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2009.07.31

情けと礼の無い世界

昨今は、不況だからと、長年会社に貢献してきた者でも非情に解雇したり、退職に追い込むようなことも当たり前であるようだ。
プロ野球でも、球団を支えてきた貢献者を、力が無くなると、紙切れ1枚であっさり戦力外通告する。
戦力外通告が悪いというのではなく、球団の貢献者に対する礼の心が無いことが忌々しいのである。

プロレスのジャイアント馬場さんは、選手だけでなく、全日本プロレスの社長で世界的な大プロモーターであった。
馬場さんは、昔はスターレスラーであったが年をとって力の無くなった外国選手でも定期的に来日させ、高いギャランティを支払った。
なぜだったのだろうか?そんなことをするプロモーターは他にいない。
馬場さんが初めてアメリカに行った時は、修行のための渡米であり、今の野球選手のイチローや松井などとは全く違った。飛行機の切符1枚渡されて「行け」とだけ言われただけだった。
二十歳そこそこの、ほとんど金もない若者が、右も左も分らないアメリカでただ一人、不安にならないはずがないし、実際、何をどうして良いのかさっぱり分らなかった。そんな中、ザ・デストロイヤー、ジン・キニスキー、ボボ・ブラジルやその他のレスラー達が世話を焼いてくれた。馬場さんは、その恩を一生忘れず、やがて自分が大スターになっても、控え室では常に小さくなって先輩レスラーを立てていただけでなく、彼らが年をとっても日本で稼がせて恩返しをしたのである。
馬場さんが亡くなった時、「地上最強の鉄人」と言われた史上最高のプロレスラー、ルー・テーズさんは、朝日新聞にこんなコメントを述べた。「プロモーターとしても偉大で、約束したギャラは必ず払ってくれる誠実な人だった」。自分が完敗したせいか、レスラーとしての馬場さんに対しては良いことを言わなかったビル・ロビンソンすら、「馬場さんには、プロモーターとしては本当によくしてくれた」と感謝していた。
※ロビンソンは、アントニオ猪木と61分フルタイム戦って1-1で引き分けた名勝負の半年後、馬場と戦い、初めて2フォール取られる完敗となった。この時は、ロビンソンも「馬場は大きいだけでなく、スピードも十分だった」と認めた。

私が崇敬する、江戸時代の天下一の観相家、水野南北の一番最初の弟子は、八助という元浪人だった。
だが、八助には観相の才能は全く無く、南北の弟子が大変な数となり、優れた弟子も出てくる中で、八助は肩身の狭い思いをするようになった。
その中で、南北は「南北相法の手引き」を発行する際、八助に序文を書かせ、八助の面子を保たせる。
それでも、八助がやっていけなくなった時、八助は、南北に、家財道具一切と若い女中まで付けた店を1件渡される。八助は観相は駄目でも、料理は上手かった上、愚直なほど真面目な男だった。その店で飯屋をやり繁盛した。女中に関して、南北は「好きなようにしろ」と言ったが、当然、女房にしろという意味で、良い娘を探してきたのであろう。南北の意図通り、八助は娘を女房にし、仲睦まじく暮らした。

縁あって、何度もお逢いした政木和三さんは「情けは人のためならず」の意味を、「情けをかけると、結局は自分のためにもなる」と言われていた。見えない世界のつながりを知るなら、それは明らかなことであろう。
ラマナ・マハルシは言った。「他人などいない。全ては自分である。それならば、施しをせずにいられようか?」。

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Comments

こんばんは、Hidesabutouです。

ラマナ・マハルシの「他人などいない。全ては自分である。
この言葉素晴らしいですね、素晴らし過ぎます。
ノートに書き留めておきます。人の事を攻撃する程、馬鹿げたものは無いですね、Kaiさんのブログに登場する人は、ほとんど、私も同様に関心を持っている人ですが、ラマナ・マハルシは知りませんでした。本を読んで見ます。

Posted by: Hidesaburou | 2009.08.01 at 12:34 AM

★Hidesabutouさん
ラマナ・マハルシ(マハリシと表記されることも多い)は、最も純粋な覚者と言われ、死後半世紀以上経つにも関わらず、彼が生涯を過ごした場所はいまだ多くの巡礼者の絶えない聖地となっています。
マハルシの本は良いものが沢山出ています。

Posted by: Kay | 2009.08.01 at 08:29 AM

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