哀れ日本
秋葉原での、連続無差別殺傷事件が、ナイフの販売に大きな影響を与えている。
事件からしばらくして、ヤフーは、ショッピングおよびオークションでのダガーナイフの取り扱いを一切禁止した。
鳥取県では、18歳未満へのダガーナイフの販売を禁止するという(もっとも、多くのナイフ販売店では未成年者へのナイフ販売を自主規制している)。
ダガーナイフとは、秋葉原の事件で凶器として使われた両刃の短剣で、突き刺す能力が高く、この事件のように、訓練したわけでもない素人でも人を殺すことが可能である。
そして、当初は、販売規制のターゲットはタガーナイフが対象で、Amazonはじめ、多くのネット販売会社では、その他のナイフに関しては従来通り販売していた。Amazonでは、つい最近まで、タガーナイフも扱っていた。しかし、本日あたりでは、Amazonでは、一部を除き、ほとんどのナイフの販売を事実上中止してしまったようだ。
ナイフマニアの私も、ダガーナイフは1本も持っていない。だが、明らかにファイティング用途のナイフはいくらか持っている。なぜ持っているかというと、ファイティングナイフには独特の美しさがあるからであるが、他のナイフファンの方同様、鑑賞のために持っている。
秋葉原の事件では、何が悪いのかはいろいろあるのであろうが、ただ、ナイフが悪いというわけでは決してない。
ダガーナイフの規制自体は悪いとは思わない。ダガーナイフは純粋に武器である。
しかし、ナイフは、旧石器時代からの人類の友であり、人類に知恵と力と重要な美意識も与えてきたと思う。
むしろ過剰な規制が心配である。完全にそうとは言わないが、数十年前に学校でのナイフ所持を禁じてから、ナイフにはマイナス面での関心が持たれることとなり、結果として、ナイフによる犯罪は増えたと思う。
アメリカでは昔、禁酒法で酒の製造販売を禁じると、闇バーが一気に増え、ギャングの資金源になった。
明治政府が民衆の性風習(夜這い等)を取り締まると、風俗店が激増し(政府も手厚く保護した)、不幸な女性は増え、裏社会の資金源となった。
現在でも、淫行条例により援助交際は確実に増えると共に、規制ギリギリの女子中高生(小学生も多い)をモデルにした猥褻なメディア製品は凄まじい数となってしまった。
禁断の果実ほどウマいものはない。
規制は大抵の場合、逆効果であることを理解できない頭の悪い役人の多い国である。今後も困難は多いであろう。哀れ日本。
私が所有する、アルマーの「ワイルドウエストボウイ」。これもファイティング用である。
販売店の説明では、グリーンベレーに所属していた経験のあるナイフデザイナーのアル・マーがFBIの友人の依頼を受けて制作したもので、ハンドル中央の金属パネルには、FBIの隊員番号が刻まれたという。
このナイフの販売を続けているショップもあるが、私が購入したところでは販売を中止した。
小型で素敵なナイフであるのに残念である。
尚、このナイフとハンドル部分が共通のダガーナイフ「ワイルドウエストブーツ」の販売はさすがに行われていないようだ。
« 神秘な記憶 | Main | 私が平常心を保てた訳 »
The comments to this entry are closed.
Comments