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2009.07.21

岡田虎次郎が褒めたイソップ

明治、大正の偉大な思想家、岡田虎二郎が、「聖書よりイソップに良いことが書いてある」と言ったことがあるらしい。
イソップ寓話は、「アリとキリギリス」「ウサギとカメ」「犬と肉」など、動物が登場するものが多く、シンプルながら深い教訓を秘めていることで知られる。

イソップ寓話は、紀元前6世紀にギリシアの奴隷だったイソップ(アイソーボス)によって作られたと言われるが、奴隷が作った御伽噺(本来は日本の童話という意味だが、現在は童話一般を指す)のような寓話であったため、学者が余計な改変をすることもなく、素晴らしいまま残ったのだと思う。
尚、イソップ寓話は、全てイソップの創作ではなく、民話や伝説も含まれているようである。
一方、聖書は、政治的、宗教的権威に結びついてしまったので、歪められた部分もあるかもしれない。
また、別の言語に翻訳する際の齟齬が無かったとは言えない。
イエスが比喩を使って教えを説いたことは知られているが、あくまでイエスは、庶民に分りやすいようにと比喩を使ったのであり、学者がその意味を解釈しないと分らないようなことを言ったのではない。ただ、これも、あくまで当時の庶民に分かりやすく説いたがゆえに、その当時の風俗や習慣に配慮して読まなければならないところもあるかもしれない。例えば、著名なSF作家であるアイザック・アシモフが指摘したように、イエスは奴隷制を批判していない。当時は、奴隷の存在はあまりに自然なことであったらしい。
イソップは、決して子供を対象にしているわけではないのだが、子供でも分かりやすいシンプルさのために、真意が伝わりやすい。ただ、子供が読めるお話の宿命として、あまりに悲劇的、あるいは、残酷な結末のお話をハッピーエンドに書き直されてしまうことはあったようだ。例えば、「アリとキリギリス」の結末に様々なバージョンが作られ、アリがキリギリスを暖かく迎え入れるというものまで存在するが、それはやや困ったものだと思う。一方、生物学的な真理として、アリがキリギリスを捕えて食べてしまったというのが本来の話であるが、残酷過ぎるので改変されたという説もある。

ただ、旧約聖書はやはり貴いものであると思う。日本の古事記同様、古代の賢者が知恵を封じ込めたものであり、神話の形で書かれたものは、元のまま残る。そして、その真の意味は、世俗の考え方では理解できないが、無心にただ読めば自ずと分るようなものである。
また、新訳聖書についても、実際に読んだ感じでは、特定の教団の教えに特化した場合は知らぬが、翻訳者は原文をはじめ、各種の異本を調査したり、イエスの言葉の真意を熟考し、霊感を得て解釈したのであり、素晴らしいものも多いのではないかと思う。

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