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2008.11.06

オバマ大統領を予感させた黒人の英雄達

バラク・オバマの大統領選挙戦勝利に、アメリカ、ひいては世界はついにここまで進歩したと感慨を深くする方も多いと思う。数十年前であれば、黒人のアメリカ大統領など想像することも不可能であったはずである。

だが、その伏線のように思えた出来事をあげるなら、1997年に、メジャー・リーグ・ベースボールが、ジャッキー・ロビンソンの背番号42を全球団共通の永久欠番としたことがある。
ロビンソンは黒人初のメジャー・リーガーである。ちなみに、ロビンソンをスカウトしたのは、イチロー以前にシーズン最多安打記録を持っていたジョージ・シスラーだ。
ロビンソンは確かに第一級のプレーヤーであったが、その背番号が全球団で共通の欠番となるほどの評価を受けたのには、当然にして、メジャー・リーガーとしてかなりの活躍をしただけでなく、人種差別と戦いながら、人格の高さによるアメリカ、ひいては全世界の進歩に貢献したからであろう。
ロビンソンがドジャースに入団した時、チームメイトすら彼と同じテーブルで食事をしたり、一緒にシャワーを使うのを嫌がったし、一緒にプレイすることを拒否してチームを去った者すらいた。また、地元のファンすらロビンソンに生卵を投げつけ、彼の家の窓ガラスを割るということすら起きた。
しかし、いかなる時もロビンソンは紳士的な態度を持ち続け、報復どころか文句ひとつ言わなかったという。
キング牧師の有名な言葉「私には夢がある。我々が肌の色ではなく、人格で判断される国に住みたい」は、僅かではあるが実現していった。チームメイトもファンも彼を慕いはじめ、評価し、遂には、彼の死後ではあったが、彼の偉大さが完全に認められ、彼の背番号42は全球団で共通の永久欠番とすることで、それを形にしたのだ。
日本でプレーするアメリカ人選手が背番号42を付けることが非常に多いのもうなづけるであろう。アメリカでは付けることができないのだ。
※ただし、ニューヨーク・ヤンキースのマリアノ・リベラだけは現在も背番号42を付ける。1997年に背番号42を全球団共通永久欠番に決定した際も、その時点でこの背番号を付けている選手から剥奪することはしなかったからだ。

プロレス界にも、「プロレス界のジャッキー・ロビンソン」と呼ばれた選手がいる。「黒い魔神」ボボ・ブラジルである。
彼はアメリカ人で、人種差別のない(と彼が思っていた)国ブラジルに憧れてこのリングネームをつけたという説もある。彼もまた、元野球選手で、黒人リーグでプレイしていた。
2メートル近い長身で、見事にビルドアップされながらも引き締まった素晴らしい肉体を誇り、テクニック、スピード、スタミナを兼ね備えた実力派であった。
プロレスの世界王者というものは、実は民間団体が認定するもので、早い話が、あなたもプロレス団体を立ち上げ、世界王者を認定すればそれが世界王座となる。このあたりは、プロボクシングのように各国の権威あるボクシング協議会が集まって運営される団体で認定される世界王者に比べいまひとつ頼りなく感じはするが、プロレスでも、認定団体が力を持てば自ずと権威も出てくる。そして、プロレス団体が力を持つとは、ファンに認められるということで、その意味、他のスポーツの国際的な権威ある競技団体で賄賂や不正の横行があってもすぐには浄化されないことよりは良い点もあるかもしれない。
ボボ・ブラジルは、1966年、ロサンゼルスの権威ある団体であるWWAの世界ヘビー級王座を獲得し、42歳で黒人初の世界王者となった。
その後も、1968年には、世界で最も権威あるNWAが認定するインターナショナルヘビー級王座をジャイアント馬場から奪取した。この王座は、史上最高のプロレスラーと言われるルー・テーズを讃え、NWAが初代王者に認定し、力道山がこれを奪取。後に空位となった王座の争奪戦が行われ、優勝したジャイアント馬場を王者に認定した。馬場は防衛記録を重ね、さらに、現役のNWA世界王者の挑戦を受けて防衛を果たすことさえ成功し、王座の権威を作ったと言われる。選手が王座の権威を作ることもプロレスの良いところと思う。
あまり語られないかもしれないが、ブラジルは黒人選手の地位向上に貢献したと思われる。彼は70歳を過ぎても現役を続けた。
ニューヨークのWWWFで活躍した彼は、1994年にWWF(WWWFは後にWWFと名称を変えた。更に後にWWEとなる)殿堂入りをした。
プロレス界にはジーン・ビッグ・ダディ・リプスコンプという、黒人レスラー史上最強と言われた選手がいたが、人種差別により事実上殺された(KKKが関わったとされる)。ブラジルにもその危険はあったのではないかと思う。

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