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2009.07.13

引きこもりは人工的に生きるしかない

私が教育者としては唯一尊敬する、戸塚ヨットスクールの戸塚宏さんの著書「本能の力」を読み、大変に考えさせられた箇所があります。

引きこもりには、非常に重要なことであります。

それは、子供の時に、本能を正しく育てられておらず、生産本能が「解発」されていない場合、働く喜びを感じることができないということです。
(「解発」は生物学的な難しい言葉だが、要は、脳および精神がきちんと成長していないということと考えて欲しい)
つまり、普通の人間のように生産本能によって働くことが出来ないので、義務として働かないといけないことを理解させ、仕方なく働かなければならないということです。
当然、仕事は辛いものになりますが、働かないと暮らしていけないのですから仕方がありません。

私は、大変に納得したわけです。自分の経験からも確かです。

では、どんな人が、生産本能が解発されていない人でしょう?
戸塚さんは例として、子供達の潮干狩りの思い出をあげています。
ある子供が、あさりを見つけて取り、笑顔を見せました。しかし、誰も見ていないと、その子は、ぼーっとしてあさりを取ろうとしません。さっきの笑顔は大人向けのポーズだったのです。
その子は、あさりを取る喜びなんて、全然感じていないのです。
こんな子は、中学生や高校生からどうにかしてやろうとしても手遅れです。

私も、子供の頃、学校ではグループで何かをやらされた時、非常に非協力的と怒られたものですが、とにかくやる気がないのです。
無理に活動に参加し、目的を達成したり、賞をとっても、少しも嬉しくはありませんでした。
仕事でも同じです。
会社では、営業グループでは、売上目標を設定し、グループでは、それを達成することを目指します。とんでもない高い目標を強いられるのが普通ですが、仕事なのですから、それは努力目標ではなく、至上命令です。
そして、大変な苦労の末、売上目標を達成したり、私個人がセールスコンテストで優勝したこともあります。その時は、大きな喜びを表現してみせるのですが、実は、全く嬉しくなかったのです。
そんな仕事があまりに空虚で、ソフト開発に転進しましたが、ソフト開発で困難な仕事を達成したり、結果、高い収益を上げて褒められても、やはり少しも嬉しくありませんでした。まあ、上司は形だけ褒めるだけで、手柄は自分のものにするのですが、それに関しても、私にはどうでも良いことでした。

仕事というのは確かに辛いものであり、誰しも本音ではしたくないでしょうが、普通の人は仕事の喜びというものも必ず感じています。
しかし、生産本能の無い引きこもりにはそれはありません。
ただ、生産本能が無いにも関わらず、作り物の生産本能もどきを持つ者もいます。それは、それらしく見えるだけで、役に立たないものです。そんな人をや雇ってしまう会社もありますが、鋭い経営者は直感的にそれを見抜き、そんな人には、なるべく仕事をさせず、周りとも接触させないようにします。それが一番、会社にとって被害がないのです。

この難しい問題に対し、私にもどう問題解決を計れば良いのかは不明ですが、引きこもりは、芸術家か宗教者にでもなるしかないと思います。そう言ったら、芸術家や宗教関係者に怒られるかもしれません。ただ、ベケットは、まさにそのような引きこもりで、彼はノーベル文学賞すら受賞しました。しかし、当然ながら、彼はノーベル賞授賞式を、「特に理由はない」という理由でキャンセルしました。彼は、1日中、ベッドの中で過ごす方が快適でした。本能、あるは、自我が無いのが、ある意味、芸術家や宗教家に適合するかもしれません。
もう1つ、方法があるかもしれません。やはり、仮の本能、あるいは自我を自分で構築することです。心理学者の岸田秀さんによると、三島由紀夫がその例でした。彼は、自我的には死人でしたが、自分で自我を構築しました。私も、ある程度はこれをやりました。自分のものの考え方が、時期により極端に変わる可能性もありますが、それも楽しいかもしれません。

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