不和と争いの女神を清める
「エリスは神の子では・・・ない」
アニメ「エル・カザド」での、「魔女」ブルーアイズによるナレーションの言葉だ。
どう見ても人間の美少女にしか見えないエリスは、実はバイオテクノロジで造られた人工生命体だった。
彼女を造ったシュナイダー博士は、エリスを科学の成果として興味深く、冷徹に観察していた。
だが、博士はエリスを愛してしまうようになる。
もとより、エリスには博士しかいなかった。そんなエリスのひたむきな眼差しを受け、無垢に育ったゆえの精神の純粋や、それによる汚れ無き美しさに魅かれたのだろうか?
しかし、それが悲劇の始まりであった。
博士は死ぬことになる。
観察対象は、ただ冷徹に観察すべきなのだ。
我々の最大の観察物は、自分の身体と心だ。
シュナイダー博士が、エリスに対してそうすべきであったように、我々は我々のエリス・・・身体と心を冷徹に観察しなければならない。
超然と距離を置き、影響されてはならない。
博士と愛し合うことで、エリスもまた穢れた。
我々は、我々のエリスを手放さないといけない。
自分の身体と心に無関心となり、それらに対して死なないといけない。
手放すことが死ぬことである。博士は、エリスに対して死人であるべきだった。
すると、エリスもまた純粋になる。
その時、エリスは神の子となり、我々は神になるのである。
準惑星エリスは2005年に発見された。
エリスは、ギリシア神話の、不和と争いの神である。
宇宙にあるように、我々の内にもエリスはいる。我々は、内なるエリスを清らかにしなければならない。
The comments to this entry are closed.
Comments
アニメを持ってくるとは久しぶり・・・・
臨床心理学で、
ユングという人が『アニマ』と名付けた、
男性の無意識の中に潜む、
「女性のようなもの」
「自分を無意識の道へと誘うモノ」
というのがあり、
これが難解なものなんですが・・・
ここでいうエリスと似たものかもしれないと思いました。
Posted by: Raimu | 2009.08.25 12:45 PM
★Raimuさん
いえ、アニマやアニムスとは関係のない話です。
Posted by: Kay | 2009.08.25 11:25 PM