« 私が絶対にニートを認めない訳 | Main | 成功哲学を超えた不思議な話 »

2009.06.04

超越意識をどうやって獲得するか?

世界的ベストセラーになった「神々の指紋」で著名なグラハム・ハンコックと、現在の精神界のカリスマであるエハン・デラヴィの共著書『人類の発祥、神々の叡智、文明の創造、すべての起源は「異次元(スーパーナチュラル)」にあった』(徳間書店)を読んだ。

これは、ハンコックの「スーパーナチュラル」(邦訳名「異次元の刻印」バジリコ刊)の解説書のような雰囲気のものであるが、単独の書としても半端でない面白さだ。

デラヴィ氏自身の本もどれも面白いが、デラヴィ氏は自著の他にも、「電気的宇宙論」(ウォレス・ソーンヒル, デヴィッド・タルボット著 徳間書店)といった非常にエキサイティングな本をプロデュースしたりしている。

人間の意識をめぐる重要な研究に関しては、これまで長く、英国の作家、コリン・ウィルソンがリーダーシップを取っていたと思う。ウィルソンは、著名な心理学者であるアブラハム・マズローとマズローの生前に交流し、マズローの説いた「至高体験(P.E=Peek Experience.絶頂体験とも訳される)」を生涯をかけて追求したと言えると思う。

ウィルソンの研究とデラヴィの研究には案外、一致するところも多いのであるが、ウィルソンの至高体験が示すものが、「人間本来の健康的な精神状態」といった抽象的なものであるのに対し、デラヴィは、2012年アセンションという、近未来の人類の滅亡と飛躍という具体的かつ緊急の目的にフォーカスしたことや、ウィルソンの研究対象が芸術や芸術家が大半であることに対し、デラヴィは考古学、遺伝子生物学、天文学、宇宙論といった広範でスケールの大きなことを、一般に解りやすく説明することから、すっかり主役の座に着いた感じもする。
そして、ウィルソンはいまや老齢であるが、デラヴィはまだ50代の若さだ。

マズロー&ウィルソンチームと、ハンコック&デラヴィチームと言うのは、的を得ない部分もあるかも知れないが、とりあえず、このように言う。そして、この両者の際立った違いは、意識の拡大・覚醒を起こすのに、ハンコック&デラヴィが幻覚剤(LSDやアヤワスカ)を全面的に薦めるのに対し、マズロー&ウィルソンはそのようなものは決して使わない方法を提示したことがある。
これは非常に面白いところである。

もし、合法的に幻覚剤が使える状況にあるなら、圧倒的な効果を即時に感じることができるのは、言うまでもなく、ハンコック&デラヴィの主張する幻覚剤を使用する方法である。
しかし、そもそも、日本を始め、多くの先進国では幻覚剤の使用や所持は違法である。それを使いたいなら、合法である国に行かなければならない。ただ、そんな国に行けばそれで良いという問題ではない。質の良い幻覚剤を安全に入手できるルートが果たして簡単に見付かるかどうかは分らない。現地では簡単なことであっても、勝手の分らない日本人には危険なことである可能性もある。
次に、覚醒剤自体の安全性だ。この点は、ハンコックやデラヴィは、覚醒剤の元であるアヤワスカを「聖なる植物」とまで言い、害が無いことを強調するが、ウィルソンは著書「フランケンシュタインの城」で、サルトルがLSDを使用した際、巨大な海老に追い回される幻覚を見たという異常体験を取り上げ、人間の精神には危険なドアも数多くあり、幻覚剤が思わぬドアを開けてしまう可能性を指摘している。
確かに、芸術家には幻覚剤の愛用者も多く、著名な音楽家や画家がそれで肯定的な結果を得た話もよく聞く。しかし、ウィルソンの言う通り、精神的な強さや安定性のない者による使用に危険が無いとは言えず、実際、少なくとも我が国においては、幻覚剤使用者の多くは、逸脱者や社会的落伍者であると思う。

先程も述べた通り、幻覚剤の使用の安全性がどうというより、我々がそれを使用することは、ほとんど不可能である。
かといって、ウィルソンが教えるような方法では、ドラマチックさに欠けるところもある。いや、そもそも、ウィルソンは、具体的にどうやれと言っているのかが、あまり分らないというのが実際と思う。これは、はっきり言って欠点である。もちろん、ウィルソンの著書を熱心に慎重に読めば、多くのヒントが得られるが、一般の人とは退屈で忍耐強い探求が苦手であることも事実なのである。

なるほど、有名なカルロス・カスタネダをはじめ、欧米、アフリカのシャーマンは幻覚剤を使うのかもしれない。しかし、我が国のシャーマンに相当する、サニワや、あるいは霊的巫女はどうであるかというと、幻覚作用のある植物を使ったという話は全く聞かない。
ところが、日本には、古神道や仏教でも密教の中に、異世界との交流を行ったと思われるものが非常に多く、異世界に入る特別な技術が存在しているに違いないと思われる。
ただ、これら門外不出の秘伝を入手しようなどという困難を冒す気はあまりない。

私の知る範囲では、「ローム太霊講和集」(霞ヶ関書房)に、異世界に参入するための素晴らしい方法がいろいろ書かれているし、魔法結社の会員でもあったW.B.イェイツも、様々な著書で非常に重要なヒントを与えてくれている。
私にとって、いずれも非常に有益であったことを言っておく。

尚、ハンコック、デラヴィは、異次元世界に参入する精神状態を「変性意識」としている。変性意識は、英語で“Altered state of consciousness”で、文字通り、「意識の変化した状態」である。
コリン・ウィルソンもまた、「超越意識の探求―自己実現のための意識獲得法」(学習研究社)という本を書いているが、この本の原題は“THE SEARCH FOR POWER CONSCIOUSNESS”で、「強力な意識の探求」である。
言葉の上では、多少の雰囲気の違いはあるが、要は、我々が普通と考えているものとは異なる意識状態のことであろう。

TMという、ビートルズも実践したという、インドのマハリシ・マヘーシュ・ヨーギが普及させた瞑想法がある。TMは“Transcendental Meditation”で、そのまま「超越的な瞑想」という意味である。この瞑想で到達する意識は純粋意識と言うらしいが、TMで異世界に参入したという話は聞いたことがない。
しかし、私は、TMの教師に「純粋意識は変性意識と同じか?」と質問したことがあるが、答は「その通り」であった。
そういえば、やはりTMを行っている医療関係の発明家のイツァク・ベントフも、著書「超意識の物理学入門」で、TMが変性意識を導くと説明していたように思う。

私自身は、幻覚剤は使わなかったが、TMは少なくとも1年間は熱心にやった。
その後、ヘミンシンクをやったが(モンロー研究所のものではなく、政木和三さんの発明した装置による)、いずれもさほどの効果は感じなかった。
ただ、いずれの場合も、効果はあっても、自覚しないというのはよくあることのようだ。その点については、モンローの著書「魂の体外旅行」にも面白い例が載っている。
そして、結局のところ、最も効果があったのは、自分で工夫した方法である。
岡田式静坐法という、静坐と呼吸法による行を教えた、明治・大正の偉大な思想家である岡田虎二郎も、自己の工夫が大切であるという点は言っていたと思う。
ただ、自分で工夫する中で参考になったのは、やはりコリン・ウィルソンや、W.B.イェイツであり、「ローム太霊講和集」の次元界への参入方法であった。
皆さんも、自分で調べ、工夫して欲しいと思う。

↓応援していただける方はいずれか(できれば両方)クリックをお願い致します。
人気blogランキングへ ブログランキング・にほんブログ村へ

|

« 私が絶対にニートを認めない訳 | Main | 成功哲学を超えた不思議な話 »

Comments

ここのところ毎回、楽しみに読ませていただいております。実践された上でのお話は本当に勉強になります。 意識の覚醒をテーマにされていますが、ムーブックスのファウスト博士の超人覚醒法に描かれている意識の覚醒など結構興味深いと思います。
しかしkayさんの博識には毎回うならされております!

Posted by: ニャン・クン | 2009.06.05 03:47 AM

★ニャン・クンさん
その本、斉藤啓一さんの本でしたが、10年以上前に読んだ覚えがあります。
面白い本でしたね。
徹底した自己鑑賞を勧めるものだったと思います。
良い部分もある本ですが、欠点もあり、読者に良くない先入観を与えると私は思っています。

Posted by: Kay | 2009.06.05 09:32 PM

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 超越意識をどうやって獲得するか?:

« 私が絶対にニートを認めない訳 | Main | 成功哲学を超えた不思議な話 »