エド・マーフィーの法則
林晴比古さんという、超ヴェテランのソフト開発技術者の本で読んだが、林さんは、「マーフィーの法則」に敬服していたところ、偶然、マーフィーの法則のファンという人がいて、これについて話をしたそうだ。しかし、なぜか話がかみ合わない。
それもそのはずで、林さんのマーフィーの法則はエド・マーフィーの法則で、話をした相手のは、ジョセフ・マーフィーの法則だった。
林さんは、その本では、ジョセフ・マーフィーの法則にも一読の価値があると書いていたが、後の本では、ジョセフ・マーフィーの法則にかなり否定的なことを書かれていた。
エド・マーフィーというのは、飛行機の整備士である。
自動車の整備というのも、当然、責任感が必要な仕事であるが、飛行機の整備は、より高度な完璧さが求められる。整備に不備があれば、乗員はたちどころに絶体絶命になるのであるから当然と言える。
しかし、人間はミスをするものである。
そこで、エド・マーフィーは、人間のミスを防ぐ方法を経験から考えたのであるが、それが素晴らしいので、一般に広まったのである。
私は、さほどエド・マーフィーの法則のファンというわけでもないので、あまり憶えていないのであるが、私の仕事であるソフト開発業界では、有用と思えることが多いのだと思うが、重要視されることも多く、林さんもそれで興味を持ったのであろう。私も興味はさしてないと言いながら、マーフィーの法則は素晴らしく、2つほどは頭に叩き込まれているくらいだ。
その1つは「不安な箇所は必ずこける」だ。
例えば、天井からヒモをぶら下げ、「このヒモ、決してひっぱるなかれ」とヒモに紙を付けておくとする。
すると、必ず誰かがヒモをひっぱるのである。これは、そう思わないといけない。
そんな注意書きをして安心するのは、未熟な人間である。
引っ張って欲しくないヒモなら、引っ張れないようにしないと絶対にいけないのだ。
尚、これは、ソフト開発でも絶対的に守る必要のあることだ。
無能な開発者は、マニュアルに「やってはいけないオペレーション」を書いて顧客に渡してそれですまそうとする。
顧客がマニュアルを読むと思うことが馬鹿な思い違いであり、傲慢な態度であるのだ。
もう1つ印象的なのは、作業手順を作成するなら、最も低い能力の人間に合わせるということだ。
普通は、中位のレベルの人間に合わせようとする場合が多いだろうし、利益主義の職場では、高いレベルに合わせようとするかもしれない。しかし、絶対にミスの赦されない仕事では、最低の人間に合わせないといけないのだ。
そして、実際には、ほとんどどんなことでも、共同作業では、最も能力の低い人間にも出来るような作業手順を作らないといけないのだ。取り返しのつかないことを起したくないならね。
もう1つのマーフィー法則である、私には思い出深いジョセフ・マーフィーの成功法則については、明日にでも書こうと思う。
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Comments
> 注意書きをして安心をしてはいけない
> 作業手順を作成するなら、最も低い能力の人間に合わせる
これはタメになる話です!
Posted by: minami | 2009.03.12 04:11 AM
★minamiさん
マーフィー法則の良さが分かるなら、きっと立派に働けますよ。
Posted by: Kay | 2009.03.12 09:42 PM