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2007.10.09

to error is human

アメリカの著名な作家カート・ヴォネガットのエッセイ集にあったが、シェイクスピアはどうしようもなく下手な作家なのだが、なぜあれほどの文豪になったかというと、人間をよく知っているからだということだった。
実は私も賛成だ。シェイクスピアが優秀な作家と思ったことはない。中学や高校の時、世界的歴史的な作家ということでいくらか読んでみたが、まだ人間について全く知らないその頃には退屈で仕方のないものだった。
では、エドガー・アラン・ポーはどうだろう?私はポーも同じと思う。ポーの怪奇小説のお話としての面白さを賞賛する人もいるが、私には大して熟考したようでもない、思いつきのお話のようにしか思えない。そして、ポーの作品について、心に残っているのはストーリーではなく、人間洞察の部分であるのだ。その部分は、正しいか誤りかの問題ではなく、深く明敏な思想、洞察、想像が見られ、忘れることのできないものであると思う。
ポーに似ていると思う作家にエルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマン(嗚呼!長い。通常はE.T.A.ホフマンと略す場合が多い)がいる。ポーよりほぼきっかり33年早く生まれ、共に短命であったが、ポーより27年早く亡くなったドイツの小説家である。昼間は裁判官、夜は芸術家という多才な人物であった。
ホフマンと聞いてピンとこなくても、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」なら、浅田真央さんが以前使っていた曲およびバレエとしてご存知と思うが、その原作の「くるみ割り人形とはつかねずみの王様」を書いた作家だ。だが、ホフマンの本領は、このようなファンタジーではなく、何と言ってもポーのような怪奇小説だ。
やはりバレエの「コッペリア」をご存知の方もいると思う。「コッペリア」は、ホフマンの怪奇小説「砂男」を参考にしたお話であるが、「コッペリア」は喜劇である。「砂男」は「コッペリア」とは似ても似つかないおどろおどろしいお話だ。
「コッペリア」では、コッペリアは、美しい少女の自動人形(カラクリ人形)である。作ったのは時計職人のコッペリウスだ。しかし、「砂男」では、少女の人形はオリンピアという名で、作ったのは奇人的大学教授のスパランツァーニである。そして、こちらでは、コッペリウスは世にもおぞましい怪人物である。「砂男」では、人間の心の脆弱性や不合理性を見せ付けていると思う。ホフマンもポーも、何か問題を提出しているようには思えるが、その解決法に触れることはない。「自分で考えろ」と言うのか、あるいは「考えても無駄だ」というのかもしれない。ハンガリー出身の天才的科学ジャーナリストで作家のアーサー・ケストラーは、人間の脳が欠陥品であるいといい、悲観して自殺してしまったが、ポーやホフマンはそこまで悲壮ではなかったように思う。
確かに脳は極めて複雑であり、常に合理的であることを保証しないが、私は精妙・完璧であると思う。スポック博士はto error is human(人間とは間違いを犯すものだ)と言ったが、間違いを犯すのもまた脳の合理的な機能である。いまや人間の問題は解決可能であると思うが、それに取組む者はまだ極めて少ないと思う。

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Comments

kayさんの自宅ちょっとしたショットバーみたいな品揃えですね!
私は、熊本ですのでシンプルにロックで白岳焼酎飲んでます
お会いできたら是非一緒に飲んでみたいものです(^^)
kayさんの知識を吸収しながら・・(笑

それでは、今夜のセミナーにポイッと

Posted by: ヒデピョ~ン。。 | 2007.10.10 12:54 AM

をを!焼酎、いいですね!
白岳焼酎・・・高橋酒造ですね(笑)。
私は焼酎にもちとウルサイですぞ。
麦、米、芋、それぞれのお・・・っと、今回はやめておきましょう(笑)。
ロック・・・いいですね。私も飲みに行くと、「ワイルドターキーをロックで」とカッコ良くキメております。
ただ・・・カクテルの知識で女子大生に負けました^^;

Posted by: Kay | 2007.10.10 09:51 PM

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