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2007.05.15

水木しげると岡本太郎

「ゲゲゲの鬼太郎」で知られる妖怪漫画家、水木しげる氏の漫画作品「総員玉砕せよ! 」(講談社)を読んだ。
ほぼ実話と言われる戦争漫画である。実際、妙な自然さというか、リアリティを感じた。
昭和20年、南太平洋・ニューブリテン島に派遣された日本兵の物語だ。
この中で、日本兵の日常も当然描かれている。
戦闘のない日も、兵隊達は土木作業はじめ、あらゆる労働を行うが、当然、若い兵隊ほどこき使われることになる。
1日の重労働が終わり、やっと休めるという時に、初年兵の招集がかかる。上官のしごき、とはいっても、殴られるのである。この漫画では、平手打ちがほとんどだったが、もちろん楽ではないし、態度の悪い兵隊は棒でも殴る。
これが毎日のように行われる。非道であることは間違いないが、上官の気晴らしというよりは、若い兵隊を服従させ、神経を図太くする効果は確かにあるだろう。
岡本太郎が、フランス留学から帰国した30歳の時、中国に18、9歳の青年兵と共に二等兵として派遣されたことがあるが、若い兵士と一緒の訓練はさすがにきつかったらしい。
そして、夜になると、やはり下の兵隊は上官に呼び出され、殴りまくられたそうだ。その時、岡本太郎は必ず4番目に行くことにしたらしい。その意味が分かるだろうか?殴る方は、4番目が一番調子が出るのである。身体があたたまり、心もエキサイトしてくる。これが5番、6番となると、殴るのに疲れたり、手も痛くなるので加減してくる。やはり4番目が一番効くのだ。その4番をあえて岡本太郎は志願したというのだ。

水木しげる氏は実際に21歳でニューブリテン島に出兵し、左腕を失っている。マラリアでうなされている時に敵襲を受けて左腕を負傷し、治療設備もなく、麻酔もなしで切断したそうだ。
尚、「ゲゲゲの鬼太郎」のヒーロー鬼太郎は1959年に初めて「幽霊一家」という作品で登場し、1965年に「墓場の鬼太郎」で登場するも、さっぱり人気が出なかった。しかし、1967年から人気が出始め、1968年にアニメ化されるまでにヒットする。
水木しげる氏は、養老孟司氏との対談書で、65歳から、妖怪を描くのが楽しくなってきたと言っておられた。妖怪を描くと無意識になり、精霊のようなものを感じるようなことも言われていたと思う。妖怪に人生を捧げた水木しげる氏らしい。

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