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2008.02.26

ラルフ・ネーダー氏は興味深い

この度、米国大統領選に出馬を表明した(出馬では常連だが)弁護士・社会運動家のラルフ・ネーダー氏は面白い。
消費者運動家であり、大企業の支配に異議を唱える人物であるところには親しみを感じる。
彼は、こういった反商業主義を若い頃から実践している。おそらくは有名なエピソードだろうが、25歳で陸軍を除隊した後、一度だけ陸軍を訪れ、売店で12足の靴と4ダースの軍用ソックスを買い、40年近く使い続けたという。
現在の大量生産・大量消費に背を向け、ものを大切にする人物である。大統領の器かどうかは分らないが、善良な人物であり、その経歴からも、大企業を相手に回して戦える勇気と能力のある人物であることも分る。弁護士でもあるのだが、大企業の不正や横暴に対しての戦いでは大きな成果も収めているのだ。

私も、服、靴はもちろん、車、机、ナイフなどの道具でも、長持ちするものが好きだ。
日本の工業製品は、昔から使用期限が短い、即ち、すぐに壊れることが特徴だ。だが、ドイツの良い工業製品では、例えば歯車を使う機械製品では、磨耗すればさらにスムーズになるという素晴らしいものがあると聞く。それこそ、職人魂であると思う。
車でも、私は日本のT社の高級車で、友人はドイツのベンツであるが、見た目では、外見も内装もむしろ私の車の方が良い。しかし、ベンツは下回りのシャーシには厚い鉄板を使い、重いが長持ちするし、装備一般も耐久性がある。ポルシェなど、ドイツの名車はモデルチェンジ前に値上がりすると聞くが、日本では考えられないことである。
ナイフは一般に消耗品であるが、ある和式ナイフの販売店のサイトで、マタギ(猟を生業とする集団)の方が、祖父から受継いだ小刀を使っているというのを見たが、やはりしっかりとしたものを作っていたのだと思う。
また、現在の包丁という言葉は、もともとは「料理人の丁さん」という意味であるらしいが、「荘子」に登場する。この丁さんは大変な名人で、牛をさばく刀を普通の料理人では月に1回、名人でも年に1回換えるのに、丁は同じ刀を19年使っていて刃こぼれ1つないとされている。腕と共に、道具の良さというものがあるのであろう。

ものを大事に使えば、確かに商業的には大儲けの機会は減るが、資源や、それに精神にとっては良いことである。
現在の日本人の精神性の低下の大きな原因は、大量生産と大量消費を行うために、あらゆる産業が欲望産業化していることが原因と思えてならない。
そもそも、現在の義務教育そのものが、大量生産、大量消費の社会に向く無思考型人間を作り出しているのである。学校では好奇心を破壊され、何にも興味がないので退屈しやすく、次々にものが欲しくなるのである。また、自分でものを考えないので、流行に乗りやすく、宣伝や扇動に簡単に乗り、同じものが沢山売れるし、同じレジャーに大勢が集まり、まさに大企業向きの国民に仕立て上げられているのである。
だが、その結果、自己中心で欲しがるだけの、知的能力のない欲望人間が蔓延するようになったのである。

ネーダー氏は、社会運動家や政治家ではなく、ビジネスマンになって欲しかった。彼の価値観でビジネスに成功できれば、大量生産、大量消費ではない、新しいビジネスモデルを示すことができたかもしれない。
だが、このようなビジネスに取組む企業、経営者は既に現れてきている。私も、その方面に向かっていこうと思う。

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Comments

物を大事にする心、私も大事だと思います
使えば使うほど浸し身が湧き煩悩が出てきます
そして、いつの間にかわが身の一部になる
限られた資源大事にしないと・・・

斉藤さんの本、読むのを途中で止めるの難しいですね
^^;
内容が一連になっている
考え方の角度を感じます

今夜のセミナーにwで・・

Posted by: ヒデピョ~ン。。 | 2008.02.27 01:10 AM

煩悩っスか?(笑)
まあ、それもいいですね。
斎藤さんの本は是非一気読みして下さい。

Posted by: Kay | 2008.02.27 09:53 PM

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