての状況は良くなると言いました。
是非、それを実践しつつ、世界を消したいと思います。

Posted by: Kay | 2009.09.11 06:39 AM

はじめまして。
いつも興味深く読ませていただいています。
Kayさんは他人も自分も大切に思わないようにしていると書かれていますが、むしろ他人も自分も同じように大切に思うべきなのではないのでしょうか。
自分を手放すという感覚はよく分かるのですが、未熟な私には人間の存在を否定しているように思えるのです。
そのあたりを解説していただけますか?

Posted by: ねね | 2009.09.11 11:17 AM

kayさん
ありがとうございます。
心を静かに淡々と仕事を
こなしていきたいですね。

マハラジの「胴体が首を失う。
それだけのことである。私には何の関係もない」

このセリフ、最初読んだときには
驚きましたが、大好きです。

Posted by: でるお | 2009.09.11 09:52 PM

★ねねさん
全ての人を等しく愛せるならどうぞ。
あの人は好きだけど、あの人は嫌いというのは駄目です。


★でるおさん
「あなたは、重要な仕事を注意深く責任感を持って行っていると思うかもしれない。しかし、あなたは何もしていない」
インドの聖者達は、共通してこう言います。
心が静かなら、状況は全て良くなるとも言われます。
気休めでなく、そうだと思えてきました。

Posted by: Kay | 2009.09.12 07:20 AM

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