今の仕事への取り組み方
今はそうでもないかもしれないが、昔はハリウッドでトップで活躍する映画スターでも、若い頃はポルノに出演していたことが多かったらしい。女優だけではなく、むしろ肉体派男優の出演率は高かったと聞く。言うまでも無く、俳優という仕事は志望者に対する仕事の数が少なく、最初から俳優で食べられるはずもないので、別のアルバイトをするか、俳優を目指すほどの自慢の容姿を生かしてポルノに出るかであろう。あのマドンナですらそうであったらしい。
日本でも、年配の有名な俳優にはポルノ出演時代がある者もいるし、別に隠してもいないと思う。
問題は、彼らがポルノに出演したいた時の仕事態度と思う。後に成功する俳優は、おそらく、ポルノとはいえ、全力でやっていたのではないかと思う。
俳優の話ではないが、人気イラストレーターのいとうのいぢさんの来歴が興味深い。
普通、アダルトゲーム、それも昨今流行の美少女アダルトゲームの絵描きといったら、一般にはあまり良いイメージはないと思う。「なんでそんな仕事やるかね」といった感じもあると思う。いとうのいぢさんは、美術学校を出てゲームソフト会社に絵描きとして就職したが、その会社がアダルトゲームの製作会社と知ったのは入ってかららしい。
いとうのいぢさんは、最初は見習いみたいなものだったろうが、やがてファンの間で人気が出てくる(美少女アダルトゲームのファンということだろうが)。そして、主に若い人を対象とした小説(一般にライトノベルと呼ばれるが、実際にそんな小説分野がある訳ではないと思う)の挿絵の仕事もやるようになる。ここでは、登場人物のデザインを行うので、著者にとっても、小説作品のファンにとっても非常に重要なものであろう。ところが、挿絵を手がけた2つの小説「灼眼のシャナ」と「涼宮ハルヒの憂鬱」がいずれも空前の大ヒットとなり、いとうのいじさんは一躍、超人気イラストレーターとなり、本業のゲームの原画の他にも、雑誌表紙やグラビア、アニメ関係、画集、版画その他大活躍で、彼女のホームページベンジャミンには、「新規のお仕事をお受けすることができません。すいません」と書かれている。最近では、筒井康隆さんの作品の挿絵を描いているようである。
言うまでもないが、彼女も、無名の頃から、アダルトゲームの絵描きを全力でやっていたに違いない。
ウォレス・D・ワトルズの『富を「引き寄せる」科学的法則』(角川文庫)には、お金持ちになるために必要なこととして、現在の仕事を、自分が成長するために全力で行うことが不可欠であると書かれている。
ワトルズのこの本は、沢山の翻訳が出ているが、私も何冊か読んだ中で上記翻訳をお薦めする。この翻訳本は、と学会の2008年度の「日本トンデモ本大賞」に輝いたらしい(笑)。トンデモ本とは、とんでもないほどおかしな本という意味と思う。
尚、と学会とは、学会でもないでもない自称学会のお遊びクラブであるらしいが、SF作家の山本弘氏(私は1冊も読んだことはないが)が会長で、会員には著名人も多いのでよく知られている。話題の尽きない人気者オタキングである岡田斗司夫氏も会員であるらしい。
成功法則の本の多くが、現在の仕事についてあまり言及しない中で、ワトルズの本は非常にそれを重要視している点は特筆すべきと思う。人間は仕事で最も成長する。もちろん、主婦も仕事と言って良いし、企業や学校に所属するアマチュアスポーツ選手にとっても、スポーツは仕事である。もっとも、アマチュアスポーツ選手は、国家や企業にやらされている部分が大き過ぎるように思う。
ただ、1つ反例をあげておく。
俳優の丹波哲郎さん(故人)だ。丹波さんは、自伝に書いているくらいだから間違いないと思うが、サラリーマン時代の仕事振りは最悪だった。通訳時代は、そもそも英語はロクにできないのでトイレに隠れ、会社員時代は、まずもって席にいたためしは無く、入社時にもらった鉛筆は、数年後クビになるまで一度も使わなかったという。
しかし、彼の心の大きさは尋常ではない。ものごとに全くこだわらない。
特殊な例なので、相当自信のある方以外は真似しない方が無難と思う(笑)。
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Comments
確かにどんなとこでも全力でやれる人は尊敬できると思います。
自分も絵が好きなんで色んな作品を見ているんですけど
アダルトだろうが何だろうが、魂のこもっている絵はすばらしいと感じます。
Posted by: hk | 2008.07.13 07:02 PM
★hkさん
極端に言えば、少々危ないことでも全力を尽くす人は魅力ありますね。確かに、悪くて凄い人はモテますが。
>アダルトだろうが何だろうが、魂のこもっている絵はすばらしいと感じます。
本当にそうだと思います。
単にきれいな絵より、生命の燈ったエロ絵が良いと思います。
Posted by: Kay | 2008.07.13 09:30 PM