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2009.03.03

大霊能者の食の慎み

人間の運命は全て食の慎みで決まるということを、水野南北は人の運命の長きに渡る探求の末、伊勢神宮の外宮にて啓示を受けて悟った。その後、生涯に渡り、自身も、そして、万人に関してそれを照明し続け、1つの例外も見なかったという。

18世紀に活躍し、ゲーテ、カント、ドストエフスキー、リンカーン、鈴木大拙、ヘレン・ケラーらに強い影響を与えたと言われる、科学者、哲学者、政治家、そして神秘家であったエマニュエル・スウェーデンボルグという人物がいる。
あのラルフ・ウォルドー・エマーソンもスウェーデンボルグを崇敬し、エマーソンの著作を通し、「岡田式静坐法」の岡田虎二郎にも確実に影響を与えたとされる。
スウェーデンボルグは、1745年の日記に、食の慎みについて書いている(「霊界日記」角川文庫。高橋和夫訳編より)。
その頃には、スウェーデンボルグは、既に天使や霊との会話も可能となっていた。
天使が彼に言った。「食卓で腹いっぱい食べて、自分を甘やかしてはいけない」
スウェーデンボルグは、自分の毛穴から蒸気状の発散物が染み出て、床に落ちると、それらは小さな虫になった。虫たちは焼き尽くされたという。
その欲望という虫を焼き尽くしたのが何なのかは分からないが、スウェーデンボルグは、それで自分が浄化されたと記している。
いずれにせよ、彼は食欲に打ち勝ったのだろう。

おそらくは、同じ部分の訳だとは思うが、別のものを見てみよう。
1975年出版の「私は霊界を見てきた」(エマニュエル・スウェーデンボルグ著、今村光一抄訳・編。叢文社)では、スウェーデンボルグは故国スウェーデンを離れたイギリスのレストランで、やや食べ過ぎたと思ってフォークを置いた時、床に蛇やガマガエルなどの気味の悪い生き物がいっぱい湧いて出た。そこに異様な人物が現れ、「食を慎め」と言ったそうだ。そして、それがスウェーデンボルグが霊の世界に導かれる最初の契機になったという。
※同書は、現在、「完全版 スウェーデンボルグの霊界からの手記」(今村光一訳。経済界)から出ているものと同じと思う。

いずれにしても、スウェーデンボルグは、この世の存在でない者により、食の慎みの大切さを教わったということだろう。
では、我々も、それに倣いたい。
水野南北も、スウェーデンボルグも、極端な節食、つまり、断食や超少食を薦めてはいない。むしろ、過度の少食を自慢するような輩は、せっかくの食の節制の意味を失うと私は思う。
腹八分目を越さなければそれで十分である。肉食は避けた方が良いとは思うが、水野南北も、釈迦が必ずしも肉食を禁じていないことを取上げたりもし、全く肉食を否定した訳でもないようだ。ただ、特に若い間は、肉食はしない方が良いと思う。
1つの目安として、毎日同じ食事でも美味しく食べられるなら、食の慎みは十分であると私は考えている。
食の慎みこそ、幸福への最も重要な根幹である。根幹が出来ていなければ、何をやっても駄目である。食を慎んだ上で、賢者の思想を学び、自己の責任を果たし、可能であれば世界平和に貢献すれば、幸福になれないはずはないのである。

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