引きこもりがなぜノーベル賞に輝いたか?
画家やミュージシャンが、LSDなどの覚醒剤を利用して意識の拡大を体験し、そこからサイケデリックな絵画や音楽を制作して、時には成功を収めるような話を聞いたこともあると思う。あのビートルズにも、そんなことは確かにあったようだ。
アップル社創業者で、現在CEOのスティーブ・ジョブズも昔はLSDをよく使っていたようで、当時は人にも薦めていたことは間違いない。
さらに、宗教家のラム・ダスも著書の中で、意識の覚醒のためのLSDの効能を取り上げていた。
しかし、私は、ほとんどの人にとって、仮に後遺症の少ないものであっても、覚醒剤の使用はロクな結果をもたらさないものであることを断ずる。
ビートルズのメンバーや、スティーブ・ジョブズのような、活動的で目標意識の高い人たちはまだいいかもしれない。
しかし、たとえ意識の覚醒や悟りであれ、それが受動的にもたらされた場合の結果は悲惨である。
芸術におけるロマン主義では、芸術家達は覚醒剤ではないが、意識の覚醒を体験していた。その結果、彼らは新しい芸術を生み出し、この世界の本質が美しいものであることも分かった。しかし、彼らは現実に耐え難くなり、この世に見切りをつけた。つまり自殺したのだ。
瞑想で意識覚醒を起させることも、私は絶対にお薦めしない。
瞑想のテクニックを使うと、日常とは異なる純粋にして巨大な意識に到達することも可能ではないかと思う。確かに、大きな仕事をする実業家や、プロスポーツ選手ならそれも良いかもしれない。しかし、普通の人がそれをやると、やはり現実に耐えられないのだ。
丁度、夏休みの前日は気分が高揚して楽しいのと引き換えに、夏休みの終日が悲惨なほど憂鬱なのと同じだ。本来であれば、学校生活が楽しくてこそ夏休みは有益であるのだ。
夜のひと時、天使に逢い、実に楽しく過ごしたとしても、朝になれば嫌な学校や会社に行かないといけない。それなら天使には逢わない方が良い。天使があまり人に逢わないのはそのためである。
それならどうすれば良いかというと、絵か文章を書くこともお薦めする。
悲惨な絵や文章でも良い。
朝起きてから、その必要を見出せないという理由でベッドから出ることもなかった無気力で引きこもりの作家でもノーベル賞を取ったのである。(もっとも、彼は授賞式への出席は固く断り、大ヒットの自分の戯曲の劇にも行かなかった。さすが引きこもりである。)
見るだけ、読むだけではそうはいかない。自分で描き、書くことである。
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Comments
>自分で描き、書くことである。
単純にして明快。
同感です。
楽器を演奏するのもいいかと思います。
Posted by: 匿名希望 | 2008.05.18 01:06 AM
授賞式への出席は固く断り、大ヒットの自分の戯曲の劇にも行かなかった・・・
チャンスをもったいないですね
Posted by: 人間心理操作プロジェクト! | 2008.05.18 10:39 AM
★匿名希望さん
自分でやってみることは大切ですね。
創造的であれば最も良いと思います。
Posted by: Kay | 2008.05.18 12:51 PM
★人間心理操作プロジェクト!さん
本人はちっとももったいないと思ってないですよ。
私も全然もったいないとは思いません。
出たくなきゃ出なくていいし、行きたくなきゃ行かなくていい。それに理由なんていりません。
Posted by: Kay | 2008.05.18 12:51 PM
こんばんは☆
以前、zaraでコメントさせて頂いた者です♪^^
最近ブログをリニューアルさせまして(笑)名前を”りば”に改姓致しました!
>さすが引きこもりである。
本当に流石ですよね~笑
ここまで来るともう、拝みたくなりますね~…
それこそ爪の垢を削って…の心境です。^^;
それが例えネガティブな事でも人間、物事を極めるって凄い事だし、素晴らしい事ですよね?
Posted by: りば^^ | 2008.05.19 05:25 PM
★りば^^さん
彼(ベケット)の戯曲を読んだら、感心する気も失せるかもしれません。あの退屈さ、盛り上がりの無さ、無意味さ!あまりの悪評に、劇場は連日超満員でしたとさ(笑)。
Posted by: Kay | 2008.05.19 09:46 PM
レスありがとうございます。
>創造的であれば最も良いと思います。
本当に心から同感です。
Posted by: 匿名希望 | 2008.05.23 08:21 PM