運命が変わった瞬間
かなり前に、そう熱心に読んだものではないが、「遺品整理屋は見た! 」という本で、孤独死したニートの部屋に、凄まじい数のアイドルグッズがあったとか、やはり孤独死した元小学教員の部屋には、レンタルビデオ屋でもできそうなアダルト映像メディアがあったという話等が数多く書かれていた。
ここまででなくても、誰しも、人に知られたくないような趣味の1つや2つあるものと思う。
どこかの有名な元大学教授が、痴漢容疑で逮捕されて家宅捜査された際、セーラー服などが発見されたというが、まあ、そんな人も少なくはあるまい。私は持ってないが、気持ちが分らないわけでもない(笑)。
こういった世間受けの悪いものばかりでは当然なく、最近の「タウンページ」のテレビCMでもあったが、凄まじい数のミニチュアカーのコレクションを保有している人もいるし、以前やはりテレビで見たが、驚くべき量のスターウォーズグッズを保有する高校教師もいた。
私の場合は、ナイフのコレクションがあるが、まあ、大した数ではない(?)。それよりも、2つの部屋の壁全部を書棚にしても全く収まりきらない書籍の方に悩んではいる。
英国の作家コリン・ウリルソンの保有する書籍は、数十年前で2万冊を超え(その大半を実際に読んでいるらしい)、さらに、昔のことであるから、レコード、ビデオの数も凄まじく、人生の残りの時間全てを鑑賞に当てても、保有するレコードの全てを聴けないことが計算したら分ったらしい。
宮沢賢治の春画(今で言うエロ画)のコレクションもすごかったようだ。
何が高尚で何が下劣であるかなどは、単なる偏見であるかもしれない。
何かを情熱を持って収集したという事実があるだけだ。
ただ、こんなことが起こったことがないだろうか?
熱心に集めた何らかのコレクションを前に、ある時、不意に、「なんで私はこんなものを集めたのだろう?」と不思議に思ったことが。
そんな時、あなたは次元移動した可能性がある。
一生変わらないはずの、あなたの運命が変わってしまったのかもしれない。
いや、そんなことでもない限り、人生なんて変わらないのだ。
大病したり、大きな不幸を乗り越えた後には、このようなことがよく起こるのだ。
あるいは、本を読んで「本当に」感動したり、貴い本を何百回も読んだ後だ。
また、目の前で愛犬が稲妻に打たれて死んだ時に、全てが変わったと感じた世界的人物もいる。
人の運命は、原則、一生変わらず、生まれる前に用意された通りの人生を送る。
だが、これらを見て、人生を変える方法のヒントが分るのではないかと思う。
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Comments
コレクションでも何でもそうですが、僕はある程度物が増えると、急にそれらに愛着がなくなって、全て処分したくなる衝動に駆られる時があります。
それって何なんでしょう?
何かを清算しようとしてる感じはあるんですけど、何かは分かりません。
ただ死ぬ時は何も持っていない状態がいいなと常に思います。
正直墓も入らないです。
遺品には何も語って欲しくないです。
Posted by: donchuk | 2009.05.18 11:41 PM
作家の田辺聖子さんは、それを
恋が醒める瞬間に似ていると例えていました。
(うろ覚えですが(^^ゞ)
さぁ~っと気持ひいて、醒めていくのが似ていると…。
田辺聖子さんは、熱心に作っていたドライフラワーが
ある日突然、枯れた草花にしか(実際そうなんですけど^_^;)見えなくなったそうです。
ふと、想い出したのでコメントしてしまいました。
Posted by: 桃太 | 2009.05.19 08:11 AM
★donchukさん
欲しいものをたっぷり得れば執着がなくなるというのは、「その男ゾルバ」という映画にもなった名作小説にもあるそうですが、私は読んではおらず、また聞きです。
「墓無用、葬式無用」というのが私は良いと思います。
アインシュタインも遺言で墓を作りませんでした。
★桃太さん
うわあ、良いお話だなあ。
ありがとうございます。
私は、小学校5年生の時、すごく好きな女の子がいたのですが、ある瞬間、全く興味がなくなったことがあり、長く不思議だと思っていました。
なるほど、なるほど・・・
Posted by: Kay | 2009.05.19 09:56 PM