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2008.08.08

勝ち目のない戦いに必要なこと

勝ち目のない戦いに挑む姿に崇高な美を見ることがある。
小説や映画でも、そのようなものを描く場合が多いのは、そこには平常では見ることのできない貴重なものが現れるからであると思われる。

H.G.ウェルズの「宇宙戦争」の最初の映画化は1953年であるが、映像的にも今見ても十分に楽しめると共に、全体として非常に優れた作品と思う。
この映画の最後に、こんなことが語られる。
「万策尽きた時、奇跡が起こった」
科学技術力で圧倒的に優る火星人の前に、人類はなす術もなく文明を破壊され、火星人の地球侵略完了は目前であったが、不意に火星人は死に絶える。火星人を滅ぼしたのは地球のウイルスであった。
「万策尽きた時、奇跡が起こった」というのは、つまり、万策は尽くしたということだ。
いかに力の差があるとはいえ、人類は何もしなかったわけではない。あらゆることを試みたのである。まさに、神は自らを助ける者を助けるである。

「宇宙戦争」を参考にしたのだとは思うが、1996年の米国映画「インデペンデンス・デイ」では、やはり人類をはるかに超えたテクノロジを持つ宇宙人の侵略に対し、圧倒的に不利な状況から人類が反撃を挑む。
この作品で勝利の鍵となったのが、「宇宙戦争」のウイルスに対し、コンピュータウイルスであったというのはちょっとした笑い処ではあるのだが、この映画でも、人類に勝利を呼び込んだ「ある」要因を感じることができたかもしれない。

アニメも侮れない。
「美少女戦士セーラームーン」の最終シリーズの「セーラースターズ」の最後の敵、セーラーギャラクシアは、セーラームーン達と比較にならない強大な力を持ち、セーラームーンの強力な仲間達が次々と倒される中では、セーラームーンに勝ち目は全くないと感じたはずだ。それならと、敵に寝返ったふりをして、ギャラクシアの力の一部を手に入れ、仲間のうちの2人さえ殺して反撃の機を狙ったが失敗したウラヌスとネプチューンが特に良かった。子供向けとは思えないハードな内容である。
そんな中で、セーラームーンを勝利に導いた要因は何か?セーラームーンの絶対的ポリシーは5年間のシリーズで一貫しており、それは「誰も犠牲にしない」ことであった。それは言うまでもなく奇麗事であり、仲間にすら批判されることもあったが、セーラームーンは信念を変えなかった。ギャラクシアとの戦いの中で、セーラームーンは宣言する。これ以上、誰も犠牲にしないこと。そして、その中にはギャラクシアすら含まれることを。その刹那、勝負は逆転する。

私が、アニメ史に残る最高傑作と考える「キャシャーン」(1993年。1973年のアニメ「新造人間キャシャーン」のリメイクで全4話)では、勝利の鍵をキャシャーンははっきりと口にした。
ついに、ブライキング・ボスの所に辿りつき、最終決戦に挑むキャシャーンの身体はすでにこれまでの激しい戦闘で傷付き、限界であった。そして、圧倒的パワーで優位に立つブライキング・ボスであるが、なぜかキャシャーンに和睦を提案する。
「俺はお前達を愛しているのだ。キャシャーン、いや、東鉄也よ。お前にも永遠に生きる特権を与えてやろう」
「断る。お前の作った世界など俺は欲しくない。俺は俺の手で新しい世界を作ってみせる」

さて、これらに共通する勝利の要因は何であろう。
思考上では勝ち目のない戦いの状況すら変えてしまう奇跡の力の源は。
「8マンインフィニティ」(七月鏡一原作)という漫画の中で、これが非常に印象的に語られていたように思う。この作品は、1963年の「8マン」(平井和正原作)の正統な続編で、平井和正さんが原作者に七月鏡一さんを指名し、2人は大いに討論したようだ。
8th(エイス)と呼ばれる新しい8マンのボディを得た光一は、1thから9thのマシナリー(この作品でのスーパーロボットの呼称)の敵を前に、勝ち目は全くなく、高度な電子知性体であるアンナの計算では、光一の生存確率は0.04パーセントであった。だが、かつての8マン、東八郎は勝利を呼び込む要因を2つあげる。1つは、敵が持たないものを光一が得ることができるかどうか。もう1つが、光一が運命を自分で選択できるかどうかであった。
かつて、8マンに倒されたケン・谷のクオリア(デジタルの魂とでも言うべきもの)を有するもう1人の8マンが言う。「戦いを決するのは、速さでも火力でもない。状況を作り出す強い意志だ」

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Comments

♪どんなピンチのときも絶対あきらめない そうよ それが 可憐な乙女のポリシー

懐かしい歌を思い出しました

激しい戦いの果て 
疑いもなく差し出したセーラームーンの手を
しっかり握り返したギャラクシア

勝利を疑わない心 誰の心の中にもある光を信じた勝利

でもセーラームーンはカオスも人の心の奥深くにあることも知っているんですよね

ほんとに子供向けとは思えないstory

Posted by: ほのか | 2008.08.09 02:02 AM

「乙女のポリシー」
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
はい、2番まで歌えました(笑)。

セーラームーンとギャラクシア様(なぜか様付け)が手を結び合うシーンは至高の美しさ、まさに芸術だったと思います。
(翌日のスポーツ誌は、セーラームーンがスッポンポンになったことを取り上げておりましたが^^;)

「カオスはどこに言ったのでしょう?」
「本来あるべき場所。人の心の中」
「それではまた・・・」
「信じましょ!人間を」

うさぎちゃんの、この楽観主義といいますか天然さが良いですね^^

すっと振り向いたギャラクシア様の美しさは奇跡でございました。。。

Posted by: Kay | 2008.08.09 02:05 PM

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