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2009.02.12

私は幽霊以下である

二宮尊徳の語録である「二宮翁-夜話」を読んで、はっきり感じた。人はまず、しっかりとした自己(自我)を確立した後、これをできるだけ破壊して神に近付くものだなあと。
しかし、この私は、自我というものを構築したことがないのである。
当然、学校時代は1人の友人もいなかったし、社会で働けるはずもなかったのだが、社会人としては、最も自我の必要な営業職からスタートした。営業職を勤めるために強い自我が必要というのは分かり難いだろうが、営業なんて決して紳士的な場面ばかりでなく、ある程度破廉恥なところのある仕事であり、強い個性が必要で、客と戦う気構えがないととても勤まらない。
だが、私は営業で好成績を上げた。
私は、作りものの自我を作ったのだ。これは、言って見ればアンドロイドを製作したようなものだ。
私に限らず、ひきこもりって、自我を構築することに失敗した人だと思うのだ。

心理学者の岸田秀さんの本を読むと、偽者の自我を作った著名人には、三島由紀夫や芥川龍之介がいた。彼らは天才なので大成功したが、当然の結果として自殺した。
エネルギーが切れたのだ。三島由紀夫は「葉隠入門」で、「芸術家には心を鼓舞するものが必要だ。私には葉隠がそれだ」といったことを書いているが、これを見て、岸田さんの言うことが納得できた。芸術家は生命の源からエネルギーを汲み出すべきなのに、そこへの直接の通路が閉ざされているのであるから無理があったのだ。
私も、セールスコンテストで優勝した後で嫌になって営業をやめた。しかし、天才でない分、エネルギーの消費が少ないので、自殺には至らなかった。しかし今は、ゆるゆると餓死したいと思うことがある。

私は、人工の存在や、本当は死んでいる者といった設定のお話に異様なほど惹かれる。「どろろ」の百鬼丸や、「灼眼のシャナ」の坂井悠二や、「涼宮ハルヒの憂鬱」の長門有希などである。彼らだけが私の友人である。

確固とした自我を築けた人なら、後はそれを壊すがいい。それで悟りへと進めるだろう。
ただ、今は、自我を異常に増大させる者が多くなってきているが、それもある意味、私のような者と似ているのだ。
その違いは、子供っぽいなら自我が弱すぎ、老人臭ければ自我が強すぎるのだ。
いずれの場合も、自分の自我への領域に対する侵入に対し、異常に攻撃的になるが、自我の弱すぎる人間は、時に英雄的行為をするものだ。例えば、放射能漏れが発生し、放射能防御服が1着だけ足りない時、自分は敢えてそれを取ることを放棄して自己満足するなどである。それで弱い自我を守れるのである。
電車の中で、自分が座れないと被害者意識を持つのは自我の強い人間で、疲れているほど敢えて座らない自分に満足するのが自我の弱すぎる人間だ。

自我の強すぎる人間、弱すぎる人間・・・どちらも問題だ。
私の場合、伝記で読んだ偉人や、小説や漫画の登場人物の個性を借りた。つまり、「なりきった」。
嘘っぽさや、まがい物感は仕方がない。時には、イエス・キリストにすらなってみた。
まあ、出来損ないのアンドロイドである。個性を借りる相手をよく変えるので、私の個性もコロコロ変わる。少し前の自分は、もはや自分と感じない。
趣味だって極端に変わることもある。ある意味、面白い(笑)。
立派な精神病だな(笑)。
幽霊というのは、まだ自我がしっかりしているのだ。ということは、私は幽霊以下である。
だが、有能なビジネスマンの個性を作れば、お金持ちにもなれるであろう。そんなひきこもりもいるのだ。

ところで、本当を言うと、三島由紀夫や芥川龍之介に限らず、作家というのは大抵が作りものの自我の持ち主だ。
江戸川乱歩なんてその典型と思う、名前からして、エドガー・アラン・ポーの借り物だ。
彼が、「怪人二十面相」なんて、仮の姿を次々演じるダーク・ヒーローを考えたのも必然だった。
彼はいつも言っていた。「うつし世は夢。夜の夢こそまこと(現実世界は夢。夜の夢が本物)」ってね。
私も同感だ。
ならば、親愛なるひきこもり諸君。全て夢とみなして動じないことだ。

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Comments

とても面白く、個性的な文章だと思います
この面白さ・個性も「なりきり」なのですか?
そうではないような気がします
趣味・好みが変わるというのは面白いです
でもよく考えると、フリの好みと本当の好みを分けられたりしませんか
私もよく趣味・好みが変わったりするのですが、一人きりでよく自分に問いかければ分かったりします
ずうっと甘い物が好きなフリというか自分でも思いこんでケーキを見ると「おいしそ~♪」とか言っていたけど実はあまり好きじゃない、とか 笑
これってある程度日本人の特性でしょうか

Posted by: Aya | 2009.02.13 at 09:17 AM

★Ayaさん
もっと話を進めますと、とどのつまり、「本当の個性」なんてものは無いのですよ。
よって、本当の好みなんてものもありません。
全て、嘘の好み、偽りの個性です。
日本人、アメリカ人、中国人も何の関係もありません。
人類全てそうです。
三島も芥川も、後から慌てて偽りの個性を作っただけです。だから、普通の人とは異なっていました。

Posted by: Kay | 2009.02.13 at 09:34 PM

こんにちは。
半年くらい前に「学校や会社に行かずに済む方法」という題の日記に、検索でかかり、お気に入りに入れていました。
数日前からそれ以外の記事にずっと目を通しています。
おもしろいですね。
自我について、たぶん近いというか、もしかして本質的には同じことを伝えているかもしれない日記を紹介させていただきますね。↓
http://www.mumyouan.com/k/?U1373

それでは、また記事読ませていただきます。

Posted by: aira | 2010.12.02 at 03:33 PM

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