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2009.04.25

催眠術パフォーマンスに注意せよ

私は、催眠術で被術者に自分の名前を忘れさせるというものを見たことがある。
被術者は23歳の小柄な可愛らしい女性だった。
催眠術の実施者は、原辰徳巨人軍監督はその人をどう思っているかは知らないが、彼を指導したらしい人物だ。
被術者の女性は、術をかけられた後、「あなたの名前は?」と聞かれると、とまどいながら必死に思い出そうとすうる様子を見せるが、自分の名前が出てこなかった。
ただ、催眠術実施者は、これを催眠術とは呼ばず、独自の名前を付けて、このようなセミナーのネタにしていた。しかし、どう見ても催眠術である。
私は、セミナーの中で、その彼と相撲をとった。彼は押し相撲のコツをよく知っていて、重心を低くして絶妙な角度で押してくる。しかも、私は綿の靴下を履いていて、滑りやすい板の上。全く何もできない。万全のセミナー設定がされているといった感じで、私に勝ち目はなかった。
しかし、私も黙って負けているのは癪なので、投げ飛ばそうとしたら、彼の体勢が大きく崩れ、周りから歓声が上がった。あと少し力を入れていれば投げ飛ばせたとは思うが、こちらはセミナー受講生で、彼は先生なので、それはやはり礼儀としてやめておいた。

別のセミナーで、気功師を名乗る男性が、やはり催眠術を使った面白いパフォーマンスを披露したが、彼もまた、これを催眠術と言わずに気の力と主張していた。
人気催眠術師で、他にも小説の執筆など多くの分野で活躍する松岡圭祐さんは、著書の中で、気功は催眠術と断言しているが、全てかどうかは分からないが大半はそうであると私も思う。
松岡圭祐さんは、催眠術の力で、一流の空手家等しか出来ないと言われる、十円硬貨を指で折り曲げるパフォーマンスを普通の女性にやらせたり、小学生に野球のボールを100km/hオーバーで投げさせる。彼もまた、その気になれば、この力を気功だとか、その他の神秘パワーと言うこともできたと思う。

催眠術を使って人を驚かせてセミナーなどの商売をする者は他にも会った。
著名なプロレスラーの師匠ではあるが真面目な男と会ったことがあるが、上述の気功師に熱を上げ、そのプロレスラーと一緒に、この気功師に教わりに行くようなことを言っていた。
催眠術師なら同じことが出来ますよと言っても良いのであるが、神秘力を主張する先生方も自己PRには様々な工夫をしていて、それを信じる者の夢を壊すのも何だか悪い気がして言わなかった。
また別の、著名な経営コンサルタントの知恵袋であるらしい催眠術師(生体波動調整師とか名乗っていた)は、独特な面白いパフォーマンスを持っている。たとえば、ただの水を酒だと催眠術で信じ込ませて酔っ払わせたり、不動金縛りの術のように人を身動きできないようにしたりである。

ただ、これら催眠術パフォーマーが私に術をかけたことはない。
初めにあげた原監督ゆかりのセミナーの先生はお弟子さんが私に試したが、話にもならなかった。
最後の有名経営コンサルタントおつきの先生の場合は、私の目の前でのパフォーマンスに失敗した。
私自身、中学生の頃から催眠術をかじっており、中学ではクラス一の人気少女にパフォーマンスを披露したこともあるのである。

トム・クルーズが信仰する新興宗教であるサイエントロジーの自己開発技術であるダイアネティックスは、私の見るところ、精神分析学と催眠術の融合であり、やはり、これらを知らない者には非常に神秘的に思えてしまうものであると思う。
しかし、ダイアネティックスの発明者である、アメリカの作家で教育者のL.ロン.ハバートは、「催眠術を学ぶことは、ダイアネティックスを理解する上で役に立つと思うが、催眠術には問題が多いので利用しない方が良い」と書いている。

ただ、人間の神経だとか細胞に秘められた力には、まだまだ未知のことも非常に多く、それらを催眠術を利用したテクニックで、隠された能力の一部を引き出せる可能性も確かにあると思う。
しかし、上にあげた催眠術パフォーマーのやる程度のことは、いまや十分に説明のつくことばかりである。きっと、訓練すれば私にも、あるいは、誰でもある程度はできるだろう。
催眠術と精神分析学を組み合わせたような技術で有名なものとしては、フランスの心理学者エミール・クーエの自己暗示や、ドイツの心身医学の父と呼ばれる医師ゲオルク・グロデックがエスと呼ぶ複雑で神秘的とすら思える生命作用がある。グロデックのエスは概念としてはいまだ非常に面白いが利用は難しいと思う。一方、クーエの自己暗示は今でも実用として心棒者も多いと思う。いや、現在見られる色々な自己暗示技術はクーエを超えてはおらず、むしろ、独自性を加えたものはクーエに劣る場合が圧倒的に多いのではないかというのが私の見解である。

私は、催眠療法というものはあまり好ましく思わない。
黙って坐っていれば、催眠療法で問題が解決するようなイメージを持つのは非常に良くないのであるが、そんな雰囲気の宣伝をする心理療法家もいるかもしれない。
NLP(神経言語プログラミング)にも、驚くべき効果があることが本などに書かれているが、これにも同じ注意が必要だ。
私自身、NLPのテクニックで酒好きの女性に簡単に禁酒させたことはある。しかし、いつもうまくいくとは限らないし、この程度のことが出来たからといって、他のこともうまくいくわけではない。
もし何か精神療法を試したいなら、上にあげたエミール・クーエの手法が完全に分りやすく説明されている「自己暗示」(法政大学出版局)を購入して試してみると良いと思う。

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Comments

多くの人が催眠術、催眠療法に惹かれるのは
おそらく「効果が短期間に明確にあらわれる」からでしょう。
催眠や暗示自体が決して悪いのではなく、別の名称(気功・自己啓発など)
を使って勘違いさせ、儲けたり売名行為をすることが問題ですね。
だいぶ前の話ですが、ストレス対策に「自律訓練法」という自己催眠療法を
やっていた時期があります。こちらは地道にやる療法です。
冷え性で悩む知人に教えてあげたこともあります。
完治まではいきませんでしたが、かなりの効果がありました。
また不眠症も改善され、よく眠れるようになったとも言ってました。
しかしKayさんの知識、経験の豊富さには、いつも驚くばかりです。

Posted by: バビル三世 | 2009.04.25 10:12 PM

★バビル三世さん
本当は、催眠術にはちょっと神秘的な部分もあるのですが、未熟に操作しては危ないせいか、ガードがかかっているなと思うことがあります。
古代の魔術師は、そのガードを破る方法も知ってました。嗚呼、危ない・・・^^;
自律訓練法は危険は少ないですが、うまくいく人といかない人の差が大きいですね。私は実はいかない方です。
ああ・・掲示板、使っていただいていいですよ。

Posted by: Kay | 2009.04.26 08:19 PM

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