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2008.02.14

太郎君が死んだ日

お昼休みになり、中学2年の鈴木太郎君は、お弁当を食べようと取り出した。だが、弁当箱を開けると、中にお弁当はなく、代わりにゴミが詰められていた。
太郎君が周りを見回すと、数人の男子生徒が薄ら笑いを浮かべながら見ていた。
太郎君はすっくと立ち上がり、教室から出ようとした。
彼を薄ら笑いを浮かべて見ていた男子達はやや慌てた様子で、彼に言った。
「おい!鈴木、どこに行くんだよ?」
「職員室さ」
「何しにいくんだ?」
「電話を借りるんだよ」
「電話?」
その男子達はいぶかしげに尋ねる。
「どこに電話すんだよ?」
「警察さ」
さすがに、彼らは慌てた。
「警察に電話してどうするんだよ?」
「後でね。僕も早く終わらせたいんだ」
鈴木君はさっさと出て行き、彼らも見守るしかなかった。

職員室に入った鈴木君は、一礼した。近くの教師達が彼を見る。彼は、特にどの教師に向かってというわけではなく言った。
「電話をお借りしたいのですが」
近くにいた男性教師が、
「電話?お家にかけるのかね?」
「いえ、違います。警察にかけます」
「え!?」
周りの教師達は、慌てるのと困惑の顔で色めき立つ。
「警察!いったいどうしてだ」
教師の口調ははっきり厳しい。
「僕のお弁当箱の中身が捨てられ、代わりにゴミが詰められていました。人のものを勝手に取ることや捨てることは犯罪ですよね?」
「そ、それはそうだが、なんで警察に電話するんだ!?」
「犯罪は警察に通報するのは当たり前です」
「ま、待ちなさい!勝手なことをしてはいかんよ」
「どうしてです?ごく当たり前のことですが・・・」
顔を見合わせる教師達。女性の教師が言う。
「警察だってこんなことでいちいち呼ばれたら迷惑だわ」
「ではどうすれば良いのですか?」
「まず、担任の先生に相談すべきでしょ?」
「先生にどうにかできるのですか?」
「貴様!何、生意気なことを言っている。担任は誰だね?」
「小山先生です」

その場に呼ばれた小山先生は憤慨し、
「鈴木、お前は馬鹿か!なぜ先生に言わない」
「分りました。では、今から教室に全員を集め、解決を計って下さい」
「う・・・。ああ、分った!教室に行こう」

教室で、先生より先に太郎君が話し始めた。
「今日、僕のお弁当箱の中身が捨てられ、代わりにゴミを入れられていました。これは犯罪ですので、僕は警察に訴えようとしましたが、先生方に止められました。確かに、犯罪だからといってあらゆることを警察に訴えるのが正しいのではなく、話し合いで解決するならそれで良いのだと思います。そこで、先生の助けを借り、早急に解決をしたく思います。犯人は今すぐ名乗り出て下さい。そして謝って下さい。また、今後、二度とこのようなことをしないと誓って下さい。僕が誠意ある謝罪と思った場合は、今回のことは水に流します。」
教室の中は静まってしまった。小山先生も一瞬黙ったが、
「やった者は後で言いにくるように」
とだけ言った。
だが、太郎君は納得しなかった。
「それはだめです。今すぐ名乗ってくれないと。」
小山先生は明らかに苛立った口調で、
「いい加減にしなさい!みんなの前で晒し者にする気なのか?」
「・・・・・」
「分ったかね?私の方からちゃんと注意しておく。いいね?」
「はい、分りました」

その夜、太郎君は帰宅しなかった。深夜になっても帰ってこないので、母親は小山先生の自宅に電話した。そして、警察に捜索願いが出された。
翌朝。学校の体育館の中で、運動用マットに丸め込まれて死んでいる太郎君が発見された。その顔は苦痛に歪んでいた。マットの中で胸部などを強く圧迫された窒息死であった。

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Comments

イジメですね!
私こういう行為には、腹が立ちます
悲しい状況ですがその行為をした人物達には、必ず天罰がくだります
人生とは、そういうものです
そして、人を殺したと言う記憶から一生逃れることは、出来ないでしょう

Posted by: ヒデピョ~ン。。 | 2008.02.15 12:17 AM

そこでですね、いじめには暴力や窃盗が含まれる場合が多いのですが、それは警察の管轄であると思うのですよ。
いじめっ子に何十万円も渡した末自殺した中学生がいましたが、相談すべきは先生ではなく警察です。それさえ分かっていれば死なずに済んだと思うと、残念でなりません。

Posted by: Kay | 2008.02.15 09:40 PM

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