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2008.06.23

現状を否定する美神達

内海康満さんの本にこんなことが書いてあった。
「私は、橋の下の家に住んでいる人を羨ましく思ったことがある。あんなところでも寝れるとは、なんて幸せなんだ。私は快適なベッドや布団がないと眠れない」
で、当時、愚かにも傾倒していた(笑)船井幸雄さんの本にはこうあった。「不満をバネにがんばるというのは下手な生き方です。現状に満足すべきです」
まあ、船井さんが言ったからではなく、この言葉自体が良いと思ったから憶えているのであるが(この言葉自体は、いろんな偉い人が言っているが)、内海さんの言葉も無視できなった。

谷川流さんの「涼宮ハルヒ」シリーズは、単なる小説ではあるが、500万部も売れた(今後、更に伸びるはずだ)小説には何かあると思っても良いであろう。
涼宮ハルヒは、完全な現状否定タイプである。しかし、彼女は、小学6年生のある日までは、現状肯定タイプだった。
小学6年生の時、家族でプロ野球観戦に行き、5万人の大観衆を見て、自分のちっぽけさを思い知ったのだった。それまで幸せだった自分の人生は色褪せ、小学校卒業まで悩み続け、ついに決意する。「自分を変えよう」と。
彼女は、現状を否定した刹那、宇宙開闢の時から存在していたある存在(この小説では統合情報思念体)を超えたのだ。

「レイアース」というアニメ作品がある。CLAMPさん原作の「魔法騎士レイアース」が元になってはいるが、全くのオリジナルストーリーで再制作された2時間ほどの作品だ。
心優しく愛情に満ちているが、気が弱くおとなしい中学3年生の少女、鳳凰寺風(ほうおうじふう)が言う。
「確かに私(わたくし)は、人と争ったことも傷付けたこともありません。でも、この現実を、こんな運命を受け入れるわけにはまいりません!」
彼女は、異世界の魔法使い達との生死を賭けた戦いを決意する。
魔神ウィンダムは、それまでに彼女にこんな言葉を送っていた。
「このまま滅びを迎えるか?それとも運命に抗うか?全ては汝次第だ」

ニーチェは「運命愛」といって、いかなる運命も偶然も愛することの崇高さを説いた。イェイツもまた「アラブ人への3つの手紙」で、決して「神の思し召し」に従うという意味ではない激しいまでの現状の絶対肯定を説いた。
ニーチェ、イェイツの帰依者であった私が現状否定論タイプが好きなことは実に面白い(笑)。

ついでに言うと、ツンデレのハルヒの秘めたる想い人キョンは、完全現状肯定派だ。
「こんな状況になって初めて発見したよ。なんだかんだ言って、俺はこれまでの暮らしが結構気に入ってたんだ」
その「これまでの」世界を取り戻すため、キョンはハルヒにあんなことするのですが(笑)。

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