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2008.05.06

画家とコンピュータプログラマ

画家とコンピュータプログラマがよく似ていると言ったのは、ポール・グレアムだ。
ポールは、ITベンチャーで成功し、その後、会社を売却して膨大な利益を上げた。現在は、講演、コンサルタント、著作で活躍している。ポールはハーバードで、コンピュータサイエンスの博士号も取得している。ところが、彼は美術学校で絵画を学んでもいる。

画家とコンピュータプログラマが似ている点として、いろいろ気付く。
まず、修行時代から言えば、目標の持ちにくさだ。
スポーツであれば、試合に勝つという目標があるし、その試合の勝ちっぷりや負けっぷりから、自分の実力や欠点といったものを知ることもできる。
私は、絵のことは分からぬが、おそらく、画家を目指すような人でも、自分が何を描けば良いのか悩むことがあると思う。先生がいて、あれを描け、これを描けと指示されるのでなければ、描きたいものが見当たらないといったものである。
コンピュータプログラマ的にこれにアドバイスするなら、選り好みせず、何でも描いてみるしかない。なぜかというと、おそらく、描きたいものが見当たらないという人は、ワクワクするようなものを描きたいと思っているのだろうが、そんなもの無くて良いのである。
ワクワクするような被写体といえば、男性なら美女のヌード、女性ならイケメンのヌードであろうが、それはモデルとして好きなのではなく、それそのものが好きなだけであるし、そんなものばかり描いていたら、遠からず描くのが嫌になるはずだ。
石膏デッサンが良いのかどうかは分からないが(池田満寿夫さんは弊害が多いと言っていたが)、身近なものをデッサンしてみるしかない。
それが退屈であると言うなら、退屈こそが良いのである。
ところで、コンピュータプログラムなんて実に退屈なものである。ハッカーやプログラムオタクだって、決して嬉々としてプログラミングしているわけではない。単調で退屈な作業を黙々とやっているのだ。私は、プロでもないのに、優れたプログラムを書く人は大したものだと思う。面白くもない、退屈な作業をやり続ける忍耐があるからだ。
本を読むということも退屈な行為に分類されると思うが、プログラミングとは、それどころではない。
世界的に普及しているプログラミング言語Rubyを開発したまつもとひろゆき氏は、Rubyはコンピュータプログラミングが楽しくできることを目標にしたと言うが、その楽しさは、決して映画を見たり、ゲームをする楽しさと同義ではない。それらと比べれば、やはりどう言っても退屈である。
身近な目標が見えないことを、単調さに耐え、淡々と行うことが力になる。もちろん、絵を描くことも、コンピュータプログラムも単調なばかりではないが、大部分が単調なものと思う。再度言うが、絵のことは分からぬが、常に興奮して描いているような画家はいないはずだ。

絵を習う、書を習うなど、いろいろあると思うが、教室ではあまり生徒を退屈させるわけにはいかず、先生達はいろいろ大変と思う。
ちなみに、コンピュータプログラミングを学校で学ぼうなんて人はあまり素質はないと思う。学校に行くというのは、1人では理解しにくいところを教えてもらえるという便利さと共に、退屈せずに済むという期待もあると思う。しかし、何事も、退屈さに耐えねば上達しないはずだ。
ところで、昨今の一流の学習塾は、授業が面白い。生徒を退屈させないよう、徹底した配慮がある。退屈だと頭が働かないということもある。しかし、それで受験に成功した生徒が、人としての知恵を得られるかどうかは疑問だ。よって、学習塾だけに集中せず、絵を描いたり、書を書いたりすると良いと思う。

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Comments

いつも読ませて頂いております。数ヶ月前にポール・グレアム氏の「ハッカーと画家」を読みました。「油絵の重要性はキャンバスの上で試行錯誤しながら作品を作り上げて行くことができる点でプログラム言語もそのようなことができるものが望ましい」というような主旨のことも書かれていて興味を引かれました。

Posted by: s-kai | 2008.05.08 at 02:11 AM

★s-kaiさん
コメントありがとうございます。
画家の中にも、最初から厳密な計画を立て、その通りに作品を仕上げる人もいれば、いきあたりばったりとは言いませんが、試行錯誤しながら、必ずしも最初のビジョン通りでない完成を見ることが多い人もいると思います。
コンピュータプログラムは、企業で仕事として行う限り、計画型でないといけないのですが、ポール・グレアムのような一流プログラマでも試行錯誤タイプを堂々と公言するのは面白いことと思います。

Posted by: Kay | 2008.05.08 at 11:18 PM

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