NLPを使う
NLP(神経言語プログラミング)の気楽な話をする。
NLPは、アメリカで生まれた能力開発技術だ。
良きにしろ悪しきにしろ、私には随分と縁があるようだ。
NLPを作ったのは、リチャード・パンドラーだ。
リチャード・パンドラーは、元々が数学者で、コンピュータの研究をしていた。
それが、何らかの理由で精神療法や心理学を学ぶようになったのが、NLPを作るきっかけになった。
パンドラーは、世界的な催眠療法家である精神科医、心理学者のミルトン・エリクソンを崇拝し、その技法をNLPに取り入れている。さらに、パンドラーは専門である数学やコンピュータ理論を効果的に活用している。
ところで、私がNLPという言葉を知ったのは、いまや自己啓発の世界的カリスマである、アンソニー・ロビンズによってである。
ロビンズは、元々、パンドラーの弟子であった。
それが、どういう経緯かは知らないが、独自に能力開発セミナーを行うようになった。最初の頃は、NLPを前面に押し出していたと思う。
ロビンズは、空手の板割りや煉瓦割りを披露したりもしたが、何といっても、ロビンズを有名にしたのは火渡りだ。燃えている炭火の上を裸足で歩き、また、セミナー受講者を誰でも歩かせるのである。
ロビンズの活動を、師匠のパンドラーがどう思っているのかは知らなかったが、パンドラーの本に、誰のこととは書いていなかったが、明らかにロビンズの火渡りを批判することを書いていた。あんなことは簡単に出来ることであり、NLPとは関係ないといったようなことだったと思う。
かつての師弟は良い関係にないことが感じられた。
では、師匠のパンドラーと弟子のロビンズのどちらが優れており、また、どちらが成功しているかというと、何とも言えない。
一般向けに派手な宣伝が上手いこともあり、ロビンズの方がはるかに売れている印象はあり、書籍のベストセラーも多いが、パンドラーのNLPやエリクソン療法に関する書籍もロングセラーとして着実な支持があるように思う。
さて、先程も書いた、パンドラーがロビンズの火渡りは簡単なことと本に書いていることであるが、本当に火渡りは簡単なのであろうか?
実際、ロビンズの火渡りについて、多くの人が意見を出しているようである。
ここで、物理学者(専門は量子物理学)である、フレッド・アラン・ウルフの著書「聖なる量子力学 9つの旅」を取り上げたい。
フレッド・アラン・ウルフによる、一般向けの量子物理学の入門書である「量子の謎をとく」は全米書籍賞“The American Book Award”を受賞しているが、他にも多くの書籍がある世界的な量子物理学者だ。
フレッド・アラン・ウルフは、実際にロビンズの火渡りを体験しているのだ。
熱さは感じなかったが、足に火ぶくれは出来ており、間違いなく高温であったと言う。
そして、論理的には、この火渡りがなぜ可能かは不明だと言う。
フレッド・アラン・ウルフは、ロビンズを評価している。ただし、それは、例えロビンズの火渡りが、パンドラーの言うとおり、簡単な子供騙しであったとしてもだ。
優れたシャーマンの中にも、明らかにトリックを使う者もいるらしい。
しかし、そのパフォーマンスにより、人々に意識変革を起こさせることこそが、シャーマンの目的なのであり、その意味でも、ロビンズの火渡りには大きな価値があると言えるかもしれない。
日本でも、セミナーで、名刺による割り箸切りや、スプーン曲げ、電話帳裂きなどを取り入れている人がよくいる。
あるいは、風船を割らずに針や、そればかりか、割り箸を突き刺すようなパフォーマンスをしたりする。
これらこそ、ある意味、子供騙しと言えるほど簡単なことで、私にだって全部簡単にやれる。
しかし、初めて見る人はやはり驚くし、演出によっては、程度の大小はあっても、意識変革を起こさせることが可能かもしれず、決して馬鹿にしたものでもない。
尚、私は、NLPのテクニックを使って、かなりの飲酒癖のある女性を、酒が飲めないようにしてしまったことがある。
考えようによっては、これもシャーマンの技のように感じるが、NLPの効果は大したものである。
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