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2007.07.06

ドクター・ハマー

アーマンド・ハマーという、伝説的なビジネスマンがいた。
彼が生まれたのは1898年であった。
医学部(コロンビア大学)を出た本当の医者であることから、通称はドクター・ハマーである。
彼は、学生時代に既に富を築き、貧困に喘ぐ旧ソ連での医療活動に人生を捧げようとしていた。シュヴァイツァー博士のアメリカ版である。
アーマンドの父親ジュリアスも医者であった。ジュリアスは肉体労働者であったが、23歳で医学校に入って医者になり、善良で献身的な医師として人々に愛された。

23歳のハマーは、医療機器や薬品を満載した船でソ連に入るが、レーニンに医療ではなく、経済活動での支援を要請された。
社会主義国家の経済活動の不合理さや効率の悪さは驚くべきものだった。ハマーは貿易ビジネスや工業で手腕を発揮し、ソ連経済に貢献する。
この中で、世界的な人脈を築くが、さらに、ソ連やアメリカの歴代首脳(ソ連ではゴルバチョフ、アメリカではレーガンまで)と親交を結んだ。
石油をはじめ、巨大なビジネスで成功を収め大富豪となるが、90歳を過ぎて尚、プライベートジェットで世界中を股にかけてビジネスを行った。
そして、1990年、冷戦の終焉を見届けて満足したかのように、92歳で世を去る。

以上は、かなり前に、ハマーの自伝「ドクター・ハマー」を1度読んだだけで憶えていることなので、間違いもあるかもしれない。
この本の中で、3つのことを特に印象深く憶えている。

まず、ハマーは、人生の目標を7歳で決定した。それは「自分より優れた人のため、少しでも役に立つ」である。尚、ここで言う、「自分より優れた人」とは、おそらくは全人類を指しているのだと思った。

ハマーは、ビジネス成功の秘訣は、1つの成功を次に結びつけることであると言う。
読んだ当時はあまり分からなかったが、「次に結びつける」とは、単に「儲かれば良い」と思っていてはできないことと思う。そして、商売をそんな風に心得る者はやはり成功しない。次に結びつけるとは、1つには、顧客に継続的な売り込みを行うことであるいが、やはり、誠意を持って顧客を大切にすることが大事であろう。それには、当然、アフターフォローを充実させる必要もある。
なるほど、成功の秘訣は単純だ。巷では、「ビジネス必勝の秘訣」や「成功術」を商売にしている輩もいるが、こういった基本ができていなければ絶対にどんな秘訣も効果はないし、そもそも、成功に秘訣なしであろう。

3つ目は、ハマーがビジネスの経費の大半をポケットマネーで支払っていたということだ。
経営者としていうなら、経費にせず、税の優遇を受けなかったということだし、個人としては、プライベートなお金を仕事に投入したということである。
はっきりとは分からないが、この心構えも、稀な成功者となった要因の1つと思える。
私は、経営者ではないが、多少の経費なら会社に請求しないようにしたが、これは確実に良い効果がある。ただ、上司が親切過ぎて、私が費用請求しないことに気付き、無理に請求させたということはあった。
また、私の業種(コンピュータソフト開発)は残業の多いことで有名であるが、私の勤務していた会社は残業時間は自己申告であった。同僚達は、休憩室でコーヒーを飲みながらダラダラ午後10時までいるだけで4時間の残業申請をしていた。私は、休憩室がどうなっているか知らないほどで、真面目に深夜まで勤務していたが、残業申請は一切しなかった。面白いことに、他と比べて私の収益率は高かったが、残業が少ないということで昇進対象から外されそうになった(先の親切な上司がフォローしてくれたが)。
こう言えば、実に損をしているように見えるが、このような態度で他人に遅れを取るはずはない。早い話が実力がついた。
その後、会社は買収され、同僚の大半はリストラされたが、私はその前に好条件でヘッドハンティングされたのである。

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