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2009.02.10

チャンスとチョイス

自己実現に関する、全く異なる2つの方法を取る人がおり、面白いと思いましたのでここに書きます。
一人は、米国の作家、マーク・ハーナッキーです。
彼は、若い時から非常に積極的な努力家で、人生を前向きに考えていました。そして、お金持ちになりたいと思っていました。
そして、夢を実現するために、まずは学校教師になり、次に証券マンになりました。しかし、いずれの仕事にもうんざりし、猛勉強して弁護士になりましたが、これもさっぱり面白くないし、望みである金持ちになれません。
彼は、自分は人生の敗北者だと思うようになりました。
そして彼は病気になり、入院します。そして、自分について改めて考えてみました。
その時、彼は気付きます。自分は本当は作家になりたかったのだが、そんなことは無理だと最初から決め付け、トライすらしなかったことをです。
彼は辞表を出し、作家になる決意をします。病気はすぐに治りました。
そして、がむしゃらにやるうち、いつか作家として成功していました。

魔法じゃないけど 誰だってがむしゃらでいるなら
何とか形になって 夢だって叶えられたりする
情熱が似合うような君たちなら
~「HOT SPICE」より。詩、歌:奥井雅美~

なんて歌を思い出しました(笑)。
彼は、人に「作家ですか?羨ましいですね。私も作家になりたいと思っていたのです」と言われたら、即、「では、あなたも作家になれえばいいじゃないですか?」と言い返すそうです。
でも、当然、相手は、自分には無理だと思う。
ハーナッキーは、そう(自分は作家になれない)思っているのはその人だけなのだと指摘します。
ところで、面白いことに、ハーナッキーは抜群の探究心を持って調査し、世の中にある成功法則の本を読んで成功した人は、ほとんど全くいないことを統計的に暴きます。
彼は、我々の中にあるスーパーパワーは成功法則(引き寄せの法則も同じでしょう)など全く無関係。必要なのはただ1つ。目標を達成するために必要なことは何でもやるという心構えだけだと言います。

さて、次に、ハーナッキーと全く異なる信条ながら、素晴らしい人生を送り、この1月3日に亡くなられた、春日大社の宮司であった葉室頼昭さんについてです。
葉室さんは、元々はお医者さん(医学博士)で、日本では数少ない形成外科の分野で世界最高の医師でした。
それが65歳にして、春日大社の宮司になりました。それも、最高の形成外科の手術の極意を体得したのは63歳の時で、バリバリと手術をやっていた頃でした。
葉室さんは自分で宮司になりたかったわけではありませんでした。ただ、「神様のお導き」と言います。
葉室さんは、何においても、自分がこうしたいと思って何かを目指したようなことはないそうです。
そもそもが、医者になったのも自分の意思とは関わり無いことでした。
高校は学習院だったのですが、大学は東大農学部に入るつもりでした。ところが、大阪の医者のところに嫁いだ姉が、「関西に知り合いがなく寂しい。医者になって病院を継いで欲しい」と突飛なことを言い出したのですが、母親が「神様がそう望んでいる」と言うので、急遽、大阪大学の医学部を目指し、1浪して入学したと言います。
そんな感じで、春日大社の宮司にまでなったのですが、その後、神道に関する沢山の著作を出し、我々に神道の正しい理解を与えてくれたのでした。全ての本がベストセラーになっていますが、葉室さんはその報酬を全く受け取っていないそうです。

葉室さんのお考えは、全て神様に委ねるというものと思います。
70歳を過ぎて、ますます筆に磨きがかかった感のある、仏教学者のひろさちやさんがまさに、全て仏様におまかせするということを説いておられるように思いますが、神道と仏教ではあっても、非常によく似ていると思います。
葉室さんは、「神様を最も侮辱するのは、取り越し苦労と持ち越し苦労」と言います。なぜなら、神様を全く信頼していないことだからです。
神様を信頼してまかせておけば、神様が悪いようにするはずがないと言います。
これは、「困ったことなんか起こるはずがない」という、日本一の富豪、斎藤一人さんの教えにも通じます。
そして、神様にお祈りする時、頼みごとや願い事をしてはいけないと言います。絵馬などに「大学合格」なんて書くのも、本来は正しくないのでしょう。しっかり勉強したら、受かるか落ちるかは神様にまかせておけば良い。たとえ落ちても、神様がよかれと思ってそうしたのだというわけです。
ひろさちやさんも、子供の時、祖母に、仏様にお祈りする時は「ありがとうございます」とだけ言え、願い事をするなときつく教えられたようです。
私は、葉室さんもひろさちやさんも全く正しいと思います。

ところで、これとよく似たものに、イスラム教の教えがあると思います。
「全ては神の思し召し」というものです。
例えば、イスラム教徒同士で待ち合わせをする時は、「明日の午後3時に、あそこで会いましょう。それが神様の思し召しであるなら」と言います。そう言っても、翌日、なんらかのトラブル、あるいは、単なる約束忘れなどで、うまく会えないこともありますが、それは神様が望まなかったからだということになります。ある意味、便利な考え方ですね(笑)。
「お金は明日返しましょう。それが神様の思し召しなら」などとも言えるわけです(笑)。
まあ、その場合は、「では、明日、お金を返してくれなければ、神様が反対されない限り、あなたを訴えましょう」となるでしょうが・・・。

ハーナッキー方式で行くか、葉室・ひろ方式で行くかは、それぞれで考えていただきたいですが、私なら断然後者をお薦めします。
結局のところ、ハーナッキー方式でうまくいかなかった人が続出したことを、ハーナッキー自身が著書に書いています。
以前にも書きましたが、1日24時間、片時も忘れないほどの望みがある場合は、ハーナッキー方式が良いでしょう。その場合は叶います。

さて、最後に究極のものです。
こんな話があります。
あるアラブ人が、家を奪われた時、家族を殺された時、そして、自分の死が迫った時に、それぞれ合わせて3度、歓喜に包まれるのを体験します。
彼に聞きました。
「全てを神の思し召しとして尊重されるのですね?」
だが、アラブ人は否定します。
「それでは、神のチョイス(選択)を崇拝したことになります。私は神のチャンス(機会)を崇拝したことで世に知られたのです」

このお話は、アイルランドの詩聖W.B.イェイツの「年老いたアラブ人によって書かれた『3つの悦びの歌』」という謎のような手記の中にあります。
このお話は、ニーチェの「運命愛」とよく似た、あるいは同じことを表していると思います。
運命愛とは、いかなることも、自分の意思として愛するというものです。

アインシュタインは「神はサイコロ遊びをしない」と言いました。
彼は、宇宙は美しい法則の上に成り立っていると信じました。しかし、人の意識に左右されるような量子力学の理論を受け入れたくなくてそう言ったのでした。
だが、アラブ人は(当然、このアインシュタインの話とは全く関係なく)言いました。
「神のサイコロは無限の目を持つのです。出た目を自分の意思とする時、私は限りなく神に近付きます」

映画「タイタニック」でジャックは言いました。「どんなカードが配られても、それも人生」

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Comments

こんにちは。
今日のもわかりやすくてよかったです。

ハーナッキーの考え方(運命は自分次第?)も好きだけど、葉室さん、ひろさんの生き方(運命は天まかせ?)
もいいですよね。

よく商売で成功した人が、「儲けようとしてはいけない、利益は後から付いてくる」と言いますが、
あれは本当なんですかね?

Posted by: でるお | 2009.02.11 at 02:26 PM

★でるおさん
こんばんは。
神仏におまかせすれば間違いありません。

>よく商売で成功した人が、「儲けようとしてはいけない、利益は後から付いてくる」と言いますが、
>あれは本当なんですかね?

嘘ですね(笑)。きれいごと言ってるだけでしょう。
ちゃんと儲けて、従業員にちゃんと支払ってこそ、良いサービスができるというものです。

Posted by: Kay | 2009.02.11 at 08:28 PM

はい、神仏におまかせします。

>嘘ですね(笑)。きれいごと言ってるだけでしょう。
>ちゃんと儲けて、従業員にちゃんと支払ってこそ、良>いサービスができるというものです。

あらら。キッパリ「嘘ですね。」とは(笑)。
外では綺麗事いいながら社員には「商売に負けは許さん」ですからね。


Posted by: でるお | 2009.02.12 at 03:26 AM

★でるおさん
松下幸之助さんだって、実際は、「私の経営は利益第一」って言います。
他方、「人を喜ばせれば、嫌でも儲かる」と言いますが、彼は利益の大切さも身に染みているわけですね。

Posted by: Kay | 2009.02.12 at 10:05 PM

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