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2009.03.30

職業成功の基本

およそ、どんな職業であっても、成功した人で、その者が、その分野のパイオニア(先駆者)であった場合は異なるかもしれないが、その職業の歴史に通じていない人というのは見たことがない。
例えば、画家であれば、筆や絵の具や画法がどのように進化し、その中で特筆すべき貢献をした人が誰で、それがどのような貢献であったかである。そして、一流の人は、そういった先駆者に感謝しているものなのだ。
スポーツでも、例えば一流の野球選手であれば、野球の歴史について、実名をあげながらいつまででも話せるものだろう。

私もコンピュータソフト開発の中でも、特にパソコン用ソフトの開発で食べてきた者として、ビル・ゲイツには大変に感謝している。彼が、マイクロソフトの最初の仕事として、世界初のマイクロコンピュータ「アルテア」用のBASIC(ベーシック)言語を開発し、その普及に努めたこと、そして、パソコンを誰にでも・・・ビル・ゲイツのかつての表現によれば「僕のおばあちゃんにでも」使えるものにすることを目指さなければ、パソコンは現在のものとかなり異なり、パソコンソフト市場もこれほどに大きくならなかったはずだ。
ビル・ゲイツの成功の根本はBASIC言語である。彼自身、かつて、コンピュータ業界における自分の最大の貢献はアルテア用BASICだと言っていたくらいである。そして、現在にまで続くVisual Basic(ビジュアル・ベーシック)言語も、ゲイツの画期的アイディアがあったから成功したのである。
そして私は、ゲイツ以前に、BASIC言語そのものを発明した、ジョン・ケメニーとトーマス・カーツという、2人の数学者に感謝している。2人は、ダートマス大学の数学教授であったが、文系の学生にプログラミングを教えるために、科学技術計算用のFortran(フォートラン)言語を参考にしてBASIC言語を作った。そして、2人は、BASIC言語の著作権を放棄して公開した。
※著作権を放棄して公開することをパブリックドメインにすると言うが、日本では法律上、著作権を放棄できないので、パブリック・ドメインにすることはできない。現在のフリーソフトやオープンソースは、普通、著作権は存在している。パブリック・ドメインソフトウェアは、コンピュータのあらゆる発展に大きく貢献した。

ビル・ゲイツは、パブリック・ドメインとして公開されていたケメニーとカーツのBASIC(ダートマスBASIC)をアルテアのCPUであったインテル8080に移植したのである。実際は、作業の多くの部分を、マイクロソフト社共同設立者のポール・アレンが担当したのだが、ゲイツのビジネスセンスがなければ、普及することはなかったと思う。また、ゲイツはこのBASICの8080マシン語コードを暗唱していると語ったことがある。それほどに打ち込めることがあるだけでも幸せであろう。もちろん、彼だって苦しい時は数知れずあった。
しかし、現在、どんな状況であっても幸せに過ごしてこそ、未来も幸せであるのだ。

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