われら宇宙人
政木和三さんがご存命の時、私は政木さんに「横尾忠則さんは宇宙人なのですか?」と聞いてみた。
その1年前に、私は、政木さんに「横尾さんは宇宙人だ」と言われたことがあったのである。
政木さんは、80歳を超えていても頭の回転は恐ろしく速い人だったが、ご自分でも、物覚えは悪いと言っておられた。
政木さんは、珍しく機嫌良さそうに、「本当はみんな宇宙人なんですよ」と言われた。
これは、もう何年も前のことだったが、私はなんとなく意味が分かってきた。
私は地球に巡礼に来たのだ。
地球の物理世界で生きるための肉体を持って生まれ、ここで旅をしているのだ。
我々だって、例えば、アマゾンの密林や、エジプトの砂漠や、アンデスの高原などの自然地を旅すると、あらゆることで厳しさや不便さを感じるものだ。しかし、それは仕方がないことだ。
それと同じで、私も、元々は、金星や火星にだって瞬時に到達できる何らかの能力を持っていたのが、地球の物質世界に合った肉体を持って生きているのであるから、いろいろ不都合を感じることもあるだろうが、やはり仕方がないことなのだ。
だから、思い通りにいかないことで、いちいち文句を言ったり、嘆いたりするのはつまらないことだと分かる。
一切の価値判断をせず、今現在、やれることをやり、なりゆきにまかせるしかあるまい。
楽しいことを期待したって、そんなことが都合よく起こったりはしない。
一瞬先に何があるかなんてことも分からない。
そんな状況になるために旅に出たのだ。
ただ、はるかな道を歩いていくのみである。
しかし、万能でないフリもなかなか楽しいものかもしれない。
そして、万能の力を少し取り戻したければ、食を慎めば良い。
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