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2008.07.26

天命の受容

天命に生きることで、真の満足すべき生涯を全うできる道が開けると思う。

台湾出身のアメリカ人女性作家で、世界的経営者でもあるチン・ニンチュウは、著書「誰でもちいさなことで大切な願いがかなえられる」の中で、誰でも一生に何度か天命の誘いを受けると言う。有名なベートーヴェンの「運命」のような雰囲気であるかどうかは分らないが。
だが、天命に誘われても人の方で拒否することも多いし、天命に応えるほどに成長できないまま一生を終わる場合もあるらしい。

ニンチュウは、アメリカ初代大統領ワシントンの例をあげている。
ワシントンの若い頃の望みは富と名誉で、彼は見栄っ張りの自己中心的な人間だった。有名な、桜の木を斧で切ったことを正直に牧師に告白したというお話は、ワシントンを美化し、子供のしつけに利用するための作り話である。
富の方は、早くに首尾よく手に入れた。土地取引で不正を行ったり、金持ちの未亡人と結婚したりしてだが。
次は名誉だ。不正で儲けた金で、アメリカ大陸軍の高級将校の地位を手に入れた。だが、戦闘の際、戦術といえばちょっと本をかじっただけのワシントンの指揮で、大勢の同胞を死なせてしまった。
やっと目覚めたワシントンは、本気で英国と戦うことを決意する。天命を受け入れたのである。長く苦しい戦いの末、遂にアメリカは独立を得、目は衰え、髪も白くなったワシントンは初代大統領となったのである。

小説だが、実に感動的な例がある。
高橋弥七郎さんの累計585万部という(今後も増えるだろう)人気小説「灼眼のシャナ」で、シャナは日本人の捨て子だった。それを、偶然にヴィルヘルミナという女性が見つけて、住処であった「天道宮」に連れ帰った。そこには、異世界の魔神「天壌の劫火」アラストールがいる。この子を連れてきた目的は1つ。フレイムヘイズという特殊な戦士に育てるためである。
それまで多くの子供を育て、鍛えてきた。才能を示す子もいたが、力がつくと傲慢になり成長しなくなった。だが、シャナは違った。肉体的知的な能力だけでなく、精神が他の子とまるで違っていた。過酷な訓練をしながらも、心の明るさを失わなかった。
だが、それを見るにつけ、ヴィルヘルミナとアラストールは後ろめたさを感じた。美しく素直に成長する彼女に、フレイムヘイズになる道しか選べないようにしてしまったことを。
だが、シャナにもまた隠し事があった。彼女は、ヴィルヘルミナやアラストールを愛していたが、彼らの真意を疑っていた。フレイムヘイズの使命の崇高さも。
だが、シャナは言う(後に、坂井悠二がこの名をつけるまでは本当は名前はない)。
「それでも私は、自分の意思でフレイムヘイズの道を選ぶ」
生まれた時からフレイムへイズの天命を背負った彼女は、12歳にしてそれを受け入れたのだった。
シャナのアラストールとの契約の言葉はこうだった。

偉大なる天壌の劫火アラストール。あなたの志に、敬意を。我が身を器に、顕現を。ともにフレイムヘイズたるの使命を、斃(たお)れる日まで果たしましょう。
~高橋弥七郎「灼眼のシャナV」より~

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