最も手強い敵
人々が羨む成功を収めた人達が、必ずしも幸福でなかったということは多いと思う。成功者の不幸の代表的なものは健康面と家庭と思う。
だが、興味本位以外でクローズアップされることはあまりない、プライバシーに関わるもっと別の理由もある。もちろん、本当の事実かどうかは確認しようがないのであるが、個人を特定しないなら信憑性がある。
あの素晴らしい作品を書いたSF作家のH.G.ウェルズもまた成功してから幸福ではなかった。
SFというジャンルを外しても偉大な作家であり、また、科学者でやっていけるほどの能力もあり、実際に科学書を著していて、彼が科学者と認識されていることもあるようだ。
彼は、成功してから女狂いの本性を出したが、これは珍しいことではない。
成功し、富と名誉を得るとモテるということもあるが、成功者はまた、人間に対する洞察力があり、基本的に魅力的な性質である場合も多い。
ウェルズは、もともと女好きであったのだろうが、若い頃は小心者で女性に積極的でなかった。その分、中年を過ぎていくらでも寄ってくるようになるともう止まらない。また、今のようにセクハラが問題になる時代ではなく、それなりの配慮を忘れないなら、メイドに手を出すこともさしたることでなかったと思うし、実際、出していた。
晩年、ウェルズはあきらかに心的に疲弊し、前向きで積極的な人間でなくなっていた。
特に、若い頃にモテなかった場合は悲惨と思う。このあたりのことは、映画「嘆きの天使」などでよく描かれる。
成功者の不幸の根本原因がこのようなものである場合は実に多いと思う。結果、家庭も荒れるし、子供もおかしくなるのだと思う。
根本的には結婚制度というものがなければ良いのであるが、女好きという、本来であれば素晴らしい性質(笑)の誤った使い方も問題だった。
ウェルズはまた、晩年、でっぷりと太っていた。食の節制こそ、あらゆる節制の基本である。日本の水野南北を読み、食を慎めば晩年も発展し、人類を代表する思想家になったかもしれない。
ここからは怪しげな話であるが(笑)、女色に関するとっておきの話をもう1つあげる。術の力を身に付ける修行の最終段階は実に厳しい。術の力を与えるのは、神か精霊といった存在で、神秘力を持って修行者を試す。
そして、最終試験では、男の場合、その者の完全に好みのタイプの女が、これまた完全に好みのシチュエイションで迫ってくるというものもあり、まあ、99.9999パーセントは失格の結果となる(当然だ)。
超人を目指す方は心して欲しい。
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Comments
その最終試験には越えられそうにない
しかし越えなければ
Posted by: minami | 2008.09.02 03:20 AM
★minamiさん
挑もうとする心構えが凄いですね。
私なら・・・(妄想中)・・・何秒もつかといったところですね^^;
禁欲百日目くらいできますよお。
Posted by: Kay | 2008.09.02 07:14 AM
100日!俺も頑張ります
Posted by: minami | 2008.09.02 01:19 PM
★minamiさん
禁欲だけで良いとは思えませんが、徹すればあるいはです。仙人というものは、自分が気に入れば簡単に術の力を与えてしまうこともあるようです。
Posted by: Kay | 2008.09.02 10:00 PM
最近いつも読ませていただいています。私も、水野南北はとても好きで、ことあるごとにここに戻ります。
飽食の現代社会ではなかなか難しいことになってしまいましたが、小食・粗食ほど、心身に良いことはありあせん。
敵は己 ですね。これからも愛読させていただきます。
Posted by: キトリ | 2008.09.06 08:33 PM
★キトリさん
水野南北の良さが分かるとは嬉しいですね。
日本では、ずっと前から、我々はもっと食えもっと食え、贅沢な食事をしろ、食べてこその人生だとそそのかされ続けているように思います。
水野南北は世界で最も重要と思いますが、日本人ですらほとんどの人が知らないのは残念と言いますか、実に情けない思いです。
Posted by: Kay | 2008.09.06 11:50 PM