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2007.07.16

オピネルに萌える

元レーソングドライバーで、自動車評論家の徳大寺有恒氏の本を見たことがあるが、やはり車好きらしく、これはという車を求めて、次々に乗り換えたらしい。
おそらくは超高級車も沢山乗ったと思うが、彼がついに気に入ったのが、ドイツのゴルフという大衆車だったというのが面白かった。ただ、これはかなり昔の話と思う。
ゴルフというのは、日本で言うならカローラである。ただし、同じ大衆車でも全く違うらしい。徳大寺氏はゴルフは気に入っても、カローラを気に入ったとは思えない。
ところで、私は車自体にはさほどの思い入れもなかったので、徳大寺氏が30年も続けた歴史的著作「間違いだらけのクルマ選び」(2006年で終了)は面白かったがあまり役立てなかった。だから今はマークツーなんかに乗っているのだ(笑)。

レベルは異なるが、私は少し前からナイフの収集をしている。
数々のフォールディングナイフ、シースナイフ、和式狩猟刀等や渓流刀・・・大きさも、ポケットナイフから、ちょっとヤバ気な刃体のものまで買ってみた。
あくまで実用品として見ていたので、あまり高価なもの(数十万円)は興味がなかったが、数万円程度のものはかなり買った。
ところが、最後に気に入ったのは、なんのことはない。1本2千円(大抵は千円ちょいで売っている)のフランスのオピネルだった。私はフォールディングナイフ(折りたたみ式ナイフ)はあまり好きでないに関わらず、これもフォールディングナイフである。

Opinel

そのシンプルな構造から、安物と言うなら、そう言えないことはない。しかし、超高級ナイフと比べて何か不都合があるかというと、全くない。美麗とは言えないかもしれないが、外観(ハンドルもブレードも)も実に気に入っている。
通常のフォールディングナイフは、刃を引き出すと自動でロックがかかるものが多い。そこで、ロック解除ボタンを押して刃を収めるのである。このオピネルの場合、あまりロックは必要ないと思うが、閉じた状態、刃を出した状態のいずれでもロックを掛けられるが、ロックボタンなんて洒落たものではない。単に柄の部分のリングをぐりっと回すのである。
ハンドルはブナの天然木だが、これも気に入っている。普通のフォールディングナイフのように平べったくはなく丸いが、これがなんとも握りやすい。
ブレードの形も、別に格好が売り物のナイフではないと思うが、それでもとても良い。刃の材質は炭素鋼が一般的だが、現在はステンレス(イノックス鋼)のものもある。ステンレスは錆び難いので便利だ。切れ味では炭素鋼の方が良いが、木彫りでもしない限り、普通は分からないと思う。

オピネルは100年以上前から、フランス庶民の生活に溶け込んだ大衆ナイフである。フランス人は、これでパンや果物や、あるいは肉を切る。
大きさも、2番(刀長35ミリ)から12番(同120ミリ)まであり、日常用途なら何でも合うものがある。
私が上記で、1本千円ちょいと書いたのは、写真の刃長85ミリ(No.8)のものだ。

このオピネル、「フランスの肥後守」と呼ばれることもあるらしい。日本の大衆ナイフといえば肥後守である。だが、いかに庶民ナイフということが共通でも、コンセプトは全く異なると思う。生活様式の違いもある。例えば、日本の食事は箸があれば十分で、パンやステーキのような、切ってから食べるというものがない。刃物を使うのは料理人だけである。
肥後守は、ブレードのロックどころか、親指でチキリと呼ばれる部分を押さえて使わないといけない。ハンドルは、単に刃を収めるために必要な最小限の形状に留めた金属製で、基本的に刃が勝手に開くことも防止されない。
だからといって、そんなに使い難いわけでもない。むしろ、オピネル以上の簡素さでナイフを作った潔さは大したもので、このシンプルさを好む者もいると思う。
オピネルも肥後守も絶対に武器としては作られていない。だが、ブレードロック可能なオピネルはその気になれば武器になってしまう。まあ、肥後守も、日本の伝統に従い、チキリをハンドルと紐かテープで巻けば武器になる・・・なんてことを考えてはいけない^^;
私は肥後守の良さが理解できていないかもしれない。価格はオピネルも肥後守も大して違わない。
やはりナイフは使い倒してこそのものである。
ただし、オピネルも肥後守も、1本を大切に何十年も使っている方も珍しくはなく、決して耐久性のないナイフではないと思う。

尚、私はもう1つ気に入ったナイフがある。スイスのビクトリノックスである。こちらも安価だが、オピネルとも全くコンセプトの違うものである。いずれ紹介する。

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