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2007.05.03

芸術的な絵とは

いい話であると同時に、芸術を考えるのによいヒントになるものがある。
池田満寿夫さんが、女子高生から手紙で、工房を見学させて欲しいと頼まれたが、応ずるでもなく断るでもなく、返事をしなかったらしい。
理由は、「恥ずかしいから」だったようだ。私は、相手が女子高生だったので恥ずかしかったのだろうと思っていたが、それもあるのだろうが、本質的に違うようだ。
池田満寿夫さんは、根本的に自分が恥ずかしいのである。
池田満寿夫さんは、純粋な芸術家だと思う。
彼は、建築家やデザイナー、音楽家であれば、このような恥ずかしさはないだろうと言う。
おそらく、絵描きであっても、絵のうまさを売り物とするイラストレーターや図鑑に動物の絵を描くような人ならそうではないはずだ。そんな絵描きは別に芸術家ではない。
だが、(芸術)画家や詩人は、役にも立たないものを創造する恥ずかしさがあると言う。
岡本太郎は、芸術はうまくあってはいけないと言ったが、たまたま絵が上手い芸術家がいるだけで、上手い下手は芸術とは何の関係もないであろう。上手い画家は言ってみれば優れた職人である。まあ、写真機がなかった時代は、上手くないと画家になれなかったらしいが、いまでも写真のような絵や、どれも同じような美大生の「上手い」石膏デッサンや、退屈なヌードデッサンが良い絵だと思っている人が多いのは誰のせいか(笑)。
私は、池田満寿夫さんの作品を購入するほどでもないが、画集が出ていれば値段を見ずに注文する(と言っても、最高でせいぜい1万円位だが)。彼の絵は、上手いか下手かといえば、考えたこともないが、上手いことはないと思う。そもそも、生前、池田さんはテレビで、自分の絵の腕前については「街の似顔絵描きに馬鹿にされる程度」と言っておられたことがある。だが、彼の絵には感動があることが分かる。子供が描いたような、殴り書きしたような線画にだって感動がある。
確かに、恐ろしく上手くて、なおかつ感動のあるギュスターヴ・ドレやノーマン・ロックウェルといった画家もいるが、彼らは職人的な意味で天才であると共に、自らをイラストレーターと認識し、特に画家であるかどうかは問題にしなかったようだ。

職人として優れた絵描きよりも、下手でも想像力のある素人の絵の中に芸術性があるものだろう。
職人でない素人の絵描きが、上手い絵を描く理由なんて何もないと言える。そして、岡本太郎の言うような、本当にデタラメをやれる器があれば芸術家になれるだろう(多分^^;)。学校の美術教育や単なる上手い絵描きの空論の悪影響で素人が上手い絵を描こうとしたりせず、器を広げる方が良い。まあ、それが絶対に難しい。それは先入観を完全に切り捨てることであり、そのような器が十分にあれば、大芸術家になったり、万民を動かす大政治家、あるいは、大悪人になれるだろう。
逆に、絵を描くことで自分の器を制限する固定観念を見ることができる。私が絵を描く目的はそこにある。
こういった理由からも、絵とは見るものではなく、また、見せるものでもなく、描くものと思う。当然、下手であってよく、いや、下手でないといけない。絵を描くからには上手い絵を目指さないといけないかのような美術教育の洗脳に染まった愚人は無視し、誰でも絵を描くべきであろう。

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