マジック・ストーリー
「マジック・ストーリー」というものをご存知だろうか?
1900年に、米国のサクセス誌に掲載され、非常な好評であったという大変に短い成功哲学である。
10分かそこらあれば読めるこの短いお話を読めば、たちまち生まれ変わり、すぐに成功への道が開けるというものだ。
日本では、ソフトバンククリエイティブから2004年に出版されている。
英語が読めれば、既に著作権は切れているので、Webを探せば無料で読めると思う。
「マジック・ストーリー」を紹介するための、こんなお話があった。
才能はあるが、全く評価されない画家がいた。いよいよお金が全くなくなり、餓死か自殺かを決めなければならなくなった。しかし、マジック・ストーリーを一読して生まれ変わると、絵を出版社に持ち込んだ。すると、すぐに採用され、以降、成功の連続となる。
マジック・ストーリーを書いたのは、数百年前の教育をほとんど受けていない事業家で、姓名などは不明である。しかし、彼は後の世の人のため、確実に成功できる秘訣を短い文章にまとめて残したということだ。
さて、「マジック・ストーリー」自体であるが、良いお話である。
ただ、こういう文章を別の言語(英語から日本語)に翻訳するのは実に難しいと思う。文章としてはシンプルでも、それぞれの言葉の示す内容は、おそらく書いた人と我々では相当異なる。深遠な真理であればあるほど、その齟齬は小さなものではない。
それでも、繰り返し読めば、著者の意図も分るようにも思う。
では、「マジック・ストーリー」を読めば、書かれているように、我々もたちどころに成功できるだろうか?
少なくとも我が国では、そんな人はほぼいないと思う。
しかし、「マジック・ストーリー」自体が悪いのではない。
私が思うに、おそらくは、「マジック・ストーリー」の著者自体が重要なことに気付かなかったのだ。
「マジック・ストーリー」の著者はどん底の状況から突然に生まれ変わり、成功への道を突き進んだ。
その生まれ変わる瞬間の状態が、上記の売れない画家と同じなのだ。
つまり、長い間、ロクなものを食べることができずに飢えていたのだ。実際、痩せ衰えていたとあった。
真に重要なのは、むしろこっちだ。強制的な少食・粗食状態にあったということが成功の条件を作り、「マジック・ストーリー」は、その肩をちょっと押したのだ。
「天使は見守るだけ。悪魔は幸せの方向にちょっと肩を押すのだ」
~コゲどんぼ著「ぴたテン」より。ニャーさんことクラウス・ローゼンバーグの言葉~
少食・粗食を実践すれば、それだけで十分である。
少食・粗食を堅く守っていれば、「マジック・ストーリー」は成功を早めてくれるかもしれない。
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