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2009.03.24

日本人に夢は不要

成功セミナー、自己開発セミナーに行くと、強制的に目標設定をさせられる場合が多く、これが苦痛だった。受講生は「3億円の豪邸」だの「独立起業」、「年収3千万円」、「セールスコンテスト優勝」といった、下らない目標を書くこととなる。下らないと言って悪ければ、国家や大企業に洗脳されていることを証明するような目標ばかりで、脳機能学者の苫米地英人さんがよく著書に書かれている言葉で言えば、「奴隷の目標」である。
西洋式の能力開発というのは、経済至上主義社会のマインドコントロールが根底にあり、人々がより多く儲けることで、国家経済を強力にしようという目的に合致しない夢や目標は、甚だイメージが低くなるよう仕組まれている。

日本人は、元々、目標なんて持たないものなのだ。
強いて言えば、ただ生きることが目標だ。予測のつかない自然と密着して生きてきた我々の祖先は、自然の背後にある神秘なものを崇め尊び、自己を律しながら、平穏無事に生きることを願ったのである。不必要な願望を持つような機会も余裕もなかった。
だが、それで人々は、楽しく、充実して生きていたのである。

そんな生き方で生き甲斐があるのかなんて思うのは、やはり、国家や大企業に洗脳され、日本人らしい情感を失っているからであると思えてならない。
自然は驚くほど豊かで多彩だ。それに付き合って生きることは、人生を数百回繰り返したところで飽きるものではなく、日々、新しい発見の連続であるはずだ。
日本人は、そんな中に、独自の思想、価値観、あるいは宗教や芸術を構築し、そのあまりの深遠さ精妙さのため、西洋人が少々見たくらいでは全く理解できないが、外国人であっても英知の閃きと共にこれらを見た者はすっかり惹き込まれ、深く関わり、修得し、本国に持ち帰ろうとする(モノだけでなく精神を)者も少なくはない。
日本人が本来持っていた英知は、別に自然の中で生きることにばかりあるわけでもない。
いかなる日々の生活にも面白さが潜んでいるのだ。何かエキサイティングなことが起こることばかりを期待したり、そのようなものを外に求めて回るのは、感性がない証拠である。

教育テレビのある番組で、20歳前後の若者が、「今の社会は夢が持てない。僕には目標がない」と不満げに言った。
目標や夢なんていらないのだ。彼はただ「良い奴隷になりたい」と言っているに過ぎないのだ。
日々、立派に感謝しながら生きられれば、それ以上、何を望むというのだろう?
「エル・カザド」というアニメで、マフィアのナンバー2のボスがこう言う。「毎日3食たべられれば天国だ」。アニメとはいえ、実に自然に感じたものだ。

世の中で大成功している人というのは、案外に目標や夢なんて持っていなかったのだ。
そのおかげで、国家や大企業に洗脳された「奴隷の目標」を持たずに済んだおかげで、人に見えないものが見えたので、たまたまではあるが成功したのだ。
「せめてタバコくらい吸えるようになりたい」と思って大企業を作った経営者もいた。
目標を持つとしても、それは無理に決めるようなものではない。
本当の目標や夢とは、偶然としか思えない些細な出来事の中で、目にし、耳に届いたものがきっかけになるものなのだ。
アルベルト・シュバイツァーが、成功した音楽家や学者でありながら医者になることを決心したのは、やはり偶然に見たアフリカ原住民の惨状を伝えるパンフレットからだった。

春日大社の宮司であった葉室頼昭さんは、「およそ、自分がこうしたいという目標を持ったことはなかった」と言う。
葉室さんは、最初、東大の農学部を目指していたが、大阪のお医者さんのところに嫁いだ姉が、「大阪に知り合いがなくて寂しいので、大阪で医者になって、夫の病院をついで欲しい」と言ってきたことがきっかけで、大阪大学の医学部に入る。大学卒業が近付いた頃、先天的な身体の醜状をもった患者を見たが、日本でそのような患者を治療する形成外科がほとんどないことを知り、密かに形成外科医になろうと思う。しかし、しばらくは外科医をした。だが、偶然に機会を得て形成外科の道に入り、苦労しながらも形成外科医として成長し、63歳の時に、遂に神のごとき完璧な手術ができるようになる。しかし、65歳の時に、春日大社から宮司になるよう依頼され、それを受ける。
葉室さんは、全て神様の導きに従って生きてきたという。

我々の願いは、平穏無事な日々を生きることであると思う。
将来の不安もなしに生きられれば、それ以上は望まないはずが、「それではいけない」と思わせたい勢力があるものである。大きな目標がなければ駄目だとヒステリックにわめく声が、いつしか高貴で威厳あるもののように感じるまでに我々は洗脳されたのだ。
昔、竹村健一さんが若者向けの著書に、「1週間くらい食べなければいいよ。そしたら、食べることが一番大事やってことがよく分る」と書かれていたが、まさにその通りである。
私も、1日1食にしてから、やはり食べることが何より大切であることが分った。
毎日、美味しく食事をすることが最も幸福なことであるが、少食にして、食事時に空腹になるようにすれば、何を食べても美味しく、それだけで、人類全てが憧れているはずの幸福が達成されるのである。
そして・・・現在が幸福であることによってのみ、将来の発展があるのだ。ただ、それで大成功するかどうかは神のみぞ知るである。大成功なんてしなくて良いのだ。真の成功者は、平凡だが立派に生きた人を自分より劣るとは思わないものなのだ。
そして、不安なく生きることは難しいことではない。
不要なものを求めなければ、必要なものは与えられる。それが宇宙の法則である。
苦労なんかしなくても、十分な衣食住は誰にでも豊かに与えられる。ひきこもりでニートであった私ですら例外でなかった。
それでも、もし、自分が世に出るべき人間か知りたいなら、分る方法もある。それは、どれだけ多くの人々の幸福を、自分の幸福同様に願えるかどうかだ。
数年前のNHK大河ドラマ「義経」で、義経が「誰もが食べるもの、着るもの足り、家族揃って安心して暮らせる世を作りたい」と言っていたが、これが世に出るべき人間である。心からそう思えないようであれば、自分と家族を守り、他人を十分に尊重して生きれば良いのである。
他人を軽んじたり、美食・飽食をはじめ、欲望のまま貪る心を放置するから、必要なものにも欠き、健康も損ない、不幸になるのである。
幸福になるのは簡単なことで、単に食を慎めば良い。そうすれば、他の条件は自ずと整う。
自分は食を謹んでいるかどうか知りたければ、毎日同じものを食べてみれば良い。例えば、毎日同じカレーライスを食べて、常に美味しく喜びを持って食べられるなら合格であるが、飽きるようであれば食べ過ぎている。オバマ大統領は、毎晩、サーモンとブロッコリーとライスだ。宮崎駿監督は、毎日、同じ1つのお弁当を、昼と夜に分けて食べることを25年以上続けている。

その上で望みがあれば叶えれば良い。幸福であれば、どんな望みも叶う。なぜなら、叶うべきでないことを望まなくなるからだ。その望みが叶うことで、世界は利益を得るのであるから、自然や万物が願いを叶えるだろう。

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Comments

こんにちは。でるおです。

>葉室頼昭さんは、「およそ、自分がこうしたいという>目標を持ったことはなかった」

この言葉を聞いて少し安心しました。
私もこれといった目標が無いので。
今はゴルフ上達したいな~くらいで(笑)。

自分の夢が世界(万人)の利益に繋がるのならば、
全ての夢が叶うのですよね?


Posted by: でるお | 2009.03.25 at 07:13 AM

>不要なものを求めなければ、必要なものは与えられる

振り返って見ると、あれが足りないこれが足りないなどと言って色々買い漁っていました。物に囚われてはいけませんね。精進します。

Posted by: あき | 2009.03.25 at 12:31 PM

★でるをさん
こんばんは。
目標は、人々の笑顔・・・なんてね^^;

>自分の夢が世界(万人)の利益に繋がるのならば、
>全ての夢が叶うのですよね?

万人のために願ったことは自分にも叶いますけどね。


★あきさん
本当に必要なら、いくらあっても悪くはないですね。
足りないくらいで丁度良いかもしれません。

Posted by: Kay | 2009.03.25 at 09:51 PM

Kay様、こんにちは。
昔の江戸時代くらいまでの日本人を知れば知るほど、その精神の深遠さ、素晴らしさに気づかされます。
そしてこの世界に、日本人として生まれた事に感謝し、自分もその精神を受け継いでいきたいと思う今日この頃です。
そしてその精神の具体的実行として少食を行うということに深く賛同致します。

Posted by: ニキータ | 2009.03.26 at 02:44 PM

★ニキータさん
江戸時代の様子なんて、本当に随分歪んで伝わっていますが、本当に素晴らしいところの多い国だったと私も思います。
縄文時代から伝わる日本の伝統はとても大切です。戦後、西洋のものが全て良く、日本は時代遅れとされてしまいましたが、とんでもありません。
ニキータさんの言われるとおり、日本は誇りを持つべき伝統があると思います。

Posted by: Kay | 2009.03.26 at 09:43 PM

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